自社オフィスの改修にあたって、SYMBOLPLUS は「働く場」を単なる機能空
間ではなく、思考と創造の基盤として再構築することを試みました。
この空間では、木造建築の持つ柔らかな骨格を生かしつつ、化学素材を極力
排除し、左官や和紙といった自然由来の素材を中心に用いています。左官に
は石川県産の赤土を使用し、木材との調和と湿度調整などの機能性を重視。
職人による三層の塗り分けにより、用途に応じて質感を調整することで、実
用性と審美性を共存させました。
また、内部には土佐和紙による障子を多用し、空間に温かみと柔軟性を与え
ています。たとえば応接室では、障子によって一時的に個室化することでプ
ライバシーを確保でき、収納棚を必要に応じて視界から隠す工夫も施されて
います。
この空間には、時代の変化に流されることなく、その土地の記憶や素材の背
景に根ざしながら、普遍的な価値を見出す SYMBOLPLUS の哲学が投影され
ています。