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雑誌 『装苑』 2024年1月号:インタビュー VOL.5 3Dアバターサービスのクリエイション

この記事は「『装苑』 2024年1月号」に掲載された記事の一部を許諾を受けて転載しています。photographs : Jun Tsuchiya (B.P.B.)
hair & makeup : Shizuka Satake

ココネさんと考える
仮想空間で活躍するファッションデザイナーになるには?

VOL.5 3Dアバターサービスのクリエイション

仮想空間で過ごすための「アバター」への注目度がぐっと高まっている今。その中で、アバターを取り巻く仕事は、新時代の職業として熱視線を浴びています。ポケコロシリーズで有名なココネさんとともに、アバターデザイナーの仕事を知る連載。第5回は、どの角度から見ても楽しめることが魅力の3Dアバターサービスの創作過程について、制作現場の最前線にいる方々のお話でお伝えします!

Process ポケピアの宮本愛夏さんが教える 3Dアバターが生まれるまで

宮本さんが手がけたガチャ「天使の癒しの歌声」の2D、3Dデザイン画。細かな腕の装飾は個別に絵を描いた。天使の羽は人気アイテムだが、3Dでは表現が難しいアイテムの一つ。360°回転しても羽のテクスチャーが損なわれないよう工夫されている。

チームワークを大切にするポケピアの制作プロセス

一つのガチャができるまで、約2か月半〜3か月を要します。すべてのスタートは2か月に1回開かれる、2Dの商品企画デザイナーたちによるテーマ提案の会議。ほかのサービスと同じように、市場やサブカルチャーのトレンドリサーチを行いつつアイデアを持ち寄って話し合います。ディレクターがその中からテーマを決定すると、いよいよ実制作へ。2Dデザイナー1名と、ファッション担当、背景担当の3Dデザイナー各1名の3人チームで進めることが多いです。さらにテクニカルアーティストが技術面を、モーションデザイナーがアニメーションを担います。売り物の強さや、アイテムのレアリティも鑑みて商品ラインナップを決め、デザイン画を描きます。基本的に正面、側面、背面の三面図を描きますが、場合によっては一部を省略することもあります。2Dの絵で完結するわけではないため、2Dと3D担当がコミュニケーションをとりながら詳細を詰めていくことが大切です。基本的に、モデリング→色・質感のテクスチャー→アニメーションという順で3D制作は進み、販促打ち合わせとクオリティチェックをしたらリリースです

宮本愛夏さん
2014年、ココネ入社。「ポケピア」商品企画デザインチームリーダー。

制作していて最も感動するのは、3Dのモデルが上がってきた時です。私が3Dアバターサービスに携わったのは「ポケピア」が初めてだったので当初は苦労も多かったのですが、そのぶん、日々、発見と喜びの連続ですね。ポケピアでは、世界観により深く没入できるテーマに、多くの反響をいただいています。テーマ設定では、いかに自分自身の中にある青春の心を取り出して空想を爆発させるかも重要です(笑)。そして没入感を高めるためにも、アイテムの大きさや角度による見え方の違いは、デザインする際に特に重視するポイントですね。ガラスやラメなどの、3Dでは表現が難しい素材感も、チームで模索することで実現できるようになりました。これからも表現の幅を広げていくことで、ポケピアをお客さまの「好き」が詰まった場所にできたらいいなと思っています。

「恋に夢見るマーメイド♡」2D、3Dデザイン画。

2Dデザイナーと3Dデザイナーはどんなふうに一緒に仕事をしているの?

