サステナビリティとテックの融合で企業価値向上を目指す新たな挑戦――S&P Global元ESG Solutions日本ヘッドの中久保菜穂が語る、なぜ今シェルパに参画するのか【CEO × CEIO対談】/後編
2023年7月、Vigeo Eiris(ESG評価機関)アナリスト、デロイトでのESGコンサルタント、 S&PグローバルでのESGソリューションズ日本ヘッドなど、ESG分野における経験が豊富な中久保菜穂氏を、チーフイノベーションオフィサー(CEIO)として迎え、SmartESGのサービスをさらに発展させていく。CEOの杉本氏とCEIO中久保氏は、テクノロジー(AI)とESG情報開示でどのような挑戦をしていくのか、対談の様子(後編)を紹介する。前編では、中久保氏がどのような経緯を経て、シェルパ・アンド・カンパニーに参画することになったのか、これまでの経歴やその経験から感じたことが語られている。
中久保菜穂 略歴(プロフィール)京都大学を卒業後、ロンドン大学(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス:法学修士)を修了の後、ロンドンにあるVigeo Eiris(ESG評価機関)に入社。帰国後、デロイトに入所しESGアドバイザリー業務に従事。企業のサステナビリティに関するコンサルティングを行う。その後S&P Globalへ入社し、日本のESGビジネス開発をリード。2023年7月にシェルパ・アンド・カンパニーのCEIO(チーフESGイノベーションオフィサー)に着任。
サステナビリティによる企業価値向上の実現へ。高い専門性とテクノロジーの融合。
杉本:シェルパ・アンド・カンパニー(以下、シェルパ)は、新たに中久保氏をお迎えすることになり、ますます新しい挑戦ができることを嬉しく思います。当社は、これまでESGの現場の実態を把握すべく、数十〜百を超える会社にインタビューして課題を掘り下げ、「SmartESG」のサービスを開発してきました。中久保さんが当社でチャレンジしてみたいことなど考えていることはありますか。
中久保:シェルパのSmartESGは、まさに私が評価機関やコンサルタントとして働いているときにあったらよいなと思っていたサービスそのものでした。前編でもお話した通り、ESG評価を受ける側/評価する側には、ニーズや理解のギャップがありました。特に、企業側は、情報の開示の意図がわからず何を開示してよいか不明な場合が多い。こうした状況に対して、ESG情報のプラットフォームともなるSmartESGのさらなる利用を増やし、適切な情報開示を促進していきたいという思いがあります。
杉本:SmartESGは、企業が「ESG情報開示(ESGに関連する非財務情報をまとめ、投資家に開示すること)」を行う際に生じる各種業務の手間を大きく削減できるサービスです。大きな手間のかかるESGデータの収集、まとめ、管理を一括で行えるようにしながら、外部調査への対応やESG関連のワークフローの最適化などにも役立つプラットフォームとして複数の外部評価の質問の特性などもテクノロジー(AI)により分析できるので、自社のESG情報開示の質向上に向けて、取り組みを推進させることにもつながります。
中久保:評価機関も、ESG評価を進めるためには、より多くの企業にデータを開示してもらうことが必要です。SmartESGの導入が進み、テクノロジーによって精査された情報が、今まで以上に企業から開示されれば、分析が進むでしょう。このことにより、これまで以上に評価の質が高まるはずです。
杉本:シェルパのSmartESGに期待を寄せていただいて嬉しいです。サービス以外にも、中久保さんからみて当社の強みはどこにあるとお感じですか。
中久保:シェルパは、評価機関でも企業でもない第三者的立場である点が強みだと思っています。特に、私を含めてあらゆるバックグラウンドのメンバーが揃っているので常に客観的に状況を把握できると思います。私でいえば、ESG評価機関、企業、NGO、金融機関向けデータプロバイダーとさまざまな立場から、ESGを見てきましたので、それぞれにとってどのようなサービスがあれば良いのか、考えやすいと思います。
杉本:私自身も金融機関での経験が長いので、互いにあらゆる視点や知識を融合して新しいプロダクトの創出をしていきたいですね。中久保さんも、チーフESGイノベーションオフィサーとしてどんどんチャレンジしてほしいです。シェルパに入って実現したいことはありますか。
