2027年にクラウドボックスは創業20周年を迎える。
デザイン会社としてスタートし、現在はグラフィックやWeb、コピーライティングはもちろん、企業や商品のブランディング、企画、イベント、自社事業まで仕事の領域を広げてきた。
クラウドボックスは何を大切に仕事をしてきたのか。創業当初から変わっていないものは何か。これから出会う若いクリエイターへ知っておいて欲しいことを代表の徳永 健が語る。
目次
「ラブレターの代筆屋」という言葉が、僕らの仕事を一番よく表している
――「クラウドボックス」とは、どんな会社ですか?
一番わかりやすく表すなら、「ラブレターの代筆屋」だと思っています。
まだ形になっていないお客さまの想いを受け取って、それを伝えたい人に伝わる形にして届ける。それが僕らのデザインの仕事です。
「どんなデザインが得意なんですか?」「どんな業界に強いんですか?」と聞かれることもありますが、クラウドボックスは業界や表現手法を絞ってきた会社ではありません。
それよりも、出会った目の前のお客さまが「どんな思いを、誰に伝えたいんだろう」ということを、なるべく深く理解することを、デザインをする以前にまず大切にしてきました。
それを一つひとつ続けているうちに、「ああ、ブランディングってこういうことなのか」と自分の中でも形になってきて、今は「ブランディングデザイン会社」と名乗るようになりました。
――「私たちは、日本一のラブレターの代筆屋です」と、創業当時から言っていた?
いや、使い始めたのは7、8年前ですね。
ある日突然、「ああ、そうか。クラウドボックスがやっている仕事って、ラブレターの代筆なんだ」と思いついたんです(笑)。
ちょうど副社長の佐藤と飲みに行く途中だったので、「もしお客さんから『ラブレターを代筆してほしい』って言われたら、引き受ける?」と聞きました。
「いや、それは別にうちの仕事じゃないでしょう」と言われたんですけど(笑)、「いやいや、実はそれがうちの仕事なんだよ」と。
考え方自体は創業した当時からあって、言語化できたのがその頃です。
「愛と感謝」を羅針盤に、「好奇心と向上心」をエンジンに
――創業から20年間、ずっと大切にしているものは何でしょうか?
創業して2年目くらいからずっと会社で掲げているのが、
「まず愛と感謝。次に好奇心と向上心。ここまでは必須」
という言葉です。少し言葉は変えていますが、クラウドボックスのWebサイトにも掲載しています。
僕らが進む方向を決める羅針盤が、「愛と感謝が増える方へ向かう」ということ。
そして、そこへ向かって進んでいくためのエンジンが、好奇心と向上心です。
「これ、面白そうだな」と面白がること。「もっとよくしたい」と思うこと。
言い方や事業の形は変わってきましたが、そのスタイルは20年間、ほぼ変わっていないと思います。
「何をつくる?」から一緒に考える
――一般的なデザイン会社と比べて、クラウドボックスの仕事にはどんな特徴がありますか?
一般的なデザイン会社で働いた経験がないので、比較するのは難しいんですが(笑)。
お客さまと「一緒に考えましょう」というところからスタートすることは、特徴かもしれません。
「原稿と素材を用意してください。では、デザインします」というところから始めるのではなく、「そもそも何を伝えたいんでしょう」「それなら、どういうものをつくったらいいんでしょう」というところから一緒に考えていく。
クラウドボックスでは「共につくり、共に伝える」という言葉を使っています。
「つくる人」と「依頼する人」という関係ではなく、お客さまと一緒になって考える。それがクラウドボックスの仕事のスタイルです。
若手にも、仕事の「最上流から最下流まで」を見てほしい
――まだ経験の浅い若いメンバーも、比較的早い段階から、クライアントとの打ち合わせや提案に参加していますよね。
そうですね。
ただ、「若手に全部任せる」という感覚とは少し違います。
最初から最後まで、一緒にやる。お客さまとの関係性も「ともに考える」と言いましたが、社内でも同様です。
若手メンバーには「どんなふうにつくったらいいと思う?」というコンセプトを考えるところから入って、実際につくりながら「もっとこうしたほうがいいんじゃない?」とディスカッションしながら、最後に納品するところまで経験してもらう。
そうやって成長していけば、年長者がが関与する時間はだんだん短くなっていきます。
でも、まだ何も形になっていない状態から、それが完成し、お客さまやその先の人たちに届くところまで、仕事の全体像を見た経験があるからこそ、「自分は何をつくらなければいけないのか」が考えられるようになると思うんです。
だからこそ、仕事の最上流から最下流までを、なるべく早いうちに経験してほしいと思っています。
目指すのは、「自律自走できるクリエイター」
――専門的な技術以外に、身につけてほしい力はありますか?
