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元上場会社CFOは今、新領域責任者へ。「ポテンシャル解放」に捧げた一年に迫る

今回お話をお伺いするのは、外資証券会社、外資PR会社、スタートアップを経て、Wantedlyで取締役CFOを務めた吉田さんです。ファイナンスバックグランドの彼が、新規事業責任者としてキャディを牽引する存在になった一年に迫ります。

ポジションよりも事業の手触り感を求めて

ーー本日はよろしくおねがい致します、吉田さんの今までのご経歴をお伺いしても宜しいですか?

新卒でモルガン・スタンレー証券に入社し、株式アナリストとして6年間従事しました。主に担当していたセクターが製造業です。面白みもあり、楽しく仕事はしていたものの、一定の役職にもついた頃から、担当業界の当事者ではない歯がゆさを感じていて。

また、同時期に子供が生まれた事もあり、もやもやしたものを抱えたまま仕事をこなす親父にはなりたくないと思い、新しくチャレンジすることに決めたんです。

次のフィールドは外資のPR会社。外資金融からのキャリアとしては少し亜流な所はあるかもしれません。自分の天の邪鬼な所が影響しているかもしれませんね(笑)。

やりがいは感じながらも、ここでもエージェントという立場は変わらなかったので、次は関心も高かったデジタル領域に飛び込もうしようと思い、旅行系スタートアップのtrippieceに入社しました。

ここではなんでも屋としてカスタマーサポートの立て直しからはじまり、一人バックオフィス、資金調達まで、本当に色々なことにチャレンジさせていただきました。会社としての山も谷も乗り越えて、会社が成長軌道に乗せる所までどうにかやりきれたかなと思っています。

その後、より大きなフィールドでチャレンジしたいと思い、また自身もユーザーだったこともあり、2016年にWantedlyに入社。上場準備などを推進し、最終的には管理部門を統括し取締役CFOとして従事しました。

ーー上場企業CFOからキャディへ。チャレンジとしては、かなり大きなものだったと思います。きっかけは?

Wantedlyでは、CFOとしてブログや登壇など発信を増やし、会社の顔として活動していました。採用とブランディング面で意図した成果は出ていたので、大きな不満は無かったのですが、いつからか「今の状態を続けていたら、自分の成長が鈍化してだめになっていくな」という危機感が自分の中で芽生えていたんです。

会社としても順調な伸びを続けていたこともあり、ファイナンシング(資金調達)における必要性や緊急性はありませんでした。IBD(投資銀行部門)で10数年従事している同期と専門性について比べてみれば、その道のプロではなく、マネジメントとしても高いレベルにはなくて。

一方、役職としてはCFO、最上位の所であったんですよね。自ら成長機会を能動的に取りに行かなければと、どこかに焦りのようなものはあったのかもしれません。

外に目を向けてみると、ファイナンスバックグラウンドで事業側に軸足を移される方も増えてきていました、メルカリ小泉さん、メルペイ青柳さんなど。そういうキャリアも面白いなと。元来、色々とやりたい性分なんです。

「このロールじゃないとやらない」と思った事は一度もなくて、そこが自分の持ち味だと思っています。代表の加藤と入社時に話した時も、「なんでもやりますよ」と答えてましたから。

ーーなるほど。チャレンジをする上で他に意識していたポイントはありますか?

そうですね。スタートアップ2社で働いた経験から、これからの時代、Webだけで全てが完結する領域は変化の幅が少なくなっているなと。

海外の事例を見てみると、これから大きくインパクトを出せる領域は、レガシー×リアル×テクノロジーだなと。日本でも、会議を対面からオンラインへ、契約書を紙からデジタルへなど、DXの素地が徐々にできつつあったので、重厚長大な産業でDXを推進できたら新しいスタンダードを作れるなと感じたんです。

ーーリアル×レガシー×テクノロジー領域の会社が今、かなり増えてきていると思いますが、なぜキャディに決めたんですか?

