Engineerforceデザイナーの1/5が所属し、社内研修にも活用する、UIデザインの学習プラットフォーム「BONO」のカイクンにインタビューしてみました!
デザインチームのマネージャーを含むメンバーが入社前から活用している、UIデザインが学べるコミュニティ『BONO』。デザインチームには未経験のメンバーもいるのでBONOのYouTubeを教材にして共にデザインを勉強するシーンも多くあります。そんな、社内で存分に活用させていただいているBONOとはどんなコミュニティでどのようなきっかけで生まれたのか。コミュニティオーナーである甲斐 琢巳さん(以降、敬称略)にデザインチームマネージャー小出があらためてインタビューしました。
小出:
本日はよろしくお願いします!
甲斐:
よろしくお願いします!今日はインタビューをしてくれるということで。
小出:
そうなんです。Engineerforceのnoteに掲載予定なのですがインタビューはこれまでお世話になった企業様のみ対象に実施してきました。なので今回が初めてのそれ以外のパターンでのインタビューになります。
甲斐:
よろしくお願いします!
小出:
早速ですが現在、Engineerforceのデザインメンバーが15名ほどいるのですが、そのうち3-4名がBONO経験者なんです。
甲斐:
1/5くらいか。ありがとうございます!
小出:
これは本当にたまたまで、偶然あるタイミングで聞いたら割と人数いたので、前回僕個人がインタビューいただいたご縁もあって「BONOについてきいてみよう」ということで今回お時間いただきました。
甲斐:
ありがとうございます。もうなんでも。
小出:
せっかくなので色々聞きたいと思っているのですが、そもそも僕が甲斐さんのことをあまり知らなくて。
BONOを運営されている方だという認識はあるのですが、今何をされているのか、過去に何をされてきたのか、まずはデザイナー遍歴みたいなものからお伺いしたいです。
甲斐:
そうですね、たしかに。
まず2014年、まだロゴが小文字でSNSの会社だった株式会社MIXIに新卒デザイナー職で入社しました。ただ、2014年のMIXIはSNSが下降気味であると同時にモンスターストライクがあたっていた年で、入社した時はすでにモンストの会社になっていました。
当時の僕はソーシャルゲームをやりたいわけではなかったので1年で退職しまし、その後たまたま知り合い経由でNewsPicksに入ります。当時のNewsPicksはまだアプリがスタートして1年ほどで、メンバーでいうと10名少々くらいしかいないタイミングで1人目のUIデザイナーとして入ったのが2015年になります。そこで2年半ほど、UZABASE社が上場するまでデザイナーをしていて、Androidとiosのアプリ全般をやっていました。
ただ主観ですが当時のNewsPicksは代表と強力なコンテンツ力によって業界で話題になって登録者や課金してくれる方が増える流れで、「俺、特に何もしてなくない?」というのはずっと思っていました。そういった感情があったことや上場もしたこともあり、新しいことしたいと考えていました。
するとそのタイミングで知り合いから誘われて、代表とエンジニア2人と合わせて4人でスタートアップを立ち上げました。しかしそこでもなかなか意向が合わず、1年ほどでサービスリリースとシード調達くらいまでいた後に僕だけ抜けました。そこでサービス立ち上げとスタートアップを経験したという形になります。
小出:
ありがとうございます。今のが会社員経歴、のようになるんですかね。
甲斐:
そうですね、そこからフリーランスで活動して「自分で何かやらなきゃダメだ」と思ってたまたま始めたYouTubeにハマり、そこからもう少し深くやろうということで今のBONOのというきちんと学べるサービス、多くの人が知っているわけではないが、知りたい人にはニーズのあるサービスをやりはじたという感じですね。
小出:
ということは会社員時代も含めて、1人デザイナーというか、自分である程度全部やることが多かったんですかね?
甲斐:
まさに。僕MIXIのときくらいしか上司いなかったです。
小出:
そっちの方が合ってるというか好きなんですかね?
甲斐:
うーん多分合ってる。
小出:
でもそうでないと今1人でやってないですよね。
するとMIXIからスタートアップの会社まではどのくらいになりますか?
甲斐:
5年くらい。 最近気づいたんだけど、もう会社員の方が短いですね。
小出:
そんな時代を経て、YouTubeを始めたきっかけはなんだったんですか?
甲斐:
僕が動画を始めた2019年は中田敦彦さんとかビジネスYouTuberが流行り始めた時で、その頃にフリーランスでお手伝いしていた会社でも「YouTubeを出してみよう」となり、1本出してみたんですがその時は特に継続しませんでした。
しかしその後デザイナーの方々と会う時に「あの動画、良かったよね」との声をもらって、当時自分が何に挑戦したら良いのかわからない状態だったのもあって「10本くらいYouTubeやってみるか」と思ってYouTubeを始めました。その頃はBONOつくるみたいなことはほぼ頭になかったですね。
小出:
そうだったんですね!逆にほぼ頭になかった状態からYouTubeを継続後、BONOを始めたきっかけはありましたか?
