「人間の心理や行動特性を探求することで、真に役に立つ製品、サービス、またそれらを支える仕組みを創出し、豊かな社会の実現に貢献する」を理念に掲げるビービット。
UXグロースコンサルタントは、UXチームクラウド「USERGRAM」を活用しつつ、UXの改善・更新サポートを行う。一過性の改善提案にとどまらず、お客さまが自らUXグロースを実現できるよう、業務プロセスを整え、必要なスキルやマインドを定着させることがミッションだ。
今回は、XDビジネスマネジメントにてシニアマネージャとして活躍する津田勇樹さんをご紹介。実際の業務内容やそのやりがいについて聞いた。
津田 勇樹(つだ ゆうき)/ XDビジネスマネジメント / シニアマネージャ パリ第一ソルボンヌ大学 大学院卒。IBMのコンサルティング部門に入社し、大企業向けのERP導入に伴う企業変革プロジェクトやIT戦略起点の業務改革プロジェクトに多数従事。その後アマゾンに転職し、新製品発売前後のプロジェクトを担うローンチ・プロジェクト・マネージャーとして、アプリストア、プライム・ミュージック、プライム・ビデオやスマート・スピーカーのローンチに携わる。2018年に起業し、2年間独立コンサルタントとして活動したのち、2020年よりビービットに参画。
目次:
- UXグロースをお客さまの手で実現するサポートを
- 転職のトリガーは突出した専門性が身につくこと
- 目の前のタスク処理から脱却させ、中長期的なゴールを共に見据えて
- より多くの、UXグロースが必要なシーンに価値提供したい
UXグロースをお客さまの手で実現するサポートを
── まず、現在はどのような仕事を担当していますか?
私は現在、お客さまの組織にUXグロース業務を定着させるプロジェクトに携わっています。お客さまごとに「ユーザ数を増やしたい」「顧客接点を増やしたい」と抱えている課題は異なります。それぞれのお客さまが、自身の手で課題を解決し、サービスのグロースができるようにすることが私の役割です。
お客さまによってUXについての理解度も違い、場合によってはその説明から始めることもあります。共通しているのはデジタルサービスという新しい領域に踏み込み、取り組み方について暗中模索しているという点です。
正しい改善を続けるには、ユーザの理解が必要不可欠です。ユーザがどこに価値を感じて自社の商品やサービスを購入しているのか、想像力を働かせ、相手になりきって考えなければなりません。一人の熱狂的なファンをつくる意識が重要で、そのためにはユーザの行動をつぶさに分析し、そのデータをもとに改善策を見出し、実験する、そのサイクルを何度も繰り返す必要があります。
お客さまが自ら改善を回せるようになると、我々のサポートは不要になります。それでは、我々の存在価値がなくなってしまうかというと、決してそうではありません。施策立案の元となるデータを収集するための、USERGRAMの提供は続きます。しっかり成果を出せれば、同じお客さまの他事業部が我々のサービスを検討してくださるかもしれません。UXグロース業務の定着スピードを高め、我々のサービスを求める企業へ価値提供できる範囲を広げていければと考えています。
転職のトリガーは突出した専門性が身につくこと
── ビービットに入社した理由を教えていただけますか?