最近は「QSS(Quality、Speed、Self-management)」という言葉を使っています。
クオリティは、お客さまに「これだよ、これ」と言ってもらえるものをつくること。そして、実際にお客さまの仕事に効果があり、「またクラウドボックスにお願いしたい」と思ってもらえるところまでを含んでいます。
スピードは、単に早くつくればいいという話ではありません。
仕事を早く進めることで余白をつくる。その余白で新しいことを見つけたり、お客さまとより丁寧にコミュニケーションしたりできる。
セルフマネジメントは、体調や時間の管理はもちろん、仕事全体を俯瞰しながら、自分自身をコントロールできること。
この3つをバランスよく身につけて、自律自走できるクリエイターになってほしいと思っています。
デザインだけではなく、「いろいろな視点」を持てる人に
――経営を学ぶMG*研修などにも、メンバーを積極的に参加させていますね。
べつに「経営者になってほしい」と思っているわけではないんです。ただ、いろいろな視座から物事を見るセンスは身につけてほしい。
「お客さま側から見たら、これはどう見えるんだろう」
「なぜこのお客さまは、これを必要としているんだろう」
そこまで考えるには、お客さまのビジネスや経営者側の視点について知っていたほうが、理解は深くなりますよね。
デザインの技術だけではなく、いろいろなことを理解したうえで表現できることがある。そのために、自分の幅を広げることは大切にしています。
*MG=元ソニーの西順一郎氏が開発したビジネス・シミュレーション・ゲーム研修。参加者1人1人が経営者となって2日間で5期分の経営を行い、ゲームを通じて会計・経営を体感的に学ぶ。
「こんなことまでできるようになったんだ」と感じる瞬間がうれしい
――若手メンバーの成長を感じるのは、どんなときですか?
これまでクラウドボックスに入ってくれた若手メンバー、いろいろな人がいましたけど、それぞれに成長を感じることはもちろんありました。何か一つの劇的な瞬間というより、少しずつ積み重なっていく感じです。
「あれだけ細かく指示していた仕事が、今はこれだけの指示で、こんなスピードでここまでできるんだ」とか。
デザインなら、「もう何も言わなくても、このバランスは取れるんだな」とか、自分でアイデアを見つけて盛り込めるようになったり。
クライアントとのやり取りでも、「こちらからこう声をかけておきましょうか」と自分から提案できるようになったり。
僕らが関わらなくても仕事が進んでいるのを見ると、やっぱり成長したなと思います。
これまでクラウドボックスを卒業していったメンバーから、「次の会社に行って初めて、クラウドボックスでちゃんと育ててもらっていたことに気づきました」と言ってもらうこともけっこうありました。
雑談があるから、仕事のアイデアも共有できる
――社内の雰囲気づくりで、意識していることはありますか?
コミュニケーションを絶やさないことです。
仕事柄、作業中は集中してオフィス内はしーんとしていることがほとんどです。
でも毎朝のミーティングで、業務とは関係のない話から始める「チェックイン」をしたり、ランチ制度をつくったり、飲みに行ったり。雑談する機会は意識してつくっています。
雑談があるからこそ、仕事でもアイデアを気軽に共有できるところはあると思います。メンバーの年齢差はそれなりにありますが、人間関係としてはかなりフラットなんじゃないでしょうか。
そういえば、僕は社員から「社長」と呼ばれたことがほとんどないですね(笑)。
みんな“とくさん” と呼びます。
少人数だから、ルールよりも「お互いが見えること」を大切にできる
――小さな会社だからこその自由さと大変さもありますよね。
人数が少なく、お互いに目が届く距離にいるので、何でも細かく制度化しなくて済むという自由さはあります。
たとえば、少人数だからこそ「今日はちょっと体調が悪そうだな」ということがなんとなくわかって、「早めに帰っていいよ。これはやっておくよ」という声かけをしたり、「体調悪いので今日は帰ります」と言いやすい環境はあると思います。
リモートと出社のバランスも、基本的には本人に任せ、業務時間も自己管理です。
これが30人の会社だったら、なかなか難しい。今の人数だからこそ、ルールでがんじがらめにせず、お互いを見ながら自由に働けるところはあると思います。
もちろん、それは自分で自分を管理することとセットなので、そこが大変といえばそうかもしれません。
「一緒にいるから、できる仕事」がある組織へ
――これから、クラウドボックスをどんな会社にしていきたいですか?
組織としては、「自律自走するクリエイター集団」をもっと極めていきたいですね。
会社という組織が先にあって、そこに所属するのではなく、
「一緒にいることでできる仕事がある。だから一緒にいる」という順序のチームがいいと思っています。
事業としては、お客さまが大切にしている「軸」をちゃんと理解して、そのそばに立っていられるデザイン会社でありたい。
会社としてこれからも求められ、残る意味のある会社になるためには、新しい力が必要です。今までのクラウドボックスのメンバーと違う感覚や、新しい価値観を持ったフレッシュな力が入ることで、会社もまた変わっていくと思っています。
「仕事を遊べる人」と、一緒に働きたい
――最後に、どんな人と一緒に働きたいですか?
採用ページにも書いているんですが、「一緒に仕事を遊べる人」ですね。
仕事を遊びにするという意味ではなくて、仕事に夢中になることを楽しめる人。
そうした人へ、クラウドボックスは、夢中になれる仕事を用意する。
そして一緒に考えて、試して、つくって、納品したあとに、
「楽しかったね」
と言い合えたら、一番いいですよね。