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「インサイドセールス3.0」時代へ。グローバル水準のテクノロジーが日本のインサイドセールスを変革【Maroo代表インタビューVol.3】

皆さん、こんにちは。株式会社Maroo広報部です。

セールスエンゲージメント(あるいはセールスエンゲージメントプラットフォーム)の登場により、インサイドセールスに求められる役割が大きく変わろうとしています。そのようななか、Marooは2024年12月に世界No.1のSales Execution Platform「Outreach」(アウトリーチ)とパートナーシップを締結し、日本企業のインサイドセールスDXを推進中です。

本インタビューでは、馴染みが無い方に向けてセールスエンゲージメントやその重要な機能となるシーケンスの基本的な概要、シーケンスを導入する組織と導入しない組織の営業パフォーマンスの違いについて弊社Marooの代表である山梨に聞きました。

ぜひご覧ください!


目次

  • セールスエンゲージメントプラットフォームの3つの特徴

  • セールスエンゲージメントは「行動習慣や思考習慣の均一化」という文脈で登場

  • セールスエンゲージメントの登場で激変する「インサイドセールス3.0」の世界

  • シーケンスとは「ISのプロセスの一部を、人手を加えずに自律的に完了する仕組み」

  • セールスエンゲージメントで人的資本が向上する

  • まとめ


セールスエンゲージメントプラットフォームの3つの特徴


───まず、セールスエンゲージメントプラットフォームについて教えてください。


私はよく「インサイドセールスが使う、マーケティングオートメーションツール」と説明しています。顧客管理機能やデータの取り込み、条件に基づくセグメント分け、顧客属性やウェブ行動に応じたパーソナライズ、さらにはアプローチの設定や自動実行などが含まれています。これらのプロセスを1つのプラットフォームで完結できるのが特徴です。

主な特徴は3つあります。

  • 1:トッププレーヤーの行動習慣を再現できる
  • 2:自動化と最適化を同時に実現することで、営業活動を効率化できる
  • 3:すべての営業データを取得し、PDCAサイクルを回せる

これらの価値に共感し、セールスエンゲージメントプラットフォームを導入する企業が多いです。最近では海外のセールステック企業が日本市場に力を入れているほか、国内でもセールスエンゲージメントを意識したプロダクトを開発する企業が増えています。


セールスエンゲージメントは「行動習慣や思考習慣の均一化」という文脈で登場


───そもそも、セールスエンゲージメントはなぜ生まれたのですか?


歴史をさかのぼるとCRM(Customer Relationship Management、顧客管理ツール)が始まりです。1995年にCRMという概念が誕生し、4年後には米国でSalesforceが創業されました。そして2007年にはSalesforceがクラウド型CRMを開発し、翌年にはセールスイネーブルメントという概念が確立されました。その後、8年が経ってセールスエンゲージメントという言葉が登場し、独自の市場が形成されました。

起源がCRMのため「顧客との関係構築」を出発点としております。2007年にクラウド型CRMが登場したことによって、誰でも顧客データにアクセスでき、リアルタイムで顧客状況を可視化する、いわゆる”データの民主化”が実現した流れの中で「セールスイネーブルメント」が生まれました。

当時のセールスイネーブルメントはデータマネジメントによる「知識の均一化」の文脈が強かったのに対し、セールスエンゲージメントはエグゼキューション(実行)のオートメーションによる「行動習慣や思考習慣の均一化」という考え方の高まりで登場し、これらをさらに発展させた形として位置づけられています。


セールスエンゲージメントの登場で激変する「インサイドセールス3.0」の世界


───セールスエンゲージメントが登場することでインサイドセールスの働き方はどのように変わってきたのでしょうか?


インサイドセールス1.0から3.0に分けて説明しています。

インサイドセールス1.0は、日本でインサイドセールスが導入され始めた頃を指します。この時期は「インサイドセールス=テレアポ」のような形で、マンパワーに依存していました。テクノロジーの活用がなく、いかに数をこなすかという労働集約的な動きが主流だったと感じます。

続く、インサイドセールス2.0はテクノロジー活用が進み始めた時期です。CRMやSFA(Sales Force Automation、営業支援システム)、MA(Marketing Automation、マーケティング活動の自動化ツール)などが日本企業でも使われるようになり、労働集約型から知識集約型へ移行しました。この段階では、例えば精度の高い顧客セグメントの作成やMAで顕在化しているニーズをリアルタイムで検知するといった取り組みが進みました。個人の生産性をデータドリブンで向上させ、知識を組織全体で均一化することが重視されるようになったタイミングです。

