PCR装置
コロナウイルスの影響で、毎日のように聞こえてくる「PCR検査」。
PCRとは ▶ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction)の略。
DNAまたはRNAの小さなセグメント(特定領域)をコピーまたは「増幅」する技術。PCR法は、それを利用した効率的な検査方法。
その検査には「PCR装置」が使われています。
遺伝子の研究を目的とすることが多いのですが、応用範囲は広く、人だけでなく、昆虫などの遺伝子解析にも使われています。
PCR装置で研究テーマを
実は私自身、大学生の時の研究でPCR装置をよく使っていました。
“蝶の産卵に関わる遺伝子”を研究テーマとして、アゲハ蝶の仲間である“ギフチョウ”と“ナミアゲハ”の遺伝子解析を行っていました。
「ギフチョウ」と「ナミアゲハ」は、アゲハ蝶の祖先にあたる種で、現在も全国各地に生息しています。子孫繁栄の為に、卵を産み付ける場所=生まれた後に幼虫の餌となる“葉” の選別が重要になるのですが、蝶の種によってこの選ぶ葉が全く違うのです。
「子孫を委ねる葉」を蝶はどうやって判別するのか?
ヒトは、それが食べられるものかを判断するとき、「におい」や「見た目」などの感覚を働かせるので、蝶も同じように嗅覚や視覚に関わる遺伝子に起因するのかと考え、ずっと調べていましたが、いい結果が得られず・・・
偶々、それまで調べていなかった前脚の遺伝子を、試しに解析したところ(いろいろ分析はしまして・・・)触覚をつかさどる遺伝子が、葉の判別に大きくかかわっていることが解りました!
蝶は葉にとまった時に、「ドラミング」と呼ばれる前両脚で葉を叩く仕草をしている。
蝶の前脚には人間の舌のような「化学感覚子」があり、化合物を「味」として見分けている。
(注)ドラミング:ドラムをたたく様子。ゴリラが自分の胸をたたくのもこれ。
本能的に、産卵を促す物質と有毒物質が分かっている!!!
なんと、蝶自身は食べる事のない葉の「味見」を前脚で行い、幼虫(自分の子供たち)が食べてよい植物であるかチェックしていたのです。これって、母性本能 !? とても大きな発見でした。
視覚より触覚・・・研究室全員が揃って驚いたことを今でも覚えています。(その後、触覚に関わる遺伝子解析を急展開させて、無事、卒業研究を発表することが出来ました!)
多くの視点から見る大切さ
蝶の遺伝子研究をきっかけにした「試してみると、まさかの発見がある!」の体験。
- ふと、別の視点に自分を置いてみたり
- 思っていたことの逆をやってみたり
「ユニークな仮説立て」が思いがけない成果に繋がるのは、学びも仕事も同じだな、と社会人3年目の今、心底、感じています。
思い込みから一歩抜け出して、「まさかの発見」をもっと体験していきたい!です。
2021.5.1 東京営業所:営業スタッフ