今回は、ビズリーチ事業部ビジネス開発統括部の統括部長を務める伊藤綾さんに「パーソナルヒストリーインタビュー」を行いました。半生を振り返りながら、伊藤さんが大切にしている価値観や信条に迫りました。
※このストーリーは、2021年2月1日に、企業ブログ「ALL VISIONAL」で公開した記事を転載したものです。
※本記事の掲載写真は、在宅勤務への移行前に撮影したものです。
プロフィール
伊藤 綾/Ito Aya
山形大学工学部を卒業後、塗料メーカーで研究開発職として従事。その後、エグゼクティブ向けヘッドハンターを経て、大手精密機器メーカーにて法人営業や事業企画を経験。2013年、株式会社ビズリーチへ入社。広報、人事、マーケティングなど複数の領域において経験を積んだ後、現在は、ビズリーチ事業部ビジネス開発統括部の統括部長を務める。
働くことを通して、世の中に価値あるものを生み続けたい。
──はじめに、幼少期や学生時代のお話を聞かせてください。
出身は長野県で、私の両親は、祖父母の立ち上げた会社を承継した経営者でした。親戚にも事業を営んでいる人が多く、家では、よく両親や親戚が楽しそうに仕事の話をしていましたね。
今でもよく覚えているのは、祖父の「(私たちの仕事は)世の中を良くしていくこと」という言葉で、そうした家族の姿を見ていたため、小さい頃から働くことに対してポジティブなイメージを持っていました。高校生の頃は、「私も早く、世の中に価値を提供できる人になりたい」と考えており、社会に出て働き始めることがとても楽しみでした。
──大学時代はどのように過ごしましたか?
化学と数学が好きだったので、工学部に入学して、大学時代の4年間は、有機・無機複合体の研究に打ち込んでいました。一つ一つの研究の成果が、どのように社会の発展につながっていくかを実感し始めてからは、自分でも想像していなかったほどに、どんどん研究の世界に没頭していきました。大学生の時に、研究の世界の楽しさや奥深さを知ることができて、とても良かったと思っています。
──当時は、大学卒業後の進路についてどのように考えていましたか?
周りの友人は大学院への進学を選ぶ人が多かったのですが、私は「早く社会に出て働き始めたい」という思いがあったので、大学3年生の時から就職活動を始めました。大手食品メーカーから内定をいただき、そのまま就活を終わらせるつもりだったのですが、研究室の教授から、「その会社に学部卒で入社すると、担当する業務は分析がメインになる。きっと伊藤さんは、いろいろなことに挑戦したいと思うはずだから、もっと早くから裁量を得られる会社の方がやりがいを感じるのではないか。」というアドバイスをいただきました。
当時の私は、友人と工学部の女性を集めてイベントの企画などをしていたので、自分ではあまり意識していなかったのですが、教授の目には「エネルギッシュな人」と映っていたのかもしれませんね。
そのアドバイスを受けて、改めて、自分の将来について考えてみました。そして、働くことを通して、自らの手で「世の中に価値あるものを生み続ける」ということを実現したいと思い、就職活動を再開しました。
──大学卒業後、伊藤さんは塗料メーカーへ入社して、研究開発職として働き始めましたね。実際に社会に出て働き始めて、どのようなことを感じましたか?
カラーフィルターの研究開発を担当していたのですが、少人数の会社だったので、次第に任せてもらえる領域が、素材の評価、開発からメーカーへのプレゼンなど、少しずつ増えていき、とても大きなやりがいを感じていました。
ただ、3年ほど研究開発職として働くなかで、少しずつ心境が変化していきました。研究は、日々の小さなトライ&エラーや改善の積み重ねによって成果を追求していくもので、それ自体にはとても大きな意義を感じていましたが、その仕事に対する想い入れや熱量において、目を輝かせながら研究に打ち込む同期たちには敵わないな、と思うことが何度かありました。
逆に、メーカーへのプレゼンを担当させていただくなかで、もしかしたら自分は、このような対人コミュニケーションの仕事のほうが楽しめるのかもしれない、という気持ちも強くなっていきました。
また、「世の中に価値あるものを生み続ける」ということを実現していくためには、より速いサイクルの事業や働き方のほうが、自分には合っているのではないかと思うようになりました。その会社の中で新しい職種に挑戦するという選択肢もありましたが、社内での異動が叶わず、転職活動を始めました。
研究開発職から、ヘッドハンター、営業職へ挑戦。そして、ビズリーチへ。
──その時は、どのような軸で転職活動を進めていたのでしょうか?
