株式会社Caratを2016年12月5日に創業してから、2年が過ぎたので、この1年間の活動を少し振り返ってみようと思います。前回の創業1年編はこちら
去年と同じくまずは大きくどんなことがあったのかを箇条書きで出してみます
- 渋谷神泉にオフィス移転した
- GLITを事業譲渡する決断をしなかった
- GLITを一度クローズして再開した
- 人材紹介免許を取得した
- やっぱりキャッシュアウトしかけた
- デッドで3,000万円資金調達した
- GLITの方向性が超定まった
- 売上がある程度立ち始めた
- 事業可能性評価で「事業の可能性あり」と評価された
渋谷神泉にオフィス移転した(2018年3月)
創業した2016年12月〜2018年3月までの間、CTOの斎藤とシェアハウス兼オフィスとしていましたが、2018年3月に渋谷神泉のマンションに移転しました。
GLITを事業譲渡する決断をしなかった(2018年3月頃)
実は2018年の春頃に資金調達活動をしていて、その頃外部資本を入れるのではなくとあるHR系企業と一緒にやった方が良いんじゃないかという話を持ち掛けて頂いたこともあった。バイアウトというような金額でのオファーでもなかったのと、まだまだやり切ったというようなフェーズでは無いよねという事から、自分たちでやっていくという決断をした。ちなみにこの頃が2018年の中では個人的に一番苦しく、結構な暗闇に突入してしまっていた気がする。その時期に相談に乗って頂いた歳の近いキャピタリストの方や、ただ話を聞いてくれた友人達にはとても感謝している。
GLITを一度クローズして再開した(2018年4-5月)
上記の事などもあり様々な事を考えながら走るのはとても難しく感じていた。そんな折、Skyland木下さんから「事業のピボットも含めサービス一旦止めちゃいなよ」と言われ、暗中模索だった事もありクローズした。ただあくまでも仕切り直しをする為の期間を設けるためであり、すぐに再開出来るよう諸々の準備やプロダクトのブラッシュアップを必死にしていた。
ちなみにここでGLITを一時的にクローズした理由は、一言で言うと選択と集中が出来ていなかったからです。その当時のGLITは、インターンや新卒で仕事を探している学生・転職を考えている社会人・副業/副業などを探しているフリーランスと、言ってしまうと色んな属性の人が混じり過ぎていた。我々としてもどこにフォーカスすべきかという部分に非常に悩まされた。というか、選択と集中する事が個人的には怖く感じてしまっていた気がする。これだけのユーザーがいるのに、それを敢えて減らしてしまうような行為に思えてなかなか踏み切れなかった。
そこから"中途・転職"領域のみに絞り込んだ。ちなみにこの時、色んな人からインターンか副業/複業にした方が良いんじゃないかという意見をもらった。しかし、インターンも副業/複業も時流には乗りそうだが、まだまだ当たり前になるには先の話だと思ったし、何よりマーケットポテンシャルが小さ過ぎだと思えてやめた。本音を言うと周りがインターンや副業/複業領域でしょと言ってくるので、敢えて違う領域で勝負した方が上手く行くと思ってやめた。結果、"中途・転職"領域のみに絞った。
そしてサービス再開に向けて戦略を考え直し、求職者と企業のマッチングだと両サイドを集めてくるのに時間とコストがやっぱりかかるという話になり、事業の立ち上げ角度としてはしんどそうだよねという話になり求職者と企業をクライアントに持つ人材エージェントとのマッチングにカスタマーピボットした。なぜなら人材エージェントを1社獲得すると自然と数十〜数百社の企業が手に入るからである。さらにリサーチやヒアリングをしていくとビズリーチも初期は求職者と人材エージェントのマッチングから事業を立ち上げていったと聞き、こっちの立ち上げ方も悪くはないなと思えてきた。
満を持してGW明けの週にGLITを求職者と人材エージェントのマッチング型にして、サービスを再リリースした。ところが蓋を明けてみると、5月中にサービス経由で面談が組めたのは実に1件だけ・・・。(このままだと確実に潰れるなって思いました。笑)そこから直ぐにGLITのUXや初期のアーリアダプター達にとって、人材エージェントとのマッチングという形が親和性が高くないという事に気付かされた。改めて直ぐに企業を独自に集めサービス提供を開始した。なんとか徐々に面談数も増やしていく事ができた。今だとITの普及などによって情報の非対称性が少なくなり、人材エージェントの介在価値というのが徐々に低くなって来ているんだなというのが肌で感じ取れたのは良かった。(あくまでアーリアダプターにとっては人材エージェントとのマッチングが相性があまり良くなかっただけであり、一般のマジョリティーの求職者にとっては人材エージェントとのマッチング〜面談も今ではしっかりワークしている。)
人材紹介免許を取得した、やっぱりキャッシュアウトしかけた、デッドで3,000万円資金調達した(2018年5-6月)
(正しくは、有料職業紹介事業許可。)
そんなこんな内にGLITはまたちょっと軌道に乗ろうかとしていた。しかし、キャッシュ的には苦しくなってきていて、色んな理由でデッドで調達しようと動き始めた。保証協会付き銀行融資や日本政策金融公庫の創業融資などであれば、連帯保証などもなかったり(一部、連帯保証はある)、金利も低いので中途半端に株を放出してエクイティファイナンスをするより良いだろうと準備をした。
