コミュニケーション学部 | 東京経済大学
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地域のお手伝いと旅を組み合わせたマッチングプラットフォーム「おてつたび」。今、‟知らない地域でお手伝いをする”という経験が、大学の授業やキャリア教育の現場に取り入れられるようになっています。
2025年、東京経済大学コミュニケーション学部と株式会社おてつたびは連携する事になりました。
東京経済大学コミュニケーション学部長・佐々木裕一先生(左)とおてつたび代表・永岡里菜さん(右)。2025年5月、東京経済大学の国分寺キャンパスにて
永岡:今日はよろしくお願いいたします。佐々木先生、改めてまず東京経済大学コミュニケーション学部について教えていただけますか。
佐々木:はい。東京経済大学は今年で125周年を迎える私立大学です。コミュニケーション学部が開設されたのは1995年。実は、日本初の「コミュニケーション学部」で、多くの大学で類似の学部や学科が設置される先駆けとなりました。
私自身は、需要者と供給者をマッチングさせる仕組みであるプラットフォームの研究もしていました。楽天市場のような、ものを買いたい人とものを売りたい人をマッチングさせるのがプラットフォームですが、このようなプラットフォームをつくる起業家たちと情報交換する機会も設けていました。確か、永岡さんと初めてお会いしたのも起業家との集まりの場でしたよね。
永岡:はい、2021年に先生の小規模な勉強会に参加しました。当時は創業3年目でしたが、先生のアカデミックな視点からおてつたびというサービスの社会的意義を教えてもらって、非常に嬉しかったのを覚えています。
佐々木:当時からおてつたびって面白いサービスだなと思っていて。というのも情報を提供するだけのメディアプラットフォームよりも、「人の行動を支援するプラットフォーム」に関心を持つようになっていたからです。今後はユーザーがインターネットでコンテンツを見たり聞いたりするよりも、より積極的に現実世界での行動に繋げていくことが大切になると思っているんです。
おてつたびはまさに行動を後押して、かつ人との繋がりも生み出していくプラットフォーム。何か一緒にできたら面白そうだなと感じるようになったんですよね。
佐々木:コミュニケーション学部には現在、「国際コミュニケーション学科」と「メディア社会学科」という2学科があります。
国際コミュニケーション学科では特に“英語力”や“異文化交流”を大切にしていて、全学科生に2〜5週間の「海外短期研修」や「海外短期職業体験研修」に参加してもらうようにしています。感性豊かな若い時に海外に行って、日本とはまったく違う暮らしをしてる人がいるんだ!と肌で感じてもらえたらと思っているんです。
ただ、最近は物価高と円安ドル高で費用が15~20万円くらい上がってしまって……。在学中に複数回海外へ行くハードルが学生によっては高くなっています。おてつたびを活用すれば、海外研修への参加に加えて、国内で実践的な英会話や異文化体験を頻繁にできるんじゃないかなって感じているんですけど、実際のところどうでしょうか。
永岡:確かに、おてつたびでは日本中のさまざまな地域で、多種多様な職種・地域の方との出会いを経験できるので、異文化体験・経験という点ではぴったりなのかなと感じています。外国人観光客が多い地域のおてつたびは、英会話を実践する場にもなり得ると思います。例えば、岐阜県高山市、北海道ニセコ町、長野県白馬村等では、英語での接客のお手伝いも多くみられます。
佐々木:そういった場所で3週間くらいおてつたびをしてひたすら英語を喋って……みたいなことができたら理想的だなぁ。あとは、英語にこだわらなくとも、例えば第一次産業等のお手伝いも魅力的ですよね。とにかく、自分の住んでいる場所とはまったく違う場所で生活していて、考え方が異なる人とコミュニケーションを取るっていうことを学生のうちに体験してほしいんです。
永岡:そうですね。農業、漁業といった普段なかなか関われないような分野の募集も増えているので、ぜひ学部のみなさんにおてつたびを活用して現地に実際に行き、地域の方と関わっていただきたいですね。
永岡:学生さんについてもうちょっとお聞きしてみたいのですが、コミュニケーション学部ってどんな学生さんが多いのでしょうか。
佐々木:いろんな人がいるけれど、大きく2つのタイプに分けられると思います。まず、元々コミュニケーションが得意な人ですね。そういった人は「コミュニケーションって素敵だし、面白いな」「もっと学びたいな」と思って入ってきます。
一方で、特に対面のコミュニケーションが苦手で、「難しいけれども、だからこそコミュニケーションスキルを得たい」とうちの学部に入る人も一定数います。今ってネットでほぼ何でも買える時代なので、対面コミュニケーションを取らなくても欲しいものは手に入るじゃないですか。だから若い人のコミュニケーション能力がこの10年ほどで下がってる傾向を持つという感覚があるんですよね。
永岡:確かに、それはおてつたびを運営していても少し感じますね。今の若い世代はコミュニケーションで最初のとっかかりを作るのが苦手な印象があります。若い方はデジタルネイティブで、インターネットをきっかけとした“入口“がすでにあるコミュニケーションが当たり前なので、最初の入口作りに慣れていないだけにも感じます。
「最近の大学生は受け身の人が多い」と耳にすることもあるのですが、私は少し違うと思っていまして。きっかけさえあればみなさん現地で一生懸命にコミュニケーションを取って、お仕事を頑張っている。入口をインターネットでどう創出できるかが鍵なのかな?と思っています。
佐々木:なるほど。「勇気を振り絞っておてつたびに参加しました」という人もいるのかな。
永岡:結構いらっしゃいますね。でも、みなさん参加した後は「あの時、勇気を振り絞ってよかった」と言ってくれます。個人的にいいなと思ったエピソードがあって。自分自身はコミュニケーション能力が低いのでは?……と悩む男子大学生が、ゲストハウスのおてつたびに参加してくれたんです。ドキドキしながらお客さんに話しかけたらめちゃくちゃ仲良くなって。その経験が自分への自信に繋がったっていう話を聞いて、すごく嬉しかったです。
おてつたびって周りには知らない人しかいないから、新たな自分を見るための挑戦がしやすいのかもしれません。それこそ留学に近いですよね。言葉が通じないという負の体験も、考え方次第で成長に繋げていけると思うので。楽しいこともドキドキすることも、全部まるっと学生さんには経験してほしいですね。
佐々木:うん、それこそが異文化に触れる醍醐味ですよね。
永岡:そうやってチャレンジを繰り返して新たな自分に出会い、成功体験を積んでいる学生さんは多いと感じています!