ビビッときたんですよね(笑)。モルガン・スタンレー証券時代にアナリストとして製造業を見ていたので、日本のBtoB製造業がグローバルでも強いのはわかっており、同時にやれることがまだあるなと考えていました。

ドメインナレッジがあり、事業の広がりがイメージできたのもあります。マーケットプレイスを軸にしながら、サプライヤーとパートナー、双方にプラットフォーマーとして価値を提供していく。製造業におけるAmazon×Salesforceのような存在になれるんじゃないか、と加藤を含めたキャディのメンバーと話す中で感じていました。

あと、プロダクトを通して、ユーザーの負を解消できていることも重要で。対峙しているのは製造業というよりも中小企業の経営者、昔の自分に通ずるものがあったんですよね。Wantedlyも在籍時に100名程だったので、規模感としては似ていたんです。

そんな中小企業の経営レイヤーの方が、経営者としての仕事に時間をとれないのは本当に悪です。経営者が見積作成に半分以上の時間を費やさないといけない現状は、胸に迫るものがありました。


元Wantedly CFO「超カオス。だから飛び込んだ」5年、10年先を見据えて事業のコアを創る | キャディ's member
2019年12月、Wantedly元CFOの吉田祐輔さんがキャディに入社しました! ...
https://www.wantedly.com/companies/caddi/post_articles/197637

複数のロールチェンジを活かして、チームとチームを繋ぐ存在に

ーーキャディにジョインされて1年ですが、これまでの役割の変遷を教えてください。

入社してすぐに、見積もりのオペレーション部分の運用と改善を担いました。社内のシステムを活用してシステマチックに運用はしていたのですが、全てを自動化できていた訳ではありません。人が介在しなければいけない部分は存在するので、自分もオペレーションの中に入りながら見直しと改善に取り組みました。

それから3ヶ月後には、オペレーションの改善を特定のプロセスだけではなく、全社横断で推進していく立場に。今ではオペレーションマネジメント(OM)という名前がついているのですが、このチームのミッションは入り口の見積作成から、発注・生産・納品まで業務プロセス全体を捉えて効率化すること。Techサイドともかなりの頻度で連携し推進していました。

そこからさらに派生して、次にQDチームもあわせてマネージすることになりました。QDチームとはQuality(品質)&Delivery(物流)の略で、品質と納期のトータルの質を担保するチームで、OMとの親和性もあるため一緒に任されたわけです。

さて、またここでロールが変わります(笑)。QDとして中立的な立ち位置からではなく事業の前線であるCXチームの中に入って改善に取り組むことにしました。CXチームは、見積から受注を経て、サプライパートナーへの発注、顧客への納品に至るまでを一気通貫で担う部署です。2021年3月現在はCXチームでプロマネの役割にあるディレクターを担っています。

CADDiのカスタマーエクスペリエンス(CX)の1日|Yusuke Yoshida|note
こんにちは、キャディの吉田です。 キャディでどんなことやられてるんですか? はい、とてもよく聞かれます。キャディはゴリゴリ試行錯誤しながら事業開発してる段階。ビジネスモデルもまだ類型がない新しいカテゴリです。なので、職種名・部署名を言ってもどういう仕事かイメージしにくい。 ...
https://note.com/uskysd/n/nd8b3232af561?magazine_key=m36ff564aa5e8

ーーCXチームに異動してまで、改善をしようと思ったきっかけは何かあったんですか?

CXとQDチームで連携して仕事を進めている際に、CXチームが日々困っていることや、その理由を正確に理解できていないと感じたからです。QDチームとして品質物流マネジメントを高い水準で遂行できていたので、業務で大きく困ることは無かったのですが、更なる改善を図るには、CXチームが何に困っているかをつぶさに知る必要があるなと感じたんです。

また、当時は全社の方針として仕組み化よりも事業成長のスピードを優先する方へ舵を切っていました。そのため、CXチームの現状を深く理解しないまま、QDチームとしての理想を主張しても改善は進まなかったんです。多少パワープレイがあったとしても、目の前の課題解決ができることを優先した方が実効性が高いと判断して、CXチームに異動する事に決めました。

ーー自分で課題に触れて、自ら知ろうと。

そうですね。世の中には、抽象的な所から本質を知れる方がいると思うのですが、自分はそういうタイプではなくて。演繹(えんえき)よりは帰納で学ぶタイプだと思っています。自分で直接触れてみて、A、Bという事象から、共通のパターンを見つけ出して、活かす事を日々意識していますね。

キャディのポテンシャルを解放する、プラント事業の立ち上げ

ーーキャディでは昨年プラント設備一式での調達支援を開始しました。吉田さんはこちらの立ち上げを推進されたと思います。立ち上げの経緯をお伺いしても良いですか?