UIデザイン学習プラットフォーム
甲斐:
それもちゃんときっかけがあって、まず10〜15本くらい出して思ったのが、UIデザインの領域だと再生数が全然回らなくて。続けようか悩んでいました。
小出:
そもそものボリューム(市場)が足りてないということですかね。
甲斐:
そうです、それで悩んでいたのですがちょうどその頃にTwitter(X)のDMで「YouTubeを見てDMしました」というメッセージが届きました。その人は未経験からデザイナーになりたくてYouTubeを調べていたら僕が出てきたとのことでした。それを見て「ちゃんとデザイナーになりたい人が見ているんだ」と思ったんです。当時はコメントなども全くつかなかくて誰が見ているかわからなくて。そしてそれがきっかけでちゃんと学びたい人むけに何かやるのが良いんじゃないかと。YouTubeは続けていくのですがそれは別として学べるサービスを出してみようかなと思い、BONOが始まりました。
小出:
ということはアクセル踏むきっかけになったのはそのDMですか?
甲斐:
ですね。当時のYouTubeは100再生されなかったので虚空に球投げてる感じで。スライド作ったり話す内容考えて、撮影して編集して出して「再生数80」みたいな。
小出:
それくらいだと収益化も見えてこないですもんね…
甲斐:
そう、YouTubeは「どうしようかこれ」という状態でした。
小出:
ありがとうございます。そのような経緯で始まったBONOの、今の全体コンセプトは「UI/UXデザイナーになりたい人向けコミュニティ」のイメージですか?
甲斐:
見えているところで言うとUI/UXの基礎が学べる、オンラインコースとコミュニティがあるサービスというイメージです。
小出:
ではどちらかというと勉強できる場所的なイメージですかね、それはスタートから変わっていないですか?
甲斐:
そうですね、UI/UXをちゃんと学べるコンテンツがあるみたいな感じですが最初は結構タグラインとして「コミュニティ」という言葉を使っていたりしましたがどちらかというとやりたいことは「ちゃんと学べる機会を提供する」感じです。
小出:
ありがとうございます。そうするとやはり参加者はUI/UXデザインに関していえば初学者や学び直したいという方が多いんですかね。
甲斐:
多いですね。すごいざっくり話すと4割は全くのデザイン未経験、4割はWEB業界の経験はあってその後きちんとUIやりたい人。残りはすでに現場に出ている、くらいの比率ですね。
小出:
そうなんですね。弊社のBONO出身メンバーも他の全員デザイン会社での勤務歴はなくデザイナーとして1社目の正社員メンバーなのですが、続いて同じような環境のメンバーにフォーカスした質問をさせていただきたくて、デザイン未経験者やWEBの経験者などがUI/UXを学びたくてBONOに入り、学ぶとします。甲斐さんがオーナーとしてオフ会などをしていて感じる、そういった方々がよくぶつかる壁でいうとどういうものが多いのでしょうか?最初の壁を知りたいです!
甲斐:
あー色々あると思いますが、でっかい壁でいうと圧倒的に量が足りていないのに悩む、ですね。
小出:
なるほど。それは量が足りていないことに気づいていますか?
甲斐:
気づいていないか、気づいているのかもしれないけど悩みの方が大きいということかもしれないです。
なんでもそうだと思いますが、最初は何も知らないのである程度成長します。ただある程度わかってくるとどこかで右肩あがりに伸び続けられない時がきます。そしてまたどこかで伸び始めるみたいな。全体像がわかってからまた成長するというのはどのジャンルでもあると思いますがそこですね、一度伸びが鈍化した時に悩んでしまうというのは仕方ないですがやっぱりありますね。
小出:
好奇心でやっているうちの伸び率は高いだろうけど、お仕事にしたいとなると好奇心では越えられない壁が出てきて、そこを越えられない人の原因の多くは量であるという感じですかね。
甲斐:
そうですね、量をやれば色々わかってくるのでやれるようになってくるはずなのですがそんなに簡単ではないのでそこに至るまで結構時間がかかってしまいます。そこで不安や悩みの方が大きくなって手が動かなくなったり、変に情報ばかり追ってしまったりとかですね。
小出:
「本当にこの学習にリソース投下していいのか」という不安でしょうか。
甲斐:
そう、そんな壁が体感として結構ありますね。気持ちはとても分かりますが。
小出:
逆にいうとその壁越えたらある程度筋の通ったUIデザインはできるようになるという印象ですか?
