こんにちは。採用担当の多田です。
サステナビリティ経営支援のスタートアップ、シェルパ・アンド・カンパニーは、2025年8月にシリーズBラウンド・ファーストクローズを完了し、大手企業による導入やパートナーシップが次々と決まる成長企業として注目を集めています。
今回は、昨年入社し現在プロダクト開発部・Enablingチームのテクニカルリードとして活躍する上野伸一さんにお話を伺いました。転職活動中は大手コンサルティング企業からの内定も受けていた中で、なぜスタートアップであるシェルパを選んだのか? そして、入社から1年半、一度もオフィスに足を運ぶことなくフルリモートで働く彼が感じる、シェルパの技術組織としての魅力とは?
プロフィール 上野伸一(うえの・しんいち) シェルパ Enablingチーム テクニカルリード。2024年6月にシェルパに入社。Microsoft Azure、AWSでの豊富な開発経験を持ち、データモデリングと設計論に精通。現在は基盤刷新プロジェクトのアーキテクティングを担当。
大手コンサルかスタートアップか——挑戦への想いが決め手
——まずは上野さんのシェルパとの出会いから教えてください。
実は、シェルパに応募する前に大手コンサルティング企業からマネージャーロールで内定をいただいていました。大手企業の安定した環境は魅力的ではあったものの、その時の僕の中には「技術的に面白いことに挑戦したい」という強い想いがありました。
挑戦するなら今だと思って、ベンチャー・スタートアップ領域で活動したいと考えていました。そんな時に週刊東洋経済「すごいベンチャー100 2022年最新版」でシェルパを見つけ、技術的に高い目標に挑戦できそうな企業だと感じて応募したんです。
当時の僕は、正直、ESGやサステナビリティについてはまったく理解していませんでした。CSRのような、企業が責任として取り組むもので、自分たちとは遠い世界のものだと思っていて。でも入社後、CSuO(Chief Sustainability Officer)の中久保さんと話す機会があって、個人や組織レベルでも持続可能な働き方を目指そうという考え方があることを知り、「そういう捉え方もあるのか」と初めて自分ごとのように考えるようになりました。
——技術的な部分でもシェルパに興味を持たれた理由があったそうですね。
はい。実は応募前にシェルパが使用している技術スタックを調べて、おそらくこういう課題にぶつかっているだろうと予想できたんです。
僕自身、前職でAmplifyを使った大きな開発をしていて、その時に見つかった課題から、「このままAmplifyで進むとこういう問題が出るだろう」というのが分かっていました。そこで共同創業者でVPoEの小川さんに、データを分割し、RDB へ段階的に移行する案を提案しました。
「エンジニアがエンジニアリングできる環境を作る」——Enablingチームの使命
——現在はEnablingチームのテクニカルリードとして活動されていますが、このチームのミッションをどう捉えていますか?
Enablingチームの僕の中でのミッションは、一言で言えば「エンジニアがエンジニアリングできる環境を作る」に尽きると思っています。
これを説明するために、よくアートとデザインの違いの話をします。アートは自己表現、デザインは機能性の追求です。似ているようで違います。では、エンジニアがエンジニアリングするとはどういうことか?
エンジニアリングの本質は、科学的根拠や数学的原理を使って再現可能な成果を出すプロセスを構築することです。僕しかできないのであれば、それは再現可能性がゼロ。誰がやっても同じ水準で再現できて初めてサイエンスとして成立し、それが組織の力になります。
業務要件や業務プロセスは、数理論理学や述語論理学といった数学的アプローチで分解できるんです。要件からユースケース分析を丁寧に行い言葉の定義を明確にしてモデルへ写像し、分割・設計する。その再現可能性を支える土台を用意することが、Enabling チームの最大の使命だと捉えています。
——理論と実践の両方を重視されているのが印象的です。
そうですね。理論だけじゃなくて、実際に手を動かして検証しないと、本当に適用できるかどうかわからないんです。
僕は自分が提案する方針や設計が本当にうまくいくのか、必ず自分の手で作って検証します。実際にやりながら「これはちょっと違うな」「これは上手だな」を繰り返して、最終的な成果物として仕上げていくんです。
現在は、社内パッケージとして共通化できるものをテンプレート化して、React、tRPC、Prisma、RDB、AWS CDKなどを一まとめにしたものを作っています。ブランチを切ったら10分で新規開発のための環境ができる、というところまで持っていきました。これも何度も何度も自分で検証を重ねた結果です。
マイクロサービス化で目指すもの——チームの独立性とスケーラビリティ
——現在進めている基盤刷新プロジェクトについて教えてください。
今回、SmartESGのマイクロサービス化によりソリューションを分割することを決めました。これはチームトポロジーの考え方にもつながりますが、SmartESGが予想以上に成長したことが大きな要因です。
正直、僕自身シリーズBまで行くとは思っていなくて、技術的に楽しければいいやくらいに思っていたんです(笑)。でもSlackで大手企業からの導入決定の報告が続々と上がってくるのを見て、「シェルパは本当にすごい会社なんだな」と。
成長に伴ってメンバーも増え、現在は小川さんと二人でAWSのリソース上限に文句を言っている状況です(笑)。実際にリソース上限に引っかかって環境を作れない、並行して開発できない、といったスケールの問題が出てきているんです。
——並行性の肝は、境界の明確化が重要だと。
そうです。「どこからどこまでが誰の責務か」を明確にし、チームをその境界に沿って再構成する。そういう構成になっていれば、何もせずに放置しておくと起こりがちな「壊れるのが怖くて手を出せない」という状況を避けられます。
最終的には各チームが独立して並行リリースしながら進められるような環境を目指しています。
——技術選定についてはいかがですか?
