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【社員紹介】テクノロジーは人を自由にする。「気づけば幸せになっている」暮らしを生み出す体験設計を

「人間の心理や行動特性を探求することで、真に役に立つ製品、サービス、またそれらを支える仕組みを創出し、豊かな社会の実現に貢献する」を理念に掲げるビービット。まだ日本でUXという言葉が一般的でなかった時代から、社会に対する有用性やビジネスに与えるインパクトに着目し、独自のプロダクトやサービスを開発してきました。

今回は、Experience Design チームの責任者であり、UXのプロフェッショナルとしてプロダクトやサービスを支えてきた平井 剛直さんに、現在の業務内容やそのやりがいについて聞きました。

平井 剛直(ひらい つよただ)/  執行役員 Experience Design 責任者
早稲田大学商学部、慶応義塾大学大学院文学部社会学専攻。大学院でカルチュラルスタディーズ、意味論を学び、視点による受け取り方の違いについて研究する。2001年ビービットに参画。

目次:

  1. 「問い」を立て事業のあり方から定義する
  2. 生活者をより豊かにより自由にする体験設計
  3. 生活者のことを考え抜き、徹底的に悔しがれ
  4. 矛盾がないから理想にピュアにまっすぐに

「問い」を立て事業のあり方から定義する

── まず、現在はどのような仕事を担当していますか?

ビービットが創業期から事業の核にしてきた、Experience Design(体験設計)の考え方をベースに、お客さまの課題解決をサポートするサービスを提供しています。事業責任者としてExperience Design全体の戦略立案や組織運営を担うと同時に、現場でクライアントワークにも従事。プレイングマネージャ的な働き方をしています。

── 改めて「体験設計」とは何か教えてください。

企業が生み出した商品やサービスをもとに生活者と関係性を深めていく一連の体験を設計することを指します。例えばビールをつくる場合、「どうやって美味しいビールをつくるのか」ではなく「友達との飲み会が楽しくなるためにビールは何ができるのか」と「問い」を立て直し、生活者の体験のみならず事業そのもののあり方も丸ごと捉え直します。そのうえで必要な施策を商品設計から届け方まで、横断的に見直すのです。

事業がうまくいかない典型的な例が、一度は買ってくれてもその後リピートしないこと。大々的に広告を打てば、インパクトも手伝って一度手にとってもらうことはできるかもしれません。しかし、リピーターやファンが生まれなければ、継続的かつ大きな売り上げにはつながらないでしょう。最初に買ってもらうのは入り口にしか過ぎません。そこから企業と生活者との関係が始まり、最終的には生活者の方々にとって手放したくなくなるマストハブな商品になるまで、商品の価値をつくりこむのです。

いかに事業のあり方を定義し直し、生活者の興味を喚起し、エンゲージメントを深めてファン化するのか。一連の「体験設計」を手がけています。

ほんの数年前までは理解してもらえないことも多かった「体験設計」という言葉ですが、多様なサブスクリプションモデルが生まれたこともあり、最近では我々の提供したい価値に賛同いただける企業が増えてきていると感じています。

生活者をより豊かにより自由にする体験設計

── 体験設計を手がけるうえで心がけていることを教えてください。

生活者が、より自由により豊かな毎日を送れるよう、日々の暮らしをアップデートできるような体験設計を一番に考えています。

ビービットは立ち上げ間もなく体験設計の可能性に注目し、この分野ではトップランナーのアメリカから基礎となる考え方を輸入しました。その頃入社した私の最初の仕事は、体験設計の権威が書いたアメリカのレポートを翻訳し、日本のユーザへ解説をつくることでした。そのレポートの根底には「テクノロジーが人々の暮らしを自由に、豊かにする」という思想が流れていて、その考え方も一緒に取り入れることができました。

そして、我々が生み出し続ける体験を通して、生活者の方々がごく自然に「いつのまにか幸せになっていく」状況がつくれると良いなと思っています。生活者自身が渇望し、努力を重ねて幸せを手に入れることも素晴らしいことですが、アプリやWebサイトを使っているうちにいつの間にか自由や豊かさを手にできるような設計ができれば、その方が生活者にとっても社会にとっても有益なのではないでしょうか。

