大学で映画制作を学び、卒業後は照明技師として約10年間、映画の現場に立ち続けた余合さん。持病、動物病院の看護師、そしてほぼ未経験からのエンジニア転身と、決して一直線ではなかったキャリアの先に、直近の半期MVP受賞がある。「好きなことを仕事にする」という一本の軸を、彼女はどう貫いてきたのか。
スナッチの衝撃、そしてマンボウへの偏愛
きっかけは中高生の頃に見たある映画だった。
「ガイ・リッチー監督の『スナッチ』という映画で、当時はすごく斬新で、なんだこれはっていう感じで。編集がすごくかっこよくて、それで映画を職業にしたいと思うようになりました」
編集者を志して大学に進んだが、実際に自主制作で映画を作る中で「編集より照明の方が自分に合っている」と気づき、照明の道へ。約10年間、映画の現場でキャリアを積んだ。
しかし持病が悪化し、転職を余儀なくされる。次に選んだのは動物病院の看護師だった。専門学校に2年通って資格を取得し、3年間勤務した。
「動物は全般好きなんですけど、1番好きなのはマンボウで。研究している大学を全国探して進学したくらい好きでした」
だが立ち仕事や力仕事が難しくなり、再びキャリアの転換を迫られる。デスクワークを探す中で出会ったのがプログラミングだった。民間のスクールに2〜3ヶ月通い、自作のアプリを作りながら少しずつのめり込み、ほぼ未経験の状態でBOATRIPへの入社を決めた。
「好きなことで仕事をする」は、ぶれていない
映画も、動物看護も、そしてエンジニアという道も、余合さんの中では一本につながっている。
「映画は人生そのものだって言ってきたけど、今は映画から離れた仕事をしている。それでも、好きなことで仕事をしたいっていう軸で言うと、ぶれてないのかなと思います」
プログラミングの魅力を聞くと、映画作りとの対比で語ってくれた。
「間違ったコードを書いたらエラーが出るし、正しいコードを書けばちゃんと動く。大人になると自分がやったことの結果って見えにくいけど、プログラミングはそこがはっきりしているんです」
山あり谷ありの半年、諦めなかった理由
直近の半期では社内MVPを受賞した。上期は要件定義からデータベース設計まで携わるプロジェクトで難航し、下期には外部SESメンバーへの采配や、進行管理会社とクライアント双方の異なる要望を調整する複雑な現場を担った。
「この半年を1冊の本だとしたらタイトルは『山あり谷あり』ですね。どう進んだらいいか、本当にお先真っ暗というくらい悩んだ時期もありました」
それでも歩みを止めなかった理由を、余合さんはこう語る。
「困った時に、何にどう困っているかを言葉にする。テキストにすると自分の整理にもなるし、人に助けを求められるようになるんです。頑張るイコール、諦めないってことなのかなと思います」
次の目標は、「読む力」
「AIに書く力を任せられる時代だからこそ、コードを正確に読み解く力が欠かせない」と余合さんは語る。
「読む力さえ尋常じゃないくらいつけば、AIが書いてきたコードのダメ出しができる。今の私に必要なのは、そこかなと思っています」
目下の目標は、要件定義から設計までを自分の力だけで担えるようになること。未経験から飛び込んだ世界で、着実にステップを積み上げてきた余合さんは、次の目標に向けてまた一歩を踏み出している。