NoSQLからリレーショナルデータベースに変えることが、データモデリング的には一番大きな変更ですね。あとは、GraphQLをやめてtRPCを積極採用することで、フロントとバックエンド間での型共有をシームレスにして、開発者体験を上げています。
僕自身、長年システム開発をしてきてモデル駆動という考え方が好きなんです。フロントエンドの技術と顧客の業務要件は全く異なる領域で、ReactやFlutterで作るからといって業務要件がそれ向けになるわけではない。技術とは関係ないところに業務要件は存在していて、それをどうソフトウェアの中に反映するかが重要なんです。
福岡からフルリモート——距離を感じない働き方
——上野さんは福岡在住でフルリモート勤務ですが、働きやすさはいかがですか?
シェルパは情報の透明性がすごく高くて、働いていて気持ちいいんです。小川さんとは一度も対面で会ったことがないのに、もう何年も一緒に仕事をしているような距離感に感じることができる。
特にシェルパの魅力的なカルチャーは、「クローズドなコミュニケーションはやめよう」という方針があることです。個別チャットは基本的に禁止で、チャンネルも機密情報を扱うもの以外は全部オープンで作る。誰が参加してもいいし、みんなが見える形でコミュニケーションを取る文化があります。
——リモートワークでのコミュニケーションで気をつけていることは?
非同期コミュニケーションが主になるので、テキストのやり取りが多いです。テキストでのやり取りはどうしても機械的になってしまうので、自分がニコニコしながら打っている文章であっても絵文字を使用するなどしないと感情が見えにくいと思っています。びっくりマークや絵文字、顔文字を必ずつけてメッセージを伝えるようにしています。
これは「おじさん構文」と呼ばれることもありますが、僕は素晴らしいと思うんです。こういった配慮はテキストコミュニケーションにおいては重要だと僕は感じています。
——ドキュメンテーション文化についてはどう感じていますか?
Notionにドキュメントを必ず残す文化はすごくいいですね。後から振り返った時に、Slack上で流れていってしまった情報でも、必ず見つけることができます。
あとはフランクな企業文化と、提案内容を真摯に受け取ってくれること。そして何よりスピード感が大きいです。大企業だと「じゃあ来年度の予算に上げますか」となりますが、シェルパは「やってみようか」となる。このスピード感があって、適切に判断してもらえて、レスポンスも返してもらえる。やろうと思ったら一緒にやってくれる環境は、エンジニアとしてかなり働きやすいです。
当社に興味をお持ちのエンジニアへのメッセージ——素直さと学習意欲を重視
——今後、どういう方と一緒に働きたいですか?
Enabling チームは、皆が自立したチームとしてモデルを共有し、独立して開発を進められる状態を目指しています。そこで求めるのは、まず 新しいことを学び続ける意欲です。世の中に知らない技術はいっぱいありますから。
僕自身も知らない技術はいっぱいあるので、そういったものをどんどん吸収していけるメンバーと一緒に仕事ができれば楽しいですね。「知ってる」よりも「知らない」ということを素直に伝えてくれる人の方が、成長速度が速いと感じています。
——経験年数はそれほど重要ではない?
そうですね。考え方が固まってしまったエンジニアよりも、考え方が柔軟な方が成長速度は圧倒的に高いと感じています。
僕のチームでよくやるのは、みんなでお財布に入っているレシート・領収書を持ち寄り、モデル分析をしてもらうことです。新しく入ったメンバーが、モデル開発からAWSを活用したシステム構築まで一人で自走できるようになると、経験豊富なメンバーにも良い刺激になります。
チーム全体が自然と引き上げられていく、そんな環境をつくっていきたいですね。
サステナビリティ×テクノロジーの可能性——持続可能な技術組織を目指して
——最後に、シェルパで働くエンジニアとしての魅力を教えてください。
シェルパの一番の魅力は、サステナビリティ×テクノロジーという新しい領域で、技術的な挑戦ができることだと思います。企業のサステナビリティ情報の開示支援をすることで企業価値向上に貢献するというミッションがあることで、技術的な挑戦に社会的意義が伴っている。
そして、日本全国から優秀なエンジニアが集まれる環境があります。リモートでこんなに不自由なく働ける企業はなかなか珍しいと思うので、東京・関東だけでなく、北海道、東北から、関西、九州まで、日本全国の優秀なエンジニアの方にはぜひ注目していただきたいです。
技術的にも組織的にも成長段階にあるシェルパで、一緒にスケーラブルな技術基盤を作り上げていきませんか?
シェルパでは現在、プロダクトエンジニアをフロントエンド、バックエンド問わず積極募集中です。リモートワーク中心の柔軟な働き方で、サステナビリティ領域での技術的挑戦に興味のある方は、ぜひカジュアル面談などでお話しさせてください。