甲斐:
そういう印象ですね。明確に調べてはいないのですが、うちのロードマップやり切った人は就職できたりとか絶対何かしらになってます。
なってない人はやり切ってない気がしますね。やり切ってポートフォリオまで作成したけど受かりませんでした、という人はあまり聞いたことがないです。
小出:
そうなんですね!でもということは「ここまでやったらある程度できるようになる」という動線は設計されているということですもんね。
甲斐:
そう。ただそこは難しい部分もありますね。
小出:
ロードマップ終えてポートフォリオまで作成できた人は転職したり副業したりしてるイメージですかね。
甲斐:
そうですね、給与が見合わなくてやめてしまう人もいますが。
小出:
ありがとうございます。続いて、BONOでいくとポートフォリオを作成し終えたあと、転職活動についてもお伺いしたいです。個人的にはこの転職活動にも壁はあると思っているのですが、ここはどのようなパターンがあるのでしょうか?
甲斐:
ポートフォリオができて就職するまで、ですかね。
小出:
はい、ポートフォリオ作成後、就職できた人と、その後あまりうまくいかなかった人の共通項ってあるんですかね?
甲斐:
うーんダメだったケースをあまり明確にできていないのですが1つ、受けている企業の数が少ない、というのは絶対あります。
小出:
そもそも。量の問題ですね。
甲斐:
そう、これもやはり量が絶対必要なんです。なぜかというと、当たり前だけど未経験から採用するというのはそんなにどこの企業でも思っているわけではないんです。
小出:
まあ企業としてはお客様にそれで価値提供しないといけないですもんね。
甲斐:
そうですね、会社からしたら価値が出せるからお金払うという話じゃないですか。だから未経験というのは採用する側も不安だと思います。
ただ、Engineerforceさんもその1つだと思いますが、タイミングが合う会社や未経験でもOKという会社は僕の観測範囲、少なからずあるんです。まずはそこと巡り合わないと、どれだけスキルがあっても未経験というだけで採用されない可能性もあるんです。やはり組織と自分のスキルが合うかはタイミングの部分が絶対あるので、最低30社は受けないと厳しいと思いますね。
小出:
もう感覚的には学生時代の新卒の就活をもう一度するくらいですかね。
甲斐:
あーまあそうかもしれないです。
小出:
あれも人によっては30社とか50社とかES出すじゃないですか。あのくらいの気概でやってもいいのかなって。
甲斐:
いいと思います。それくらいやらないとなかなかタイミングに巡り会えない気はしますね。
小出:
社会人経験があるとはいえデザイナーとしては未経験だから数打っていく必要はありますよね。
甲斐:
絶対あると思いますね。何社も受けられない人は脱落してしまうかなというのは感覚ありますね。
小出:
ありがとうございます。
これまでBONOメンバーの壁についてお伺いしてきたのですが、続いて甲斐さんがBONOを運営していく上で大変だったこともお伺いしたいです。
甲斐:
あまり求めてない答えかもしれないですが、最初BONOってドル($)で支払いの仕組みを作ってたんです。ノーコードで作成していることやプロトタイプ的にスタートしたこともあってドルでスタートしたらメンバーが50人くらいになった時に大きなレートの変化が起きてしまって。
その返金対応などに追われたのは大変でした。
小出:
ザ・初期サービスの悩みみたいな悩みですね。
しかもメンバー全員に関係あることですもんね。
甲斐:
メール送って返金額計算してって50人くらいにやりました。
そういったしんどさは1つありましたね。
他でいうと、メンバーの悩みが常に色々ありすぎてどこに対応するのが全体にとって良いのかがなかなか難しくてずっと悩んでいます。
例えば先ほどの話でいくと学習初期の悩みと転職活動での悩みって全然違うじゃないですか。コミュニティだとメンバーの悩みが見えやすいんですよね。そうするといろんな悩みに引っ張られがちなのでその中でどの悩みから解決しようとするかが難しいですね。
小出:
そこでどの悩みから解決していくかはBONOの軸をベースにその悩みを解決するのが良いのかという判断ですか?
甲斐:
カッコ良く言うと「BONOとしてはこうだよね」という部分と「サービス伸ばすにはこれ必要だよね」という部分がうまく合わさるところがベストではあります。
小出:
たしかにそうですね。
ということはこれからも拡大志向ではあるということでしょうか?
甲斐:
ありますね。でもとはいえまずは再現性を高める方が僕の意識としては高いかな。いろんな人を入れるというよりはまだ解決できていない悩みを解決する方が個人的には優先度高めで考えているかもしれないです。ただもちろん拡大はしたい。
小出:
拡大したいと思いつつ、まずはUI/UXを学ぶロードマップの再現性を高めていくと。
甲斐:
そうですね。
小出:
ちなみに今メンバーは何人くらいいるんですか?