そしてインサイドセールス3.0では、セールスエンゲージメントが基盤となり、従来は人が行っていた商談のラストワンマイルの構築を代替し、受注につなげるためのアクション設定や実行を自動化することができるようになりました。また、トッププレーヤーの行動習慣や思考習慣を再現する仕組み化を通じて、組織全体のパフォーマンスを高いレベルで均一化することが可能です。

マンパワーに依存して個人が成果を出すのではなく、組織として成果を最大化する仕組みを構築していく方向に進化しています。特に日本では少子高齢化や営業人材の確保の難しさといった課題があるため、人に依存しない組織づくりに徐々にシフトしています。


───インサイドセールス2.0とインサイドセールス3.0の違いについて詳しく教えてください。


Management(管理)ではなく、Execution(実行)に焦点があたっていることがインサイドセールス2.0とインサイドセールス3.0の分岐点と言えます。インサイドセールス2.0の段階では、営業進捗を定量的に可視化し、目標との差分を明確にしたギャップマネジメントを行うことが利点ですが、課題の特定にとどまり、課題解決に向けた方法論が抜け落ちた根性論になることが多いです。

また、入力習慣が浸透していないことで、実行プロセスにおけるデータが記録されないケースが多く、組織に定着するハードルが高い状況でしたが、インサイドセールス3.0では、データ入力や管理ではなく、営業活動の一部を自動化し、最小工数で最大の成果あげるための実行領域に焦点を当てることができます。

別の表現をするなら、自分の代わりに動いてくれる「マシン」や「ロボット」を作り、そのロボットに人的資本となるノウハウをインストールして、組織としてレバレッジを効かせていく動きが求められます。この"自分の代わりに動いてくれる機能”をシーケンスと呼びます。


シーケンスとは「ISのプロセスの一部を、人手を加えずに自律的に完了する仕組み」


───シーケンスについて詳しく教えてください。


元々、シーケンスはエンジニア用語で「あらかじめ決められた順序で処理を行う」を意味する言葉です。インサイドセールスに置き換えると、「インサイドセールスのプロセスの一部を、人手を加えずに自律的に完了する仕組み」と表現しています。

トッププレイヤーの具体的な行動として、リードが流入した際に電話が1回しかつながらない場合、その後はメールで対応したり、翌日以降に再度電話したりするなど、1週間から1ヵ月間にわたって生産性を落ちない範囲で連絡することが多いはずです。また、単に画一的なメッセージを送るのではなく、顧客の属性情報や直近のWebアクティビティに基づいてパーソナライズした有益な情報を提供することで、中長期的な関係構築を目指すアプローチをしますよね。

さらにはメールや電話に加え、LinkedInのようなSNSやSMS(ショートメッセージサービス)、手紙など複数のチャネルを駆使して顧客との接点を最大化する工夫もされています。このようなトッププレイヤーの動きをシーケンス機能を導入することで、トッププレーヤーの行動習慣を「成功の型」として実装し、インサイドセールス担当者は、シーケンスが示すタスクを実行するだけで一定のパフォーマンスが発揮できる仕組みを構築することができます。

結果として、個人のスキルや経験に依存せず、誰でもトッププレーヤーと同じ行動習慣を短期間で再現していくことができます。これによって組織全体のパフォーマンスを均一化し、生産性の底上げを可能にすることができます。

海外では、こうしたシーケンスを活用したオペレーションが標準になっていて、業務のインフラとして機能しているように感じます。ポイントは、いかに人的なリソースや意思決定が介在する領域を狭め、属人的なスキルや経験から脱却しパフォーマンスを均一化できるかという考え方になってきます。


───マーケティングオートメーションとの役割の違いは?


