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大学卒業後、SIer系IT企業の株式会社シンプレクスに入社。大手銀行複数社の金利・為替デリバティブ商品の時価評価やリスク管理システム導入の設計・実施などを担当。技術力を高めるためサイバーエージェントに移り、新規DSP立ち上げのリードエンジニア兼プロダクトオーナーを務める。その後一社目の時に自分でやりたいと思っていた資産運用の事業ができるFOLIOに出会い転職。2020年2月、キャディにジョイン。
先月入社したばかりのバックエンドエンジニア村上拓也さんに、金融、広告を経て製造業の領域へと踏み出すまでの変遷や、1プレイヤーとしてだけでなく、エンジニアリング組織構築を見据えた展望までお伺いしました!
人が変わるのと同時にリセットされてしまう組織は弱い
ーー今日はよろしくお願いします!村上さんはどうやってファーストキャリアを選ばれましたか?
就活時に志望動機を書かされないという点で SIer 系へという入口だったのですが、一社目にはシンプレクスという金融機関向けのシステム開発業務等など行う企業に入社しました。労働集約的な SIer 業ではなく、知識集約的なシステム開発をするというポリシーに惹かれたのが理由です。そこでは「エンジニア職」というくくりがなく、全員が金融工学からビジネス基礎スキルまで広く身に着ける会社だったので、自然と“ここまでが自分の仕事”と線引きしない姿勢が身につきました。会社によってはエンジニアはエンジニア、と壁を作るところもあると思うんですが、この時にフラットに捉えられる価値観が身について良かったなと思っています。
役割としては、大手銀行複数社の金利・為替デリバティブ商品の時価評価や、リスク管理システム導入の設計・実施、金融商品を評価するアルゴリズムの実装などを担当していました。金融商品が相手なので、不具合が生じて評価結果が変わるトラブルが起きてしまうと大変なので、常に自動テストを大規模データ量で回す仕組みを構築したりしていました。高度な金融工学的なエクセレンスが求められる仕事で、銀行という性質上数字を間違うことは許されない文化なため、いつもシビアで緊張感のある環境でした。上司からも「自分のミスによっては数億円が消えかねない。その重みをわかってるか?」と問われたり、仕事する上でのプロとしての意識も根付いたと思います。
ーーそれはかなり緊張感の高い環境ですね・・。その後サイバーエージェントへ転職されたのはなぜですか?
端的にいうと、技術力を高めるためです。金融機関の特性上、モダンな技術スタックを使うハードルは低くありません。上司にも恵まれており、自己研鑽できる環境でもあったし、周囲に自分の知識を啓蒙する立場としても様々な活動をしましたが、自分自身も実践経験を磨き当たり前のレベルを上げたかったので転職を決めました。広告収入を得る仕組みを作り、自分たちでその収益化にも責任を負える環境を魅力的に思い、サイバーエージェントのアドテク本部(アドテクスタジオ)にジョインし、新規DSP立ち上げのリードエンジニア兼プロダクトオーナーを務めました。マンパワーが足りてない中、自分の技術力が求められているレベルに達していなかったこともあり最初はかなりチャレンジングでした。
オペレーションチーム向けの入稿システムの開発では、オフショアのチームが膨大な量のオペレーションをできるようにしなければならないという状況において、実際にその運用に耐えるシステムを作れたという点では一定評価をいただけたものの、そこに心から熱狂できていない自分がいて。その理由は、当時のチームは広告のオーディエンスではなく広告主を中心と考えることからなかなか脱却できず、時には予算消化のためだけの施策など「何のための仕事?」と自問自答することが多かったことにあると思います。そこで改めて、自分のモチベーションを左右する要素に注目することに。言語化が難しいんですが、あえて言うなら「正月に実家帰った時に胸張って自慢できる仕事かどうか」という感じです(笑)。
ーーいっとき自分のモチベーションに背いても、ボディブローのようにあとから効いてきますからね。そして、前職のFOLIOへの転職されたんですね。
一社目の時に自分でやりたかった資産運用の事業を展開しようとしていたのがFOLIOでした。また、それまで自分が経験してきた技術とFOLIOの採用していた技術スタックも似通っており、タイミング的にもサービスのグロースフェーズを担えるという、願ってもない条件でした。
入社2ヶ月後くらいに10人以上いるチームのリーダーをCTOから指名されて、エンジニアリングマネジメントに従事しました。具体的にはメンバーのフォローやエンジニア職採用、経営課題に合致した組織への再編など行っていましたが、その中で代表が持っていた「自分の声が隅々に届きづらくなってきている」という課題に対して社内ラジオを提案したことがありました。サイバーエージェント時代に、カルチャー推進室という部署が展開していた活動を見た経験が影響したところが大きいですが、会社の現状だけでなく、新入社員の知り得ない歴史のような情報までを形式知化し、共有できる形にすることは非常に重要です。人が入れ替わったら全てやり直しになる、ということを防ぎ、ちゃんと積み上げていける組織づくりを心がけています。サイバーエージェントのような本格的なコンテンツ制作は工数的にもむずかしかったものの、ミニマムで実施する方法を考え、録音した音源をslackにアップロードするというやり方でスモールにやってみることに。最近だとstand.fmなどが流行ってますが、そのようなプラットフォームも充実していなかった時代ならではの手づくり感がありました。社内のコミュニケーション活性化や話題の提供、短期的な仕事に忙殺されがちなメンバーの目線を上げるきっかけになるなど、一定の成果を出せたのかなと思います。
最適マッチングとサプライチェーン管理のエクセレンスそのものが競争力
ーーキャディに転職しようと思われたのはなぜですか?