甲斐:
今は継続300人ちょいくらいですね。
小出:
300人がUI/UXデザインを勉強しているコミュニティってないですよね。
甲斐:
ただ熱量差によって8:2の法則はありますね。
小出:
それでもその2割のメンバーはさきほどの話だときちんと量やるし結果が出てますかね。
甲斐:
それはやっぱりちょこちょこ(結果が)出てはいますね。
小出:
ありがとうございます。いよいよ佳境に入っていきたいのですが、今後2025年以降のBONOはどうなっていくのでしょうか。学びの再現性を出して人数を増やしていくのか、そのあたり含めてお伺いしたいです。
甲斐:
目先1年の話をすると、デザイン学ぶ人の悩みはBONOみると大体あるみたいな状態になるのが理想だと思うんですよね。で、具体の話をするとこれまで結構動画できてしまっているところはあって、メンバーに対しても新しいコンテンツを動画で作成してみてもらっていました。ただこれが通用しなくなってきている部分は数字的にも表れているので、初歩的な話ですがちゃんとBONOのサイトを構造化していきたいです。例えばFigmaのオートレイアウトについての動画を探したいときにすぐ見つかったり、先ほどの「なぜ30社受けるのか」という動画が載っていたり。そのようなことをすることで自分で学びやすくなると思っていて、そこをやると再現性が高まるのではないかと思うし、そのコンテンツがあるから新たに入ろうと思う人も増えるのではないかなと感じるのでこの一年くらいはその方向でサービスをよくしていこうというのは考えています。
小出:
なるほど。サービスをより一層活用してもらいたいという部分と、これまでのメンバーのデータを活用していく方向性にしてみるみたいな感じですかね。
甲斐:
カッコ良く言うとそうです。
普通に言うとちゃんと数字見てなかったですね。
小出:
そうかもしれないですね。
来年はその方向性で進めると。
甲斐:
そうですね、ベースを強くしたい。
転職した人や成長した人がnoteやTwitter(X)で発信してくれて、その人たちがBONOで学びましたってなったらメンバー増えると思うんです。今までもそれで増えているところはあるのでそこですね。手堅く。
すごい根本で言うと自分的にはUI/UXを教えたいわけではないんです。僕自身、デザインができるようになってから世の中に対して自分で前向きに取り組むための武器を持てるようになったんです。例えば友達が困っていたらサイト作ってあげるとかで加われるわけじゃないですか。それが自分の中で結構大きかったんですよね。そのいろんなところに溶け出せるというのがデザインの良さでもあり、それが誰でもできるようになる場所があった方がいいなと思っています。
スクールとかだとカリキュラムが見えないことが多いのですが、学び方や要素だけでもオープンにすることで「自分にもできるかも」と思える人がもっと増えるんじゃないかというのがあるので、そういった意味でも直近1年はUI/UXを学ぶ上で困っていることの解決をベースにやっていきたいです。
小出:
確かに僕も変わりました。もともと若干グラフィックやってたくらいから入社したのですがそこから会社の都合もあってWebデザインを学ぶことも出てきました。そうしてサイト制作ができるようになると自分の周りの集客などで困っている人にサポートができるようになりました。それはやはり強いのと、あとは自分で勉強して転職したという経験があるから他の業種にいきたいってなっても同じように勉強ができると思います。どうやったら新しいスキルが身につくかわかれば再現性出せるなと感じますね。
甲斐:
めっちゃわかる。まさにそうなんです。
それだと選択肢が広がるのでどんどん自分の人生にアクティブになりやすくなる。
小出:
可能性増やしていけますし、そうするとただのデザインコミュニティではなくなりますね!
甲斐:
2025にそこまでいけるかはわからないですが一応根本にあるのはそういうことですね。
小出:
そうですね、そういった人が増える場所になるといいなと思うのと、僕たちもそんな人たちとご縁があるといいなと思います。
甲斐:
それについても変な話、僕目線ですが完全未経験よりは1年でも「会社でデザインやってました」って言える方が市場の機会ってすごい明確に変わるんです。だからEngineerforceさんには悪いけど、入って1年で辞めてもいいくらいに実務経験でトライできる環境は大事なので僕は全然採ってもらっていいと思ってます。
小出:
確かに僕も履歴書などをみてて完全未経験と1年やってるは全然違うなと感じますし、ポートフォリオも未経験者がつくるものって似てきてしまうので実務経験大切だなと思います。
長くなりましたが本日はお時間いただきありがとうございました!
甲斐:
ありがとうございました!
Engineerforceデザインチームでは、一緒に働く仲間を募集中です。