前回書いた、日比谷公園を望むオフィス。
景色も良く、立地も抜群。創業期としては、十分すぎる環境でした。
でも――環境は、永遠ではありません。
■ ガバナンスは“人”で決まる
入居当初は、とても優秀な運営責任者の方がいらっしゃいました。
・共用スペースのルール徹底
・長時間占有へのさりげない注意
・来客動線の整理
・全体の空気づくり
きちんと“ガバナンス”が効いていた。ところが。運営会社の方針で委託先が変更。そこから一気に、“自由”な世界へ。
■ フリースペースという名の無法地帯
私たちは基本、個室にいるので「まあ、気にならないと言えば気にならない」。
でも、気分転換にコワーキングスペースへ行くと――ゲンナリ。
フリースペースはテレカン自由の設計。それ自体は良いのですが、人材紹介会社さんの面談が始まると、
・候補者の経歴
・年収
・転職理由
・前職の社名
全部、丸聞こえ。「それ、大丈夫…?」と内心思いながら、こちらが気まずくなる。コンプライアンスは、会社規模ではなく“意識”の問題ですね。
■ 個室は安全か?と思いきや
では、私たちの個室は快適だったのか。実は、ここにも課題がありました。
構造は、ワンフロアを区切って作った居室。天井までしっかり施工されていますが、
言ってしまえば“高級パーテーション”。
途中で隣に入居された会社さんが、かなり元気なテレカン文化。
大声で会議。結果――会議内容、ほぼ共有。こちらの集中力が削がれる…
■ 見落としていた“空気”の問題
そしてもうひとつ。換気設計。
ビル全体としては設計されていますが、フロアを細かく区切っているため、各部屋単位では空気が滞留しやすい。コロナ禍で換気に詳しくなっていた私たち。
CO₂モニターを置いてみたら、数値、ぐんぐん上昇。
「これは…思考力も落ちるな。」
オフィスは空間だけでなく、“空気の質”も経営資源だと実感しました。
■ 振り返ると、問題は2つ。
① フロア全体のガバナンスの問題
② 部屋単体の快適性の問題(音・換気)
どちらも小さな違和感の積み重ね。
でも、組織が成長し、大きなプロジェクトを回し始めると、その“わずかなストレス”が
無視できないものになっていきました。
■ そして、決断のタイミングは突然に
「そろそろ、次を考えるか…」
そう思い始めた矢先。運営会社からのお知らせ。
このサービスオフィス、クローズします。
内心――「そらそうでしょ。」
高い賃料を払っている入居者が少なからず不満を抱えていたのだから。…とは、もちろん言いませんが。
■ 引越しは次のフェーズへの移行。
創業期の拠点は、確実に役割を果たしてくれました。でも、会社が変われば、必要な空間も変わる。オフィスは固定費ではなく、戦略変数。そう確信しながら、私たちは次の場所を探し始めました。
次回は、
「なぜ、最終的に“今のオフィスを選んだのか?」
の話です。