先人たちがチャレンジし、切り開いてきた「体験設計」の考え方を我々も継承して、社会に貢献したいと思っています。

生活者のことを考え抜き、徹底的に悔しがれ

── 組織運営については、具体的にどんなことをしているのですか。

40名ほどの部署のメンバーにビービットが蓄積してきたExperience Designのエッセンスを伝えつつ、ビジネスや組織がスケールしても質の高いExperience Designを提供し続けられる仕組みを整えています。

ただ、これは非常に難しいことで、実は一度、組織が崩壊しかけたという苦い経験を味わったこともありました。組織が大きくなっていくにしたがって、これまでの「当たり前」をスムーズに共有できなくなり、それぞれのメンバーが向かっていく方向性を把握しきれなくなってしまったのです。

今振り返ってみると、その原因は私が一本筋の通った方向性を示すことができず、「何でもあり」な状態にしてしまったことだと思っています。当時は私自身がまず、何が核にあるべきかを丁寧に言語化することから始めました。その上でマネージャクラスと対話を重ね、「核」となる方針を彼ら・彼女らが自分の言葉のように語れるまでコミュニケーションし、組織が安定していったように思います。

私の中でとくに譲れないのは「価値に正直であれ」という考え方です。

我々の提案がユーザの体験価値向上を実現できたとしても、さまざまな事情で理想のユーザ体験がそのまま採用されるとは限りません。最終的に狙い通りのユーザ体験から変えざるを得なかったとしても、最後までユーザの体験価値向上にこだわり抜き、それに立脚した提案をし続けなくてはならないと思っています。

たとえその考え方が売り上げに影響することがあったとしても、「価値に正直であれ」という考え方を譲ってしまうとビービットの価値が低減し、長い目で見た時に大きなマイナスを生み出してしまいます。

あらゆる角度からユーザ体験に基づいた提案を行い、こちらの提案したプランが採用されなかったときは、全力で悔しがる、メンバーにはそれぐらいのこだわりを持ってほしいと思っています。

── やりがいを感じるポイントを教えてください。

社会をより良い場所にする取り組みが、ビジネスの成功と矛盾しないところです。

体験価値を向上することは生活者にとって間違いなく良いことだと思います。一方で企業によっては余計なコストがかかる、と捉えられることもあります。しかしそれは間違いで、商品でもサービスでも使い続けてくれることが売り上げの安定化、グロースにつながります。生活者の暮らしを豊かにしようとするピュアな思考は、確実にクライアントの事業拡大につながる。迷うことなく私たちのやるべきことにフォーカスすればいいのです。

生活者の暮らしを自由に、豊かにするという思いを一途に突き詰められるのは、大きなやりがいがありますね。

とはいえ、クライアントの中には、自分たちが提供しているサービスが本当に世の中に価値を与えられているのか迷っている担当者の方もいらっしゃいます。体験設計を通じてそんな方たちが胸を張って仕事に臨めるお手伝いができるのも、やりがいの一つです。社会に対して貢献したいと考えている素晴らしい才能が存分に発揮されれば、世の中はもっと良くなると思っています。

矛盾がないから理想にピュアにまっすぐに

── 今後の展望を教えてください。

目下の目標は、責任者として強い組織をつくることです。そのためには、多様性を許容し、互いの違いを活かし合う組織をつくらなければと思っています。

当たり前ですが、全員が同じ考え方をするのは不可能ですし、1つの基準しか持たないチームは弱いのではないかとも感じます。たくさんの人の多様な視点・価値を織り交ぜることがさらなる事業拡大につながっていくのだと考えています。

個人の展望としては組織づくりだけでなく、自分自身でも体験設計を続けたいとも思っています。ビービットでクライアントのために行うのはもちろんのこと、趣味の延長でプロジェクトをつくり、 小規模で私的な取り組みにもチャレンジしていきたいです。

今でこそ、責任ある立場を任せてもらっていますが、私はおそらくビービットでなければ自分の価値を発揮できなかったのではと思っています。生活者の価値向上とビジネスの成功のどちらも矛盾しないサービスだからこそ、迷いなくここまで走ってくることができました。そんなビービットの環境に共感する方と、ぜひ一緒に働きたいですね。


取材・執筆 :一本 麻衣 / 撮影:種石光 / 編集:石川香苗子

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