メインの顧客は産業機械メーカーですが、異なる領域でのご相談をお客様から頂くことも増えてきました。産業機械の中でもカバーする範囲を板金から機械加工、製缶品まで広げてきたことで、お客様にお力添えできる可能性が広がったんです。その1つがプラントでした。

また、お客様からは、キャディがまだ対応していない領域も含めてプラント設備の調達をお願いしたいとご要望を頂いていて。キャディとしても、今後大きく価値を発揮できる可能性のある領域だと確信していたのでチャレンジすることにしました。

キャディ、プラント設備一式の調達支援を開始
水処理や食品、化学、半導体などのプラントを新設や増設する際、プラントに必要な配管やタンク、大物製缶など大きいものでは数十メートルにもおよぶ大型部品も含めた製作物の大量調達が必要になります。プラントは通常多くの工場設備から構成され、これらに必要となる部品調達は一度に数千点から数万点にものぼり、相見積もりによる加工会社の選定や発注後の仕様のすり合わせ、品質管理などのやりとりが非常に煩雑かつ工数が...
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000039886.html

ーープラント事業における吉田さんのミッションは何でしょうか?

「何もないところから価値を生みだす」ことだと思います。

プラント事業がお客様に提示できるメリットは、価格からのスタートでした。ただ、それだけだと価格競争、いわば消耗戦になってしまいます。キャディの既存事業である産業機械領域を超えるような価値提供をするためには、どうすればよいかを徹底的に考えました。

様々な方へのヒアリングを重ねた結果、プラント設備の調達は、サプライヤーからすると、発注から納品までのプロセスが非常に長く、調整を含めた仕事量が膨大で対応しきれないという深いペインがあることがわかりました。

他方、パートナー開拓において多くは「キャディ?名前は聞いたことあるけれどよく知らない。」からのスタートです。まず、キャディを正しくご理解頂けるように、対話を重ね、パートナーに並走する存在であることをご認識頂けるように腐心しました。ここはSCM(Supply Chain Management)チームと並走しながら進めたところです。

今思うと、立ち上げは本当に大変だったなと思います。プラント領域のモノづくりに対応できることは進めていく中で手応えはあったものの、当時は業界慣習などまだ未知の要素が多い状態でした。また、プラント特有の難しさである制作期間の長さによって、PDCAを高速で回す事が難しいこともあり、探り探りで進めていて。今では納品実績が増えてきたうえ、振り返りを行いながら、事業の進化に取り組んでいます。

ーー試行錯誤されていたのですね。事業の勝ち筋はどこにあったのですか?

2点あると思っています。

1点目は、競争力があり、かつキャディの理念に共感頂けるパートナーを複数見つけられた点ですね。多くの案件に対応するためには、質量両面の確保が必須です。1社依存ではなく複数社にお願いできる体制を構築できたのは大きかったと感じています。

2点目は、プラントは多重下請け構造の課題感が強い点です。産業機械領域との共通項も多い上、プラントの方がステークホルダーが複層化しているので、キャディが取り組む意味が大きいと思っています。

ーーキャディにとって、プラント事業はどういう位置づけだと捉えていますか?

キャディの重要な成長軸の1つに「製品軸」があるのですが、その拡張という意味においてプラントはキャディにとって重要なドメインであり、急成長した結果、既に最大ドメインとなっています。

また、前述した通り、プラントの根深い多重下請け構造は、まさにキャディの解きたい課題なんですよね。そこに最前線で向き合える事は意義があるなと感じています。加えて、どこよりも先駆けて新しい取組に挑戦する事が多いため、お客様にもキャディにも、今後に活きる前例を作ることで貢献できている部分はあるかなと。

あと、手前味噌ではあるのですが、キャディは領域横断でナレッジを活用するいい文化があります。産業装置で培ったノウハウはもちろんプラント事業にもいかされているし、逆に新しく得た知見は既存のチームと連携を行うことで相互に良い相乗効果が起きると思っています。

ーー最後に、今後どんな方と新しい価値を創っていきたいですか?

そうですね。やはり、知的好奇心が高い方、発想の制約が無い方とご一緒したいです。

キャディでは、専門性が高い水準で求められるので、最初はわからない所だらけだと思います。そこを成長の機会と捉えて、貪欲に学べる方はフィットが高いのではないでしょうか。

プラント事業についても、最初に「うちは産業機械の領域だけだから」と蓋をしてしまったら今の成果は無かったです。自分たちを信じて、高い目標を掲げたから、到底できない事を実現できる。そういった過程を楽しむことができる方に、是非お越し頂きたいですね。

常に視野と視座を高く持ち、社会に大きなインパクトを与えたいと思っている方にはこの上ない環境だと思っています。一緒に高みを目指せれば嬉しいですね。

Photo by Taiga Yamazaki

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