私がビービットに入社を決めた理由は大きく4つあります。
まず1つ目は、突出した専門性を身につけられること。どうしてもコンサルティング業務はお客さまの“御用聞き”になることが多く、ともすれば「何でも屋さん」になりがちです。もちろん、それ自体は悪いことだとは思いません。ただ、過去に独立した経験を踏まえて考えたところ、特定の分野に特化して学び、突き抜けた専門領域を持つべきだと強く感じたのです。そうでなければ自分のリソースを買ってもらう、いわゆる時間貸し的な働き方から抜け出せないと思ったからです。
その点ビービットはUXにこだわってサービスを展開していて、ここなら深い専門性を身につけられるのではと思いました。
2つ目は、顧客志向。私自身これまでも顧客第一主義を掲げる会社に在籍した経験があり、ビービットのユーザ体験の向上を軸にサービスの提供をしているところに非常に共感したのです。顧客志向という明確な軸があれば、お客さまと意見が対立した場合でもただ相手の要望を叶えるのではなく、最善のやり方を模索し、我々主導でお客さまを導くことができます。
3つ目は、グローバル志向。ビービットは台湾、中国にも拠点があり今後もシンガポールやヨーロッパなど、さらなる海外展開を視野に入れています。海外に拠点があることで、現地の視点を取り入れられますし、先進的な事例に触れることもできるので、自社のサービスをよりブラッシュアップできるはずだと思っています。
最後は、SaaSプロダクトとしての可能性。ビービットが手がけるUSERGRAMはウェブやアプリに訪れるユーザ一人ひとりの行動の順序や流れ(シーケンス)を追えるクラウドサービスです。他の分析ツールでは追えないような、細かな動きまで見える化できるため、有効な改善策の構築につながります。こうした他にはない機能を搭載しているところに魅力を感じました。
目の前のタスク処理から脱却させ、中長期的なゴールを共に見据えて
── 入社して感じているやりがいや、印象に残っているプロジェクトについて教えてください。
入社してまず驚いたのは、他のコンサルティング会社と比べて規模は決して大きくないのに、優秀な人材が多いことでした。また、UXの専門性だけでなく、顧客第一志向への理解の深さも突出していると気づきました。
とくに印象に残っているのは、UXグロース業務の業務設計を自身でこなしながら、プロダクトの改善管理も同時に担当した仕事です。お客さまの組織では業務設計とプロダクト改善を並行して進めていたことに加え、各メンバーには別の仕事もありました。みなさんとにかく目の前のタスク処理でいっぱいだったのです。
それでは、いつまでも業務設計を行う我々コンサルタントの存在が必要となり、お客さま自身がUXグロース業務を推進できるようにはなりません。そこで、忙しいなかお客さまになんとか時間を取ってもらい、プロジェクトの中長期的なゴールや、メンバーに期待していることについてすり合わせを行いました。その結果、業務設計・業務理解へ意識を集中させてもらうことができ、UXグロース業務定着の後押しができました。後々、プロジェクトメンバーの皆さんに感謝されたことがうれしくて、今でも鮮明に覚えています。
── UXグロース業務に携わることで、どのような成長や気付きがありましたか?
私自身、UXグロース業務に携わるなかで UXやUCD(User-centered design:ユーザ中心設計)と言った、顧客体験を設計する手法についての理解が深まりました。プロジェクトの中で自身でもお客さまと一緒に体験設計をする必要があり、これまでの経験とフレームワークの知識が実体験を通して重なり合ったような気がしました。その結果、より効果的な提案やコンサルティングができるようになったと感じています。
UXグロースの方法論に対する自分自身の理解が深まるにつれ、説明に対するお客さまの納得感も増してきた気がします。入社してすぐはお客さまからの質問に即座に答えられなかったり、自分の答えに自信がなかったりしていましたが、今では状況に合わせてきちんと説明できるようになりました。
より多くの、UXグロースが必要なシーンに価値提供したい
── 今後の展望は?
いまは、すでにリリースされているサービスや商品のグロースに携わることがほとんどですが、今後はさらに上流から関わり、サービス開発の起点にユーザ中心設計を組み込んでもらうお手伝いができればと考えています。そのためには企業の上層部こそ意識を変える必要があります。会社としても、そのアプローチとしてイベント開催など行っていますが、私も積極的に上層部の意識を変える取り組みに挑戦したいと思っています。
また、USERGRAMの海外展開にも携わりたいと考えています。日本は決して、UXやDXに関して進んだ取り組みが行われているわけではありません。しかし、USERGRAMはより先進的なUXグロースに対応できるポテンシャルがあると考えています。国境を越え、我々のサービスがマッチするより多くの場面に、価値提供していければと思っています。
とはいえ、SaaSとしてのサービスはまだはじまったばかりです。これから組織も含めて作りこんでいく必要があります。変化や組織作りを楽しみながら、お客様の成功にコミットすることができる方と一緒に働けることを期待しています。
取材・執筆・撮影:種石光 編集:石川香苗子