LAPRAS経由でキャディのCTOの小橋さんから連絡がきたのがきっかけです。当時自分の中でFOLIOでは一区切りかなというタイミングが訪れ、転職を検討し始めたタイミングでした。自分がいいと思える事業でエンジニアができることと、自分の経験がいきること、の2軸で転職を考えていました。資産運用という領域はとても好きなのですが、それを自分の理想の形で進める環境は前職が一番だなとも思っていたので、業界にはこだわりすぎずに検討をしていました。
キャディのことは、最初に事業について説明を聞いたとき、金融と仕組み的に似てるところが多分にあると感じたんです。例えば、キャディはデマンドサイドとサプライサイドの間に入ってビジネスをしていますが、単にマッチングだけ行うのではなく、納品責任まで持っています。その間の調達では多くの候補の中から最適なサプライパートナーを見つけ出したり、適切なサプライチェーンを管理したりする必要があるのですが、それができるエクセレンスが競争力となる点は、まさに自ら取ったポジションのリスクを適切に管理してリターンを得る金融取引っぽいな、と思ったのです。
ーーなるほど、そういう観点で金融との共通点があったとは。村上さんのキャディでの役割を教えてください。
足元の話で言えば、CADDi の屋台骨を支えている「見積もり」「生産管理」を、これまでの Excel や Salesforceでの管理から、自前システムに載せ替えるためのシステム開発を行っています。また、単に一人のエンジニアとして貢献するだけでなく、エンジニアリング組織のチューンナップをする役割までできれば良いな、と思っています。例えばすでに始めてるところだと、新しくエンジニアがジョインしたときのオンボーディング手順の確立、会社やプロジェクト、エンジニアリング環境について知ってもらうためのドキュメントの整理などです。
もう少し長いスパンの話をすれば、CADDi の「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」というミッションを実現するために必要なテクノロジーを磨き、組み立て、提供し、改善し続けるために必要な環境を整備していくことですね。そのために、自分のバックグラウンドの強みを活かして、エンジニアとビジネスの架け橋的なところで価値を出していけたらと思っています。また、個人的に関心が強いところでいくと、将来的に展開していくであろうファイナンス事業領域は早くやりたいですね。
ーーファイナンスしかり、受発注をコアに周辺領域も展開していける発展性を秘めていますよね。キャディのTechチームはどんな組織・文化だと思いますか?
エンジニアについていえば、総じてCADDi への満足度が高く、みんな心地よく自発的に仕事している印象です。背景には、CTOの小橋さんの推進力と傾聴力のバランスの良さが大きいんじゃないかなと思っています。全体的な意思決定やスピードは速いんですが、そこに至る議論も含めて周知しようという意識は色んな場所に伺えるので、、開けてびっくりなサプライズがないのは安心感があります。
チームの仲は良い一方、まだ伸び代があるなと思うのは「チーム力の発揮」です。個々人のポテンシャルと現在のチームの出力や成果を照らし合わせると、まだまだ可能性があると思いますね。他にも情シスの不在など生産性向上における課題やエンジニアの働きやすさについての改善など、自分が今見える範囲でも取り組むべきだなという課題は多くあるので、少しずつ進めていきたいです。
ーー最後にどんな人と働きたいですか?
ミッション・バリュー・カルチャーに共感していることと、それを重視していることが大事だと思います。そもそも創業3年目でここまで明文化されていて、実際に浸透させる仕組みも一通り機能している会社は多くはありません。自分はもっとこの価値観を具現化したいぞ、という人に入ってもらいたいですし、ベンチャーだからこそ謙虚かつズケズケと越境できる人が合うと思います。
Photo by Yu Ueki