マーケティングオートメーション(MA)は、幅広いセグメントに向けたメール配信を通じて、購買意欲が高いリードを獲得することが目的になることが多いです。例えば、新規リードがMQLに転換して、”今まさにニーズが顕在化”したタイミングを捉えて、ラストワンマイルをアプローチするのがシーケンスの特徴です。

また、一方通行か相互作用か、という違いもあります。MAはデザインされたHTMLメールを送信、開封・クリック率を取得するのみで、その後の返信率までを取得する仕様ではないです。つまり、メルマガの一斉配信から記事コンテンツやウェビナー登録に誘導する、といったナーチャリングが主な目的です。

一方、セールスエンゲージメントは、普段使いのメーラー(Gmail、Outlook)と連携することで、HTMLではなく個人的な私信メールとして送信でき、返信データまでを取得できます。マス向けに綺麗にデザインされたHTMLメールか、個人向けにパーソナライズされた文章が書かれた私信メールだと顧客が受け取る印象は大きく異なり、もちろん、返信率は後者の方が高いです。そのため、ラストワンマイルで営業との介在接点を創出する活動、具体的には、営業担当者との商談設定やイベント・セミナー案内をシーケンスで担うことが多いですね。


セールスエンゲージメントで人的資本が向上する


───シーケンスを導入する組織と導入しない組織のパフォーマンスの違いについて教えてください。


日々、多くのインサイドセールスの方々が仮説を立てて実行し、その結果を検証してメソッドをブラッシュアップしてPDCAサイクルを回している方が多いはずです。ただ、そのメソッドが個人に依存してブラックボックス化しているケースも多く見かけます。

いわゆる暗黙知の状態が進み、チーム全体には共有されません。この状態だとパフォーマンスがトッププレイヤーに依存しがちになります。例えば、「週に1回ミーティングをして情報共有しています」とか、「勉強会を定期的に開催しています」といった取り組みはあるかもしれませんが、これらはどうしても定性的な感覚や経験に基づく暗黙知の共有になりがちです。その結果、情報共有のタイミングが遅れたり、情報の精度が落ちたりといった課題が出てきます。

一方、シーケンスを活用すれば、営業プロセスにおけるすべての活動履歴を記録として残すことができます。そして活動履歴を基にした成果が定量的に検証され、形式知としてリアルタイムでチームに共有できるようになります。この仕組みによって組織全体のパフォーマンスを高いレベルで均一化することが可能になります。

さらに共有されたノウハウを個人が吸収し、それをもとに仮説を立て、実行し、検証することで、個人のメソッドをさらにブラッシュアップするサイクルを高速で回せるようになるため、チーム全体のノウハウが高い次元に引き上げられるわけです。


───シーケンスを作るインサイドセールスに求められる役割とは?


マンパワーで自分のリソースを使うのではなく、組織やチームに動いてもらうための仕組みを作る、型を作る思考が求められます。そういった思考を持つ方はセールスエンゲージメントと相性がいいと考えています。

非常によい例としては、シーケンス導入後わずか半年で、1人当たりの時間当たりの架電数が1.5倍、商談の創出件数が1.4倍、そして1人当たりの受注数が4倍に向上するなど、非常に飛躍的な成果を出していただいた事例もあります。

同社の営業組織は新卒社員や若手のジュニアメンバーが多いですが自分のノウハウをシーケンスに反映し、仕組みをブラッシュアップし続けることで、営業活動を仕組み化していく働き方をインサイドセールスが担っています。

顧客の反応が最大化する具体的な手法をシーケンスに落とし込む形で実装し、一部のプロセスが自動化され、マンパワーに依存した営業活動ではなく、組織レベルの仕組みとして成果を最大化する基盤を作ることができました。結果として、シーケンスが提案するタスクを実行するだけで一定の成果が出るようになりました。

新卒社員としてこのような営業環境で働ける点も競合企業との差別化になります。実際、同社で経験を積んだら「どこに行っても通用する」という自信を持つ社員の方々が多いです。人的資本が向上し企業業績に貢献するだけでなく、こうしたキャリアに対する自信は働く方の満足度や従業員の定着率向上にも寄与していると考えられます。このような環境で魅力を感じて入社される新卒社員の方が多いというのも納得です。


───ありがとうございました!


まとめ

  • セールスエンゲージメントプラットフォームは、トッププレイヤーの行動を再現し、営業活動の自動化と最適化を実現するツールで、インサイドセールス3.0時代を支える基盤です。
  • インサイドセールス3.0では、実行の自動化を重視し、マンパワーに依存せず、組織全体で成果を最大化する仕組み作りが進化しています。
  • シーケンス機能により、営業プロセスの一部を自律的に完了でき、組織全体のパフォーマンスを均一化し、生産性を向上させます。
  • マーケティングオートメーションとの違いは、顧客との双方向のやり取りが可能な点で、商談や受注のラストワンマイルをサポートします。
  • シーケンス導入により、若手社員でもトッププレイヤーと同等の成果を短期間で再現でき、組織の人的資本向上と業績改善に寄与します。


最後までご覧いただき、ありがとうございました!


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