1|はじめに:ワークショップへかける想い
今回、春日部市体育館・公園様の公式Webサイトリニューアルにあたり、ワークショップを実施しました。
Web制作において一般的なのは、ヒアリングを行い課題を整理し、それを解決するためのデザインや構造を設計していく流れです。
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ですが、より本質的で解像度の高いWebサイトを設計するためには、現場の声を起点に考えることが不可欠だと、私たちは考えています。
また、現場で働く人たちは日頃思うところもあるはずです。
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一見するとWebデザインとスタッフの働き方は無関係のように思えるかもしれませんが、実は非常に密接です。
この視点は、Appleがなぜここまで強いブランドになったのかという思想とも重なりますが、今回は触りだけに留め、本題に入りたいと思います。
現場目線とクリエイティブの一貫性を重視し、現場の方々を巻き込みながら「一緒に考え、一緒につくる」ことこそが、良いクリエイティブを生み出す肝になります。
その考えのもと、今回のワークショップを企画しました。
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2|ワークショップ提案背景:クライアントが抱えていた“解きたい課題”
本プロジェクトでは、単なる機能改善やデザイン刷新にとどまらず、より上流から課題に向き合い、根本的な解決を目指したいというコムデとしてのスタンスがありました。
Webサイトは、見た目や機能を整えるだけでは、十分な成果につながりません。
「誰に」「どんな情報を」「どのように届けたいか」。
この前提が整理されていなければ、使いやすさや効果は限定的なものになってしまいます。
そこで今回は、制作に入る前段階として、
利用者視点と現場視点の双方を丁寧にすり合わせる場として、ワークショップ形式での取り組みをご提案しました。
特に重視したのは、
Webサイトの利用者に最も近い立場にいる現場社員の声を起点に考えることです。
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「一緒に考え、一緒に形にする。」というプロセスを共有することで、Webサイトへの理解や納得感を高めるためだけでなく、組織としての共通認識を育むこと。
それぞれが自身の仕事や役割に改めて向き合うきっかけになることも、このワークショップに期待した価値の一つでした。
3|ワークショップ:当日のリアル
今回のワークショップは、
「一緒に考え、一緒に形にする。」
というコンセプトのもと、6時間(!)かけて丁寧に進められました。
■ ワークショップのゴール
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ワークショップ通じて、Webサイト構築に必要な情報をアウトプットし、そのプロセスの中で解像度の高い現場目線と本質を引き出すこと。
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加えて、単に「見やすく、わかりやすいサイト」を設計するのではなく、
スタッフの方々自身が「自分たちが関わってつくった」と感じられる状態をつくることも、重要な目的としていました。
Webサイトを、単なる施設紹介ではなく、
スタッフの働くモチベーションや意志に立ち返る“場”として機能させたい。
その想いをもって、ワークショップを設計しています。
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序盤:まだ探り合いの時間
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長時間のワークショップであることもあり、序盤は場が温まるまでに少し時間を要しました。
これは多くの組織で見られる自然な立ち上がりであり、参加者が真剣に状況を把握しようとしている姿勢の表れでもあります。
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参加者の主体性を引き出すため、案件と直接関係がないように見える「個人に向き合う問い」も用意しました。
会社ごとではありながら、自分ごとでもある問いを投げかけることで、自然と内省が始まります。
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ここで、何も考えがない人は存在しません。大なり小なり考えや思想をもって人は働いています。それは高尚のものである必要はないですし、「まるで働くことは当たり前」と思える領域を、あえて掘り出します。
そうすると、その人の個性や思想が浮き彫りになってきます。
これは他者と行うとより客観化されていくので、ワークショップという形式が効果的です。
組織として、普段一緒に働く同僚や上司・部下が、どういう意志をもって働いているか、どういう価値観を持っているか、を可能な限り解像度を上げていきます。
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私たちコムデは、
個人の自己実現と企業の目的が重なるとき、その人は内発的動機づけが発火し能動的になると考えています。
序盤のワークは、そのための土台づくりでもあります。
ただしその土台がすぐに立ち上がるとは限りません。
スタッフ一人ひとりの心構えや参加姿勢、積極性が重要になる一方で、ワークショップ開始直後は、参加者それぞれが様子をうかがいながら、慎重に場に向き合っている様子が見られました。
意見がすぐに出てこなかったり、反応が控えめだったりと、まだ「どんな議論になるのか」をつかみきれていない状態です。
中盤:問いが深まり、言葉が解け始める瞬間
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個人の原体験や仕事への想いに触れるワークに入ると、場の空気は徐々に変化していきました。
誰かが前に出て付箋を整理し始める。
これまで発言の少なかったメンバーが、他者の意見をきっかけに自身の気づきを語り始める。
受け身だった姿勢が
「他者の言葉をヒントに考える姿勢」へと変わっていく。