永岡:今お話をして、改めて若い時にいろんな世界に出会うことは、その先のキャリアや人生にもすごく影響があると思いました。大学4年間の時間の使い方って自分次第なところもあるじゃないですか。もし私が大学生の時におてつたびというサービスがあったなら、違う人生を選んでいた可能性もあるなって思うんです。
佐々木:2021年に永岡さんがゲスト講師で授業をしてくれましたけど、「おてつたびをもっと早く知りたかった」という授業への感想が非常に多かったんですよ。
永岡:学生さんにサービスや地域とつながる魅力をもっと伝えていきたいです。おてつたび参加者の方には、その後の進路が変わった方も結構いるんです。おてつたびをきっかけに、宿泊(旅館やホテル)業界に進んだり、新卒で入社した後に一次産業を支援する部署に手を挙げたり。おてつたび先に就職された方や、地域に居場所を見つけて定住・移住をされた方も多数出てきています。おてつたび後のアンケートで約9割の方がキャリアや選択肢に変化があったって答えていらっしゃるんです。
佐々木:今年度、永岡さんにはコミュニケーション学部の1年生220人と、国際コミュニケーション学科の2年生80人に向けて授業をしていただこうと思っています。1、2年生たちは、大学生活をどうやって過ごそうかとプランニングしているところなので、在学中に上手くおてつたびを活用してくれそうな気がしています。
永岡:今後の講義では、「おてつたび」に参加するうえでの心構えについても学生のみなさんにお伝えできればと考えています。おてつたびでは、単なる労働にとどまらず、「働くこと」を通じて地域の日常に溶け込み、人と関わりながら学びを深めてほしいと考えます。そのため、地域の方々へのリスペクトの姿勢や基本的な礼儀作法はとても大切です。
また、私たちとして特に地域に入る際に意識してほしいこと、それは「自分はこの体験を通じて何を得たいのか」という目的意識を持つことです。これらがあるかどうかで、得られる学びの深さや意味合いは大きく変わってくると考えています。
佐々木:おてつたび参加前に自分に対する内省の時間を取れるかは、とても大事になる気がしますね。
永岡:今って日々いろんな情報が溢れているので、自分と向き合う時間って意外と少ないですよね。授業の中でおてつたびに参加する目的を15分くらい考える時間が取れたら、自分の内面に向き合う準備になるのかなと思います。
そして現地に行って、いろんな課題にぶつかって、自分のいいところも変えていきたいところも見えてくると、自分と向き合わざるを得なくなる。そういった過程が成長に繋がっていくと思います。また、私個人の思いとしては、地域の面白いところも良いところはもちろんですが、泥臭いところや日本の地域が抱える課題も含めて自分の足を使って見てきてほしいと思います。
佐々木:永岡さんが今日おっしゃったことは、「多文化社会で働く」などのいくつかの授業の中核メッセージとほぼ同じなので、学生には刺さるなという風に思っています。
日本はこれからどんどん多文化になっていくし、日本人以外と働く人も増える中で、毎日がカルチャーショックの連続になると思うんですよね。違う価値観の人と出会った時そこでくじけていちゃだめで、そういう意味でも「自分の価値観をどうやって広げていくか」って考えるのが大事だと思っていて。それが学部の教育目標にもあるので、おてつたびさんの想いと重なりますね。
永岡:インターネットでほぼ何でも分かる時代だからこそ、現地に行って、体を動かして五感で感じる。そしてそれを自分の言葉にして第三者に伝える。そういった経験によって価値観はきっと広がっていきますよね。私は「経験は誰にも盗まれない」という言葉が好きです。学生さんには、地域にたくさん訪れて色々な経験をしてほしいです。
佐々木:いやぁいいですね。うちの学部のモットーの1つは「動け!」なんです。教員も動いてるし、学生も動いてるし、時代も動いてるし、だから学部としても変わっていく。メディアテクノロジーは日進月歩なのでキャッチアップするのも大変だけど、それを教育に生かすことができないかなって試行錯誤してるのがコミュニケーション学部です。だから、動いて、経験して、考えていく。そしてまた動く。
こうやって話していたら、うちの学部が行いたい教育とおてつたびさんが実現したいことって同じなんだなとわかりました。これからが楽しみですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
<東京経済大学 コミュニケーション学部について>
【ご参考記事】
・コミュニケーション学部長 佐々木先生から新入生に向けた言葉
・コミュニケーション学部・グローバルインターンシップ(海外短期職業体験研修)のレポート
<株式会社おてつたびについて>
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