この記事は「SWITCH Vol.41-No.6」に掲載された記事を許諾を受けて転載しています。
PHOTOGRAPHY: GOTO TAKEHIRO
TEXT: KAWAKAMI HISAKO
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山下ひかり モーションデザイナー
2017年に東京造形大学アニメーション専攻領域を卒業。同年にココネに入社後、アバターアプリ『ポケコロ』のモーションデザイナーを経て、2021年より『リヴリーアイランド』のモーションデザインを担当している
好きなタイトルだからこそ 生まれる葛藤をバネにして
━━『リヴリーアイランド』の立ち上げ当初からモーションデザインを担当されていたそうですね。
「初期に登場したツノリムルやモモス、ブラックドッグの動きから担当しています。リヴリーアイランドは子供の頃から長年楽しんでいたタイトルだったので、まさか自分が働いている会社で新バージョンが発表されるとは思いませんでした」
━━リヴリーアイランドとの出会いはいつ頃でしたか。
「小学生の頃、友達の家でクラシック版を見せてもらう機会がありました。そこでリヴリーたちに魅了され、二〇一四年頃までリヴリーを飼い続けていました」
━━大学ではアニメーションを専攻していたとお聞きしましたが、もともとアニメやゲームが好きだったのでしょうか?
「最初は興味が薄い分野だったのですが、高校生の頃に制作したゆるい動物のアニメーションをきっかけに、自分にとってやりたい表現がしやすい手法だと気付きました。また周りの友人にアニメ好きも居たことから、魅力を知るために大学で学んでみようと考えました」
━━リヴリーアイランドのモーションデザインをする上で大切にしていることはありますか?
「チーム全体で大切にしているのはリヴリーの“生き物らしさ”です。愛着が途切れないよう生物としての自然さを意識しながら動きを作ります。妥協せず、何度も確認と調整を繰り返します。二十年以上前から愛され続けているリヴリーアイランドは、多くの飼い主さんたちの思い出を背負っています。それを尊重しつつ、リヴリーが生まれ二十年経った後の今の研究を届けるため、最新の研究としてどう着地すべきか、変化をどうポジティブに届けるか、異なる価値観の中ですり合わせ、細部にまでこだわって制作しています」
━━動きに関してこだわられている部分を具体的に教えてください。
「愛着のきっかけになるような+αの味付けを心掛けています。例えばリヴリーの毛先の揺れ。かなり細かいですが無意識に感じ取れるリアルな質感が愛着に繋がると思っています。その他フックとなるユニークな仕草を足せないかなど常に探っています。ここは個人の価値観で変わる難しい部分で、後任の育成にも力を注いでいます」
SWITCH Vol.41-No.6, スイッチ・パブリッシング
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