チームの「スイッチが入る瞬間」が確かにありました。
自己のモチベーションと会社の目的が重なり始めることで、意見交換は活発になり、場全体の熱量が上がっていきます。
- Sさんの言葉
「付箋に自分の考えを書き出す作業が、とても楽しかったです。
利用者の感情や視点に寄り添ったサイトをつくれるよう、向き合っていきたいと思いました。」
受け身から主体へ。
その変化が、会議室全体の空気を徐々に温めていきました。
終盤:一人ひとりが“自分ごと”になり、チームの表情が変わる
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終盤には、序盤とはまるで別のチームのような空気が生まれていました。
遠慮が薄れ、率直な意見が交わされ、笑顔や自発的な発言が増えていきます。
6時間という長時間にもかかわらず、
中盤以降は疲労よりも前向きな集中が勝っていきました。
それは、
「聞かされる時間」から
「自分たちでつくる時間」へと性質が変わったからだと感じています。
ファシリテーターが各テーブルに入り込み、一人ひとりと対話しながら場を動かしていくことも、このワークショップの価値を支える重要な要素でした。
4|結論:春日部市体育館とは何だったのか
最終的にたどり着いた問いは、
「春日部市体育館とはそもそも何なのか?」でした。
結論から言うと、
春日部市体育館は「ただの体育館」ではありません。
この言い回しは「?」かと思いますが、これはAppleが幾千あるコンピュータ会社の一つでしかないにもかかわらず、なぜここまで強いブランドになったのかという文脈と重なる部分があります。
Appleは「コンピュータを作る会社」である前に、
人類を前進させることを目的に掲げています。
目的が先にあり、その動機づけが人を惹きつけ、結果としてイノベーションを生んできました。
👉興味のある方はこちらの動画もぜひご覧ください
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では、今回のプロジェクトの問いに戻ります。
「春日部市体育館とは何か?」
表面的な答えは、
「春日部市にある総合体育館」です。
しかし、ワークショップを通じて見えてきたのは、次のような姿でした。
- あらゆる世代の人たちが行き交い、クロスする場所
- スタッフを含め、年配の方、子どもとその保護者の方々、スポーツ選手の笑顔が集まる場所
- プロスポーツの試合も行われ、子どもたちが夢を見つけるきっかけになる場所
現場の声を聞く中で、ファシリテーターとして強く感じたのは、
「子どもたちに夢をつくり、高齢者の笑顔を生み、健康寿命を延ばす場」
であるということでした。
それは、日本が今まさに直面している社会課題を一挙に支えているということでもあります。
春日部市体育館が担っている役割は、日本の課題と、間接的であっても確かに向き合う場である、ということです。
スタッフの方々の何気ない日々の仕事が、
実は春日部市を支え、日本全体を下支えしている。
その事実に、率直に心を動かされました。
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5|その後:コムデとしての仕事
ワークショップによってコアとなる考え方が定義された後は、そのコンセプトを、具体的な形へと落とし込んでいきます。
ワークショップを通すことで、表面的な議論に終始する会議ではなく、本質的で縦断的な目的設計が可能になります。
ここからはコムデ側の役割です。
ワークショップで抽出された課題や改善点を整理し、JJGの5階層モデルに振り分けながら、課題のコアと優先順位を見極めていきます。
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上流のコンセプト設計と、具体的な改善点を5階層に沿って整理し、
実際のWebサイトへと反映させる。
この両輪を回すことで、構築の手立てを盤石にします。
ワークショップから得られた示唆は、見た目だけでなく情報構造や骨格部分にも反映されます。サイトマップもそれらを踏まえて立体的に設計していきます。
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▲サイトマップ一覧
ビジュアル面では、コンセプトから逆引きする形でムードボードを作成し、参照サイトの洗い出しなどを行います。
言葉とビジュアルの両面で定義を行い、チーム内、そしてクライアントとの共通認識を丁寧に揃えていきます。
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ここからはひたすらコンセプトにブレないようにつくり上げていくフェーズです。
6|さいごに:コムデのワークショップの特徴
コムデは、「つくり始める前の準備」を非常に重視しています。
ワークショップを通じてコンセプトを引き出し、プロジェクトを本質的なクリエイティブへと導いていきます。
また、このワークショップには、
良いクリエイティブを生むこととは別の、もう1つの目的があります。
それは、
参加した方々の内発的動機づけを発火させ、
エンゲージメント(モチベーション)を高めることです。
スタッフ一人ひとりの帰属意識を高め、
モチベーションをエンパワーメントする。
その仕組みが、コムデのワークショップには組み込まれています。
今回はプロジェクトに紐づく形でのワークショップでしたが、
コムデでは、ブランディングや従業員エンパワーメントに特化したワークショップも提供しています。
ワークショップを通じた制作自体は他社でも行われていますが、
現場の人を巻き込み、現場のモチベーションを高めることに特化している点が、コムデの思想であり他社とは一味違う点です。
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AIの進展や労働者人口の減少により、労働生産性の向上が求められている今だからこそ、個と向き合った上での企業活動がより重要になると考えています。
コムデでは、そうした思想を軸にしたワークショップを複数ご用意しています。
ご興味があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。皆さんの現場でも、ぜひご一緒できれば嬉しいです。
それでは!現場でお会いしましょう!
お問い合わせ先
📩 info@commude.co.jp
📞 03-6907-1958