「世の中に価値あるものを提供するには、まずは自分自身の成長が大切」という考えから、当時の自分にとっては新しい挑戦であった営業職を中心に求人を探していました。そして、エグゼクティブ向けのヘッドハンティングを行う会社への転職を決めました。ビジネスパーソンとしての成長するためには、経営者と折衝することが一番の近道だと考えたからです。
メーカーの研究開発職から全く異なる業界の会社に入社して、働き方が大きく変わったことで、大変な思いをしたこともありましたが、たくさんの経営者の方と仕事をするなかで、社会の流れや経営の仕組みを学ぶことができて、自分にとってはとても貴重な2年間でした。
──その後、大手精密機器メーカーへ転職していますよね。
はい。もともとはメーカーで働いていたこともあり、「次は、自分にとっての原点である『ものづくり』の企業に、営業職としてチャレンジしたい」という想いが芽生え、2度目の転職をしました。
ヘッドハンターとして働いていた時は、経営者の方に向けて提案させていただいていたのですが、この時は、各メーカーの設計担当者や調達担当者の方、また、その先の決裁者の方たちへの提案がメインとなりました。これまでは、私と経営者、つまり、「個」と「個」のコミュニケーションでしたが、この会社では、お客様の「組織」と向き合う営業スタイルでしたので、同じBtoBビジネスでも、全く異なる醍醐味があることを知ることができました。
働き方も、同じ会社の開発、生産技術など他職種の人たちと一緒にワンチームで動く形に変わり、仲間と一緒に何かを実現することに喜びを感じる自分にとって、こうしたスタイルはとても合っていると感じました。
──それから、ビズリーチに入社するまでの経緯について教えてください。
はじめのきっかけは、前職のヘッドハンティング会社の上司でもあった多田(洋祐)さん(株式会社ビズリーチ 代表取締役社長)からお声がけをいただいたことでした。ただその時は、大手精密機器メーカーでMVPを受賞し、事業企画にも携わるなどして大きなプロジェクトを任せていただいていたので、会社を辞める理由がなく、お断りさせていただきました。
その1年後に再びお声がけをいただき、一度お話だけでも聞いてみようかと思いました。その時に初めて、南(壮一郎)さん(ビジョナル株式会社 代表取締役社長)とお話しする機会をいただきました。南さんは、私のこれまでのキャリアについて丁寧に話を聞いてくれて、その真摯さと語ってくださった大きなビジョンに心を動かされたのを覚えています。そしてそのお話が、自分のキャリアについて改めて考え直すきっかけになりました。
話し続けていくなかで、南さんは、「どうしたら、いつまでも活躍し続けることができるビジネスパーソンになれるのか?」というテーマについて、彼なりの考えを話してくださりました。次第に、「今までの自分は、大企業の『会社の看板』があったからこそ仕事ができていたのではないか?」「自分のスキルにどれだけの再現性があるのか、新しい環境で試してみたい」という気持ちが強くなっていきました。
──ビズリーチへの転職を決意した一番の理由について教えてください。
私はそれまでに2回転職を経験していましたが、その時々の選択の軸は、「世の中へ価値を提供し続けることができるか」、そしてその実現のために「自分が成長し続けることができるか」というものでした。南さんと話すなかで、「成長スピードの速い会社で、もう一度新しく挑戦したい」「世の中の革新を支えるような事業づくりに携わりたい」という想いが強くなり、転職を決めました。
一つ一つの経験が、「線」として結ばれていく。
──伊藤さんは、2013年にビズリーチへ入社して、はじめは、広報を担当していましたよね。
はい、広報未経験の私でしたが、新しいことにチャレンジすることは大好きなので、不安な気持ちよりも、「何でもやってみよう!」という気持ちのほうが強かったですね。