問題なく諸々進んでいたが最後の審査のタイミングで、「人材紹介免許を持っていないので貸し出せない可能性がある」と言われてしまった。この時はGLITは人材紹介業ではなくあくまでプラットフォームなので、人材紹介免許は無くても良いと思っていたし労働局などにも弁護士を通して確認してもらったが"不要"と回答を頂いていた。しかし、公庫の方でお判断が難しくリスクを犯したくないという部分からも審査でNGになってしまう可能性が濃厚になってきてしまった。そのため、融資の申請を取り上げざるを得なかった。(ちなみに審査NGを出されてしまうと、再申請時に再度NGにされる可能性が非常に高くなるらしいので、経営者でこれから融資などを検討している人は注意して欲しい。)
そこから人材紹介免許を取得しようと直ぐに資料など必要書類を準備した。ちなみにその時はスピード感が欲しかったので弁護士に入って貰った。弁護士費用10-15万・人材紹介免許申請で10-15万程度、合計30万円ほどかかった気がする。キャッシュ的に苦しいタイミングで、この費用に関しても決断は難しかった。結果的には免許を取得したことが、その後は功を奏する。
これから人材紹介免許を個人・会社で取得しようとしている方は、スカウター社が提供している下記サービスを活用することをオススメします。
ただ弁護士の方に入ってもらい人材紹介免許の申請をするも取得まで3ヶ月ぐらいかかると言われた。割と絶望したのを覚えている。5月中に申請し、8月に取得だとデッドは無理だし、マジでどうするかなぁと結構悩んでいた。が結果的に、直ぐに手続きも完了し7/1に取得することができた。
7/1に取得できることが6月中旬ごろには判明していたので、改めてデッドファイナンスの準備に入った。そして運も良くかGLIT経由での売上がポツポツとあったり、導入企業が50社以上になって来ていたのも良かった。結果的に、保証協会付きで銀行から1000万・創業融資で公庫から2000万、合計3000万を借り入れることができた。シード期のスタートアップにとっては、なかなか難しかったところだと思う。
いくつか要因はあり、VCやエンジェルから出資を受けている・売上が少なからずある・導入企業との契約書がエビデンスとしてしっかりと数がある、そして一番は銀行/公庫と深い付き合いのあるデッドファイナンス担当の方に親身に付いてもらえたこと。ちなみに、このデッドファイナンスの最中にエンジェルとして出資して下さったクックビズの藪野社長にも、とても感謝しています。
デッドでの調達などを考えている起業家の方などで興味ある方は、松本まで連絡下さい。
GLITの方向性が超定まった
デッドファイナンスがクローズしたのが7月末日、そこから改めてGLITの事業の部分に注力仕切る事ができるようになって来て、求職者数・企業数・KPIは段々と伸ばしてこれた。もちろんまだまだ物足りない部分は多い。色々と試行錯誤を繰り返していく内にGLITの方向性がかなり具体的に定まって来た。
「AI人材エージェント」(今はAI転職マッチングアプリと打ち出しています)
GLITは求職者にとっては求人レコメンド型の転職アプリであり、企業にとっては求職者レコメンド型のダイレクトリクルーティングサービスで、双方にとって理解され易く認識され易いサービスコンセプトを整えたいとずっと思っていました。結果的にGLITの仕組み、我々が作っていきたい世界観というのが、人材エージェントの方々が現在人力・主導で行なっている部分を、AIなどのテクノロジーで置き換えていきたいという事でサービスコンセプトが定まって来ました。中長期的なロードマップやGLITに実装すべき機能なんかも見えて来ました。
売上がある程度立ち始めた
求職者ユーザー・企業も両サイドの数も徐々に増え、マッチング・面談・採用の件数も増えて来ました。さらにGLITの運用の代行・GLITを活用した採用支援なども行うようになって来て、ベースが段々と固めて来れています。スタートアップは"良いプロダクトやサービスを創れば売れる"、と思われがちですがセールス・売上にコミットするというのは当たり前だけど非常に重要で改めてこの大事さに気付かされた2期目でした。
事業可能性評価で「事業の可能性あり」と評価された
東京都中小企業振興公社が運営している、事業可能性評価事業という委員会があり、そこで11月に事業プレゼンを行い「事業の可能性あり」と評価頂きました。特別スタートアップが取り組む必要はないかもしれませんが、評価頂くことで今後のデッドファイナンスや助成金、信用の獲得という部分に好影響があリます。投資家にプレゼンするのとはまた違って、しっかりと情報量多めのプレゼンや資料作りなどをするので、経験値としても得られるものももしかしたらあるかもしれません。
とまぁ、取り上げたのはほんの一部だったりするのですが、色々とありました。次の1年もしっかりと生き延びて、事業を成長させていきたいと思っています。
3期目(2019年)でやりたい、達成したいことも箇条書きで出しておきたいと思います
- GLITのPMF〜スケール
- GLITのAndroid版リリース(2019年1月~2月にリリース計画中)
- 売上/利益にコミットする(単月黒字、または単月黒字を達成できる状態をつくり事業投資できるように)
- 資金調達(ユニットエコノミクスが見えてきた上でグロースのための資金調達)
- COOを採用する(ByNameで誰を採用したいかは決まっています)
- メンバーを10~15名規模へ(主にセールス、BizDevメンバーの採用強化)
- オフィス移転する
- もっとメディア露出する(日経新聞などの紙面、WBSなどのTV放送など)
- GLITの導入企業を500社まで増やす
- GLITのユーザー数を3万人まで増やす
- GLITを東京だけでなく、他主要都市へ展開する
- AI、機械学習などの技術分野にもっと投資できるようにする
- 次の新規事業案を仕込む
最後に
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