ここ数年、生成AIの登場をきっかけに、AIは一気に身近な存在になりました。
業界を問わず多くの企業が導入を進めるなかで、「AIを使えば何かが変わるのでは」という期待も高まっています。
しかしその一方で、「形だけ導入して終わる」「結局誰も使わなかった」といった課題も。AIの導入自体が目的になってしまい、肝心の業務改善や価値創出につながりにくいケースも少なくありません。
流行に乗った「見せかけのAI」と、現場に定着する「本物のAI」の差とは。
本記事ではAIの急速な広がりの背景と、「本物のAI」と「偽物のAI」を分ける視点について、業界を黎明期から見つめてきたオコジョ代表・西原の考えをもとに解説します。 「現場で生きるAI」とは── その本質を、紐解いていきましょう。
目次
01│なぜ今、AIマーケットは急加速しているのか
生成AIがもたらした「誰でも使える」AI時代。
ブームの裏で広がる、理解なき導入。
02│「本物のAI」と「偽物のAI」を分けるもの
AIを動かすのは、知識よりも”理解力”。
AIの真価は、使い方で決まる。
03│「本当に役立つAI」をつくるためには
PoCで終わらせない、“定着”の考え方。
AIがもたらすのは、「人が主役」の職場。
01│なぜ今、AIマーケットは急加速しているのか
生成AIがもたらした「誰でも使える」AI時代。
ここ数年でAIは、専門家だけの技術から、”誰でも触れるもの”へと変化しました。
ChatGPTをはじめとする生成AIの登場により、企業も個人も気軽に試せるようになり、導入のハードルは一気に下がりました。
これまで膨大な開発コストや専門知識が必要だったAI活用も、クラウドやAPIの進化によって低コスト化。「とりあえずAIを導入してみよう」と考える企業が急増し、市場全体が一気に動き出したのです。
ブームの裏で広がる、理解なき導入。
一方で、勢いだけで導入を進める企業も少なくありません。
AIを「導入すること」自体が目的となり、業務改善や価値創出につながらないケースが増えているのです。
「試験的なPoC段階で止まってしまう」「現場が使いこなせない」──そんな課題の多くは、技術そのものではなく、AIに対する理解度に原因があると言えます。本当に使われ続けるAIを実現するには、流行に惑わされず、本質を見抜く目が求められています。
02│「本物のAI」と「偽物のAI」を分けるもの
AIを動かすのは、知識よりも”理解力”。
AIに関わる人の中でも、アプローチの仕方にはさまざまな違いがあります。
最新の生成AIツールやトレンドを積極的に取り入れる人もいれば、AIの仕組みや技術進化の背景を踏まえ、使いどころを丁寧に見極める人もいます。どちらもAI活用には欠かせませんが、成果につながるプロジェクトほど、後者の“理解の深さ”が生きています。
流行に頼った知識だけでは、PoC止まりで実運用まで到達しないケースも少なくありません。課題に応じて最適な手段を選べる引き出しの多さこそが、本物のAI人材・企業の証。
AI導入を成功に導く鍵は、技術の派手さではなく、課題の本質を見抜き、最適な技術を選び抜く思考力にあります。
AIの真価は、使い方で決まる。
AIブームの中では、「AIでできること」と「AIでやるべきこと」が混同されがちです。
代表・西原はよく、「厚紙をチェーンソーで切るようなこと」と例えます。確かにチェーンソーでも切れますが、ハサミのほうが早くて安全な場合も多い。つまり、最新の生成AIさえ使えば何でもできると過信してしまうことには、危うさがあるということです。
AIは魔法のツールではなく、あくまで課題を解決するための手段。
課題の性質によっては、AI活用ではなく既存のシステム改修の方が効果的な場面も多くあります。「AIでやるべきこと」を見極める目こそが、本物のAIへの第一歩と言えます。
03│「本当に役立つAI」をつくるためには
PoCで終わらせない、“定着”の考え方。
AI導入で成果を出す企業ほど、「実装して終わり」ではなく、現場で使われ続ける状態をどうつくるかに重きを置いています。そのために欠かせないのが、技術力よりも「現場理解」と「課題設定力」。 現場の困りごとを丁寧に聞き取り、本当に解くべき課題を見極めることで、初めて“使われるAI”になります。
PoCを超えて実運用まで定着させるには、現場を想定した要件設計や検証が必要です。机上の理論ではなく、現場のオペレーションやユーザー心理まで見据える。オコジョが重視しているのは、まさにこの「実装後のリアル」なのです。
AIがもたらすのは、「人が主役」の職場。
AIとは本来、人を排除するための技術ではなく、人の判断や行動を支えるための存在。
AIが業務の一部を担うことで、人はより創造的な仕事や意思決定に集中できるようになる。それこそが、オコジョが描く「現場で生きるAI」の理想です。
単なる開発ベンダーではなく、現場に寄り添う伴走者としての姿勢を貫くことで、「使われ続ける仕組み」を築いていく。AIをただ導入するのではなく、活かし続けること。その視点を忘れずに、オコジョは歩みを続けています。
生成AIブームは、AI活用を加速させる一方で、本質を見誤る危うさも抱えています。
だからこそ今、求められるのは「流行を追う力」ではなく、「本質を見抜く目」。
オコジョはこれからも、現場に価値を残すAIのあり方を追求し、挑戦を続けます。