中久保:SmartESGを更に洗練させて、企業の外部評価対応の時間を削減し、ESGの取り組みそのものを高度化させるリソースへ分配できるようにしたいですね。外部評価は、さまざまあり、その質問項目は一見多様に見えます。しかし、実は聞かれている根本的な論点は同じである場合が多いので、そうした観点を整理して見えやすいように現状のサービスに追加できたらと思います。
まずは、データプロバイダー、評価機関とのつながりを広めながら、テクノロジーも高度化し、外部評価対応へのサービス品質を高めたい。そして、次に企業がどのようなESG取り組みを推進すればよいのか、テクノロジーを活用して、課題解決をしていくようなサービスにまで発展させたいですね。
杉本:今後は、AIをはじめとするテクノロジーを強化してまいります。新たにAI事業部も立ち上げ、著名なエンジニアやエキスパートが続々と参画し始めています。業務効率化だけでなく、ESGの取り組みが企業価値の向上につながることを可視化するサービスにチャレンジしていきたい。テクノロジーを用いて、サステナビリティが企業価値向上を実現することを証明し、さらなる取り組みの推進をしていきたい。そのために、中久保さんのこれまでの知識・経験をテクノロジーと融合させていきたいです!
ESG評価に携わる身として自身のサステナビリティにも注力
杉本:最後に、中久保さんの仕事以外での過ごし方についてうかがいたいのですが。どのように過ごされることが多いのでしょうか。
中久保:日本に戻ってきて、改めて日本文化の良さを客観的に感じています。時間があれば、神社仏閣巡りをして文化財などの歴史に触れながら、同じ場所で過ごした様々な人々の様子を想像しては楽しんでいます。
杉本:現在のお住まいの地域(京都)だと歴史的建造物も多いので、ぴったりのロケーションですね。出かけることがおおいのでしょうか。
中久保:そうですね、書籍を読むのもわざわざ神社に行ったりもします。どんなに忙しくても、昔から存在するところにいくと心が落ち着きます。歴史的な場にいると自分も長い人類の営みの一部として感じることがあります。読んでいる書籍はESG関連の場合が多いので、日々の仕事を完全に忘れられていないのですが(笑)。
杉本:仕事も含めて個人的な活動などで気を付けていることなどはありますか。
中久保:サステナビリティやESGの取り組みを推進する立場として、自分の「サステナビリティ」を意識するようにしています。自身が発信するポッドキャストでもよく話していますが、ついつい仕事が楽しくて長時間労働になってしまったり、寝食を忘れてしまったりと、サステナブルでないことがあります。医者の不養生みたいですね。忘れがちですが、サステナビリティを推進する立場の人々も、サステナブルでないといけません。その意識は常に持ち続けています。
杉本:シェルパでも、サステナビリティ・ESG分野で働くものとして自社のサステナビリティは強く意識しています。特に、スタートアップの段階だからこそ、深く浸透させたいたいと思っています。そのために、「Bet technology, Get Sustainability」というバリューを掲げ、テクノロジーを最大限活用して属人的な仕事を排除し、サステナブルに仕事ができるように取り組んでいます。
中久保:テクノロジーは、社内のサステナビリティや人権取り組みにも活用できると思っています。たとえば、メール本文をAIが分析して、文面からハラスメントを特定するなど、予防的措置が講じられると思います。そのような取り組みに関する社内での経験を活かして、社外的にもサステナビリティとテクノロジーの活用を示していけるとよいかもしれませんね。
杉本:サステナビリティを社内に浸透させて、他の企業にも紹介できるようになると良いと思っています。会社自体が、社会によい影響を与える、そんな存在にもなれたらと思っています。
これから、シェルパ・アンド・カンパニーは、ESG評価をはじめとするサステナビリティの専門家である中久保さんをはじめ専門性の高いメンバーを迎え、新しいプロダクトにどんどんチャレンジしていきます。これからも、企業のサステナビリティの発展、さらには自社のESGの取り組み推進に向けて、力を合わせていきましょう!
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現在シェルパでは多くの職種で採用を強化しています。
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