はじめは、ビズリーチ事業の広報担当からスタートしたのですが、当時は、まだ「ダイレクトリクルーティング」という言葉が生まれたばかりで、事業が提唱しようとしているこの概念は、世に認知されていませんでした。自分が広めていかなければ、ビズリーチが目指す世界観は実現できない、という使命感を感じていましたね。
そして、「ビズリーチ」をご活用いただいているお客様を表彰する「ダイレクトリクルーティングアワード」を開催したり、メディア露出を増やしていただくために、いろいろなビジネスメディアに企画を持ち込んだりしながら、「ダイレクトリクルーティング」という概念を広めていくための施策を一つずつ進めていきました。
広報は、初めて挑戦する職種でしたが、仕事を進めていくなかで、これまで「点」であった前職までの経験が、「線」としてつながっていることに気付きました。各メディアの記者の方々とのリレーションにおいては、営業職で培ったコミュニケーションスキルが活きてきますし、ヘッドハンターとして様々な業界の経営者と働くなかで身に付けた、「世の中の動きを大局的に見る力」は、企画のストーリーを立てる際に役立ったと思っています。
──それから伊藤さんは、広報を担当しながら、人事を兼務し始めていますよね。
はい。2014年は、改めて採用のアクセルを強く踏み始めた時期で、広報の仕事から派生して、採用広報の仕事も担当することになりました。加えて、採用広報の施策をするためには、まずは自分が採用の現状や課題を正確に理解していなければいけない、ということで、リクルーターとしての業務も担うようになりました。それまでの広報の仕事に重ねて担当することになったので、どんどん自分の働き方がパラレルになっていったのを感じましたね。
時には、「この仕事を通して身に付けたスキルが、自分にとってどんな意味があるのか?」と立ち止まって考えることもありましたが、いろいろな仕事に挑戦するなかで、会社や事業に対する解像度が高まっていき、これまでに習得した一つ一つのスキルが「線」としてつながっていく感覚を覚えました。
だからこそ、それからは「与えられた環境の中で、どうすれば自分の力を最大限発揮できるか?」「会社にとって必要なことは何でもやってみる」ということのみ考えるようになりました。VUCAの時代において、変化、挑戦し続けられる人でありたいと思いますし、こうした働き方のほうが、自分には合っているのだと思います。
「計画された偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」という考え方がありますが、この言葉はまさに自分にとってぴったりなものです。そしてビズリーチで働き続けるなかで、この会社では、自らの意志と努力によって新しい挑戦の機会を掴み取ることができると確信するようになり、その気持ちは今も変わりません。
「ビズリーチ」を通して、お客様の「選択肢」を増やし、「可能性」を広げていく。
──その後、2017年の産休・育休を経て、2018年の4月に復帰されましたね。
はい、子どもが健康であれば仕事へ早く戻りたい気持ちがありました。幸運にも保育園の入園のタイミングをうまく合わせることができたので、産休・育休に入った4ヶ月後には再び働き始めました。あっという間に戻ってきたので、一緒に働く仲間はみんな驚いていましたね。育休が明けてすぐの頃は、子育てと並行しながら、仕事でパフォーマンスを発揮できるか不安な気持ちもありましたが、みんなが温かく迎え入れてくれたので、スムーズに仕事に復帰することができました。
復帰後は、それまでと部署が変わり、ビズリーチ事業部のビジネスマーケティング部で働き始めました。私はそれまで、この会社ではコーポレートの組織でしか働いたことがなかったため、初めての事業部の仕事、そして初のBtoBマーケティングの仕事は、とても大きな挑戦となりました。
──どのようにして、新しい領域の仕事に挑んでいったのでしょうか?
