こんにちは!Best Beer Japan採用担当です。今回は、Best Beer Japan CEOのPeter Rothenbergさん(以下、ピーターさん)に会社の事業内容についてインタビューをしてまいりました。・事業をスタートした理由・クラフトビール業界の課題と具体的なアプローチ・今後の展望についてお話してまいりますので「クラフトビール業界に興味がある方」や「業界全体をDX化する事業を牽引していきたい方」は、ぜひ最後までご覧ください!
Best Beer Japanが取り組んでいる事業内容について詳しく教えてください!
Best Beer Japanはクラフトビール市場において3つの事業を展開しています。
- 管理ソフトウェア:醸造所のバックオフィス業務の時間を88%削減できるサービス
- 「レン樽」:物流コストを半分にできる日本初のビア樽シェアリングサービス
- B2Bクラフトビールプラットフォーム:飲食店が国内200以上の醸造所からビールをまとめて購入できる
急成長中のクラフトビール市場では、大半の醸造所は小さな規模で運営しており、業務の効率化や販路の開拓まで手が回っていないという現状があります。
醸造所を立ち上げると、酒税の計算などバックオフィス業務や営業に多くの時間を割かなければならず、職人気質の作り手がビールづくりに専念できないという状況に直面しているのです。
私たちは、多種多様なクラフトビールが日本中で楽しめる環境を作るために、小規模な醸造所が市場で勝負できる土台をつくりたいと思っています。
クラフトビール業界のインフラを整え、DX化を促進することで、醸造所がよりビールづくりに集中できるようサポートする事業を展開しています。
起業を決意したきっかけは?
クラフトビールで事業をスタートしようと決意したのは、4つの理由が揃い、今がクラフトビールで起業をするタイミングだと思ったからです。
1つ目は、私自身がクラフトビールファンだったこと。特にスタートアップの起業家は、自分が好きな業界や好きなサービスで起業をすることが重要だと私は考えています。
2つ目は、醸造所の方と話すなかで、クラフトビール業界の業務はDX化されておらず、非効率な状況で作業を進めていると知ったこと。私には、3時間かかっている作業を5分に短縮する知識がありました。
3つ目は、クラフトビール市場はこれから成長の見込みがあると判断したこと。手間がかかる仕事にも関わらず、Best Beer Japanの起業当時(2018年)で、12%成長していました。
また、海外のビール市場を分析すると、クラフトビールの売上はビール全体の25%を占めています。日本のビール市場においても、クラフトビールが占める割合はこれから大きくなっていくだろうと考えました。
4つ目は、政府が成長を後押ししている分野であること。2018年の酒税法改正に加え、2026年の酒税法改正では、ビール系飲料の酒税が統一されることになっています。クラフトビールが成長する土壌が少しずつ揃ってきているのです。
実際に事業を推進するなかで、ビール市場の動きや伸び代をどのように捉えていますか?
近年若者のアルコール離れが進んでいると言われていますが、だからこそクラフトビールにはチャンスがあると考えています。
量をたくさん飲まないからこそ、飲むときには、自分に合うお酒や、味わいのあるお酒、体験を楽しめるお酒などを積極的に選ぶようになっていきます。
クラフトビールは、味や麦芽の種類がとても豊富で、100を超える種類のビールがあり、ワインのように出会う楽しさがあります。そのため接客にも幅を出せるし、飲み比べもできる。会話の種にもつながるなど、選ばれる要素が詰まっているんです。
また現在お酒を飲んでいる年齢の方々が、この先突然お酒を飲まなくなることはほとんどないと考えています。おそらくあと20〜30年はお酒を楽しんでいるのではないでしょうか。そう考えると、誰もが想像しえない20年先の未来においても、市場が大きく傾くことは想像し難いと思います。
そしてすでにBest Beer Japanの飲食店向けプラットフォームではノンアル飲料も展開しています。今後ノンアル飲料が伸びていくとしても、ノンアル飲料が飲まれる場所は私たちがクラフトビールを卸している飲食店です。そのため伸び代は変わらずにあると考えています。
クラフトビール市場が抱えている課題に対して、Best Beer Japanはどのようにアプローチしていますか?
Best Beer Japanは、クラフトビールの課題のひとつである「1本あたりの価格が高いこと」に対してアプローチしています。価格を下げることに直結するサービスを展開しているのです。
そもそも、実際にスーパーでは缶ビールが210円、クラフトビールが800円で並んでいます。この価格差ではクラフトビールにはなかなか手が伸びません。
ここまで価格が高くなってしまう理由を、私たちなりに分析すると4つの理由があると考えています。
1つ目は、生産量です。小ロットだから生産量の制限により高価になってしまいます。
2つ目は、酒税です。日本の酒税は他国に比べると高く設定されています。
3つ目は、取引が非効率であること。そのため時間的なコストがかかってしまい、価格に反映されてしまっています。
4つ目は、物流のコストが高いこと。価格の約2割が物流にかかる費用です。
この4つの理由のなかで、私たちがアプローチできる3つ目と4つ目に集中してサービスを展開しています。
今後Best Beer Japanのサービスが普及した先に、ビール産業はどのように変わっていくと思いますか?
たとえ知識がなくてもクラフトビールを楽しめるような状況にしていきたいと考えています。クラフトビールは自分の世界観を広げてくれる最強のツールです。ビールの味にイメージがあるからこそ、そのイメージを更新していきたいと思います。
3年後、5年後は、今の事業はどうなっていると思いますか?
まずは、現在はビアバーを中心にサービスを展開していますが、今後はこれまでクラフトビールを提供したことがない居酒屋やレストランにも展開し、どんなお店にもクラフトビールがある状況をつくりたいと考えています。
さらに、飲食店だけではなく、スーパーなどにも販路を広げていきたいと思います。アメリカのスーパーには小規模な醸造所のビールがたくさん並んでいますが、日本はまだそうではありません。
飲食店で飲んでおいしかった醸造所のビールが、スーパーに置いてあったら、家でも飲んでみようと手に取りたくなりますよね。どこにいってもクラフトビールを楽しめる環境を作っていきたいと思います。
また、クラフトビール以外にも、クラフトジンやクラフトウイスキーなど他のお酒にも展開していく予定です。醸造所に提供している管理システムは、クラフトビールに限らずに展開が可能です。いずれは酒の卸や仲介業において、日本No.1を狙いたいと思います。
10年後にイメージしていることはありますか?
日本のおいしいお酒を海外に輸出していきたいと考えています。日本のお酒が海外で評価されていく。新しいMADE IN JAPANを後押ししていきたいです。
また、その頃にはBest Beer Japanの自社クラフトビールブランドがあればより面白いなと考えています。