右:2Dデザイナー 上場 舞さん
2014年、ココネ入社。「ポケピア」クリエイティブディレクター。
左:3Dデザイナー 清水千翠さん(仮名)
2022年、ココネ入社。3Dデザインチーム、キャラクターモデリングリーダー。

3Dで探る、新しくかわいいファッション表現の可能性

上場 清水さんとは2022年6月から「ポケピア」で一緒にお仕事をしています。

清水 私はかわいいものが好きでココネに入社したので、なんでも作っていて楽しいのですが、中でも、髪の毛を作るのが好きです。

上場 2Dのデザイン画どおりに髪の毛をモデリングすると、ロープみたいになってしまうことがありますが、そこを清水さんが「厚いところと、薄いところのメリハリをつけて」とディレクションしてくれたことで、すごくよくなりました。

清水 ウェーブの髪をモデリングする時は、どういうふうにカールさせるのか?と考えます。ヘアアイロンに巻きつけた髪は、内側がちょっと平たくなり、外側に丸みが出ますよね。そういうところまで考えて立体を作らないと、違和感が出てしまう。数値にしたらコンマいくつの違いが大きな印象の差になるんです。

上場 ポケピアは少しずつレベルアップしてきたところがあります。例えばボリュームスカート。2Dで見てすごくかわいいボリュームスカートも、3Dにするとアールが強すぎて横から見た時にインナーが見えてしまったり、腕が中に入り込んでしまったり……。それで一時期、スカートのボリュームを軒並み抑えていたことがあったのですが、清水さんたちと相談することでだんだん解決策が見えてきて、3Dでもかわいいボリュームスカートを作れるようになりました。

清水 2Dデザイナーさんが描く正面がかわいいデザイン画の印象を残したまま、3Dではどう表現できるのかを考えます。上場さんは素材感も指定してくださるため、同じガチャを担当した時は、生地を調べるところから始めていました。

上場 そこは服飾学校(文化服装学院)に通っていてよかったところですね。あとポケピアは靴がかわいいんです! 清水さんがディレクションすると、ヒールのちょっとした傾斜のあんばいで靴が本当に素敵になるのが感動的。

清水 アバターを作っていると顔に注力しがちなのですが、ファッションが好きな方は、むしろ靴をよく見ていますよね。パンプスを3Dでモデリングする際は、似たようなヒールの高さの靴を実際に確認します。靴そのもののかわいさもあるのですが、パンプスを履いた時にできる足の甲の膨らみもかわいかったりするので、そこも含めて見たりして。靴に限らず、目の前にあるものはすべて立体に起こせるか?という視点で見ています。

上場 既存のかわいさのさらに上を目指しているのがココネ。清水さんが作るものは2Dデザインを超えてくれますし、3Dアバターサービスだからこそ、「もっと上のかわいさ」に届く可能性が秘められていると感じています。

上場さんと清水さんのタッグで生まれたガチャ

「ストロベリークリスマス」は、思いきり甘くてかわいいクリスマスのテーマを作るという発想から生まれた、キュートなガチャ。透け感のあるスカートやニットのケーブル編みなど、ファッション好きにはたまらない細かな表現がたくさん。

「少女とテディ思い出のParis」は、テディベアの世界に囲まれるファンタジックなテーマ。アバターがテディベアを持つ表現に、3Dデザインの工夫と試行錯誤があったという。

清水さんこだわりの靴! ストリートムードが反映されたハイテクスニーカーも、リボンつきのキュートなパンプスも、おしゃれ心と所有欲をくすぐる3D表現が実現している。


ココネの3Dサービス

ポケピア – ポケコロユートピア

2022年3月配信開始のスマートフォン用3Dアバター着せ替えサービス。ココネの人気サービス「ポケコロ」のかわいさはそのままに、ファッションやインテリアのスタイリングを360°のデジタルワールドで楽しめる!

C.A.T. Club

デジタルアートトイを集めてコレクター同士の交流を楽しむ秘密クラブとして、2023年9月にリリースされた新しいサービス。クリエイター陣がこだわって制作したデジタルアートトイの高いデザイン性が魅力。

今月のまとめ

2Dデザイナーと3Dデザイナーが互いをリスペクトすることで新しいかわいさが生まれる!




『装苑』 2024年1月号




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