はじめは分からないことだらけだったので、日々、チームの仲間に助けてもらいながら勉強し続けました。また、全体の数字をみるだけでなく、実際にサービスをご利用いただいているお客様について理解を深めるために、CRMツールに蓄積される情報を分析したりしながら、少しずつ理解を深めていきました。
マーケティングの仕事は初めてでしたが、働くなかで、やはり、これまでの経験が活きてくることも改めて気付くことができました。マーケティング施策の立案においては、広報のコミュニケーション設計が活きました。広報では認知に注力していたところから、いかに行動に移していただくかを考えます。また、広報や採用では、物事を事業や会社の視点で考え、推進することが多かったので、サービスローンチ10周年の企画など、規模の大きなマーケティング施策を進めることもできました。ここでも「点」が「線」につながっていく感覚を覚えましたね。
──現在の業務やミッションについて教えてください。
今は、ビズリーチ事業部のビジネス開発統括部ダイレクトリクルーティンググロース部(外資系や急成長ベンチャーなど、採用に意欲的な企業に向けて、サービスの活用支援を行う部門)の部長として、部署の仲間たちと一緒に、「『ビズリーチ』を、日本一使い続けていただけるサービスにしよう」というテーマを掲げています。(※取材時の肩書き。2021年2月からは、ビジネス開発統括部の統括部長を務める。)
お客様に「ダイレクトリクルーティング」という考え方を提案しながら、経営にとって重要な「採用」を主体的に進めていくうえでの選択肢として、常に「ビズリーチ」を第一想起していただきたい。そして、お客様にとってビズリーチの価値は違えど、唯一無二の存在であり続けたいと思っています。
そのために私たちは、バリューの一つである「お客様の本質的課題解決」を目指して愚直に努力し続けなければなりません。テクノロジーや仕組みの力で効率化を目指すことも大事ですが、私は「ビズリーチ」がこれまで成長し続けることができたのは、「お客様の本質的課題解決」のための最後のバトンを受け取るビジネス開発職の仲間たち、つまり「人」が果たしてきた役割は非常に大きいと思っています。
いつまでもサービスを使い続けていただくために、私たちは、愚直に、そして誠実に、一社一社、一人一人のお客様と向き合い続けていかなければなりません。そうした組織づくりを実現していくことは、私の大きなテーマの一つです。
また、ビズリーチ事業部は、「プロフェッショナルに、選択肢と可能性を」というミッションを掲げていますが、ここでいう「プロフェッショナル」とは、求職者のみを指すのではなく、サービスをご利用いただく企業の経営者や採用担当者の方々も含んでいると考えています。
お客様の「選択肢」を増やし、「可能性」を広げていくためにできることは、まだまだいくつもあるはずです。企業の経営者や採用担当者の方々にとっては、「ビズリーチ」を今以上に活用することができたら、より大きな採用成功を実現することができますし、そうした採用スキルを身に付けることは、その方個人のキャリアにおいてもプラスになると思います。
また、経営者や採用担当者など、本業として「採用」に携わる方を支援することに加えて、その会社の事業責任者やマネージャーの方々が、「ビズリーチ」の活用を通して採用力を身に付けていくことができたら、その会社の採用力は大きく向上し、ひいては、それが「お客様の本質的課題解決」につながっていくと信じています。だからこそ、今以上に、お客様への価値提供の幅を広く、深くしていくことにチャレンジしていきたいです。
──本日は、ありがとうございました!
とんでもないです、ありがとうございました!
この記事の執筆担当者
松本 侃士/Matsumoto Tsuyoshi
1991年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2014年、音楽メディア企業に新卒入社し、音楽雑誌・ウェブサイトの編集や、採用などを経験。2018年、株式会社ビズリーチへ編集者として入社。現在は、人財採用本部・採用マーケティンググループで、「ALL VISIONAL」の運営などを担当している。
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