アクセンチュアとマイクロソフトの戦略的合弁会社として2000年に米国で生まれたアバナード。「戦略×テクノロジー」の支援により、これまで多くのクライアントのイノベーション創出を支えてきました。
今回インタビューしたのは、起業を経て2022年にアバナードへ入社した山本。エンジニアとして経験を積む中で、お客様への提供価値をより深く考えるようになったことをきっかけに、提案の最前線へと役割を広げていきました。現在は所属するセキュリティの枠を越え、AIやIoTの提案にも携わっています。専門領域を一つに限定せず、幅広い領域の知見を生かしながらお客様への価値創出に取り組む姿について語ってもらいました。
▼プロフィール
氏名:山本 学(gaku.yamamoto)
役職:Manager
職種:Client Solutions
起業を経てアバナードへ、エンジニアとして歩み始めるまで
―まずは、アバナードに入社されるまでの経歴を教えてください。
アバナードに入る前は友人と共同創業で起業し、会社を経営していました。ハードウェアからセンシングデータの収集、クラウドへの連携までを一気通貫で手がける会社です。その会社は友人たちに任せ、私は転職することにしました。
理由としては、関係者が多く、扱う予算も大きいエンタープライズの現場で、より多様な経験や価値観を持つ方々と切磋琢磨したいと考えました。自分で会社を経営してみて、ビジネスの組み立て方や商談での立ち振る舞い、ソフトウェアの運用維持管理における体制づくりや、お客様との合意形成など、幅広い面で力が足りないと感じました。そこで、自分より優秀な人が多い会社で磨きたいと思ったんです。
―なぜアバナードを選んだのでしょうか?
入社を決める大きなきっかけになったのは、面接を担当いただいた方の存在です。カジュアルな会話の中で悩みを話したところ、ご自身の持論や経験をもとに、的確な言葉を返してくれました。そのやり取りを通じて、この人と一緒に働けば自分も成長できるかもしれないと感じたんです。
顧客理解を深めるなかで、提案の最前線へ
― 入社後は、どのようなお仕事から始めたのか聞かせてください。
入社してすぐはエンジニアとして、車両とセンサーデータを活用した仕組みを約3カ月で実装し、テストまで実施するというプロジェクトに入りました。前職でハードウェアの情報をもとにプログラムを書く経験があったので、それが活きましたね。
その後は、生成AIが登場したタイミングで、エンタープライズのお客様向けに汎用型のチャットをつくる案件があり、実装リードとして担当しました。
―現在はClient Solutionsとして活動していますが、入社時はエンジニアだったのですね。
はい、入社時はエンジニアとして、実装を中心に担当していました。実装の仕事も楽しかったのですが、次第に実装よりも前の工程からお客様との接点を持ちたいという思いが強くなり、Client Solutionsとして提案に携わるようになりました。若手の頃は技術的な完成度ばかりに目が向きがちで、お客様が本当に求めていることを十分に捉えられていませんでした。そのため、顧客視点の重要性について多くのフィードバックを受けたことがあります。当時は「綺麗な設計書を書くより、まずお客さんと会話しよう」と言われても、その重要性を十分に理解できていませんでした。
しかし、アバナードで働き始めて、その意味が分かるようになりました。お客様と話すことで、お客様が必要としているものが手に取るようにわかる感覚があるんですよね。その気づきから、今は提案から受注までに責任を持つことをメインミッションとしています。実装を担当することもありますが、まずはお客様と対話し、何を実現したいのかを捉えることを大切にしています。
セキュリティ所属のまま、AIもIoTも提案の段階から手がける
―現在はどのようなプロジェクトに携わっているのか聞かせてください。
現在はセキュリティのチームに所属しながら、AIやIoTなど幅広い領域のプロジェクトに関わっています。アバナードのClient Solutionsは基本的に領域ごとに担当が分かれているのですが、積極的に幅広いプロジェクトに関わってきました。
―幅広い領域の案件に関わるようになったのは、どのような思いからですか?
お客様の本質的な課題に向き合い、解決につながる提案をしたいと考えているからです。最初はセキュリティに関するご相談であっても、お話を伺うなかで、AIやIoTなど他の領域の話に繋がることは少なくありません。そうした幅広い相談に向き合うには、自分自身もさまざまな領域の知見や経験を持っておく必要があると思っています。特定分野で尖ることも大事ですが、私自身が理想とするITコンサルタント像は、幅広い技術領域を理解したうえで、お客様の課題に向き合う存在です。
―その考え方には、どのような経験が影響しているのでしょうか?
前職までの経験が大きく影響していると思います。起業前も社員数の少ない企業で働いていたため、一人ひとりが複数の役割を担いながら仕事を進める環境が当たり前でした。
さらに起業後は、サーバーやモバイル、クラウド、セキュリティなど幅広い技術領域に向き合う必要がありました。そうした経験から、専門領域に閉じずに課題解決に必要な知識を広く身につけることが自然になったのだと思います。
1つの相談を分解し、AIと業務プロセスの両面から打ち手を出す
―実際に、1つの相談から複数の領域にまたがる提案が生まれることもあるのですか。
はい、よくあります。お客様からいただくきっかけの課題は1つでも、分解していくと、「こういう環境がないから」「こういうプロセスが整備されていないから」という複合的な要因になっていることが少なくありません。
たとえば、ビジネスプロセス部門のお客様が「AI前提の業務に変えていかなくてはいけない」というテーマを持っていたことがありました。「AIエージェント」という大きなテーマで捉えるのではなく、構成する技術要素やトレンド、現実的に投資して効果が出る仕組みまで解像度を上げて捉える。そこにビジネスプロセスの国際標準であるBPMN(業務プロセスを可視化するための標準フレームワーク)の知識が重なると、「世の中の議論はこの標準を前提に進んでいるはずだ」と仮説を立てながら提案できます。
―きっかけは1つのテーマでも、様々な要素が絡み合っているのですね。
そうですね。そうした知識をもとにお話しすると、「そういう情報が欲しかった」と言っていただけて、より深い悩みを聞かせてもらえることもあります。もちろん、私が全ての領域の専門家になることはできません。だからこそ、お客様との対話から得た情報を整理し、必要に応じて社内の専門家へつなぐことも大切にしています。
私は、こうした役割を「境界に立つ」と表現しています。ただ、異なる領域をつなぐのは簡単ではありません。それぞれの領域で使われる言葉や主語、仕事の進め方、文化が違うため、まずは相手をリスペクトし、その考え方や進め方を吸収したうえで入り込んでいく必要があります。苦労もありましたが、領域を越えて周囲と協力できるようになることで、お客様へ届けられる価値も広がってきたと感じています。
生成AIが前提を変えた今、次に届ける価値を自分でつくる
―これから、ご自身が注力していきたいことを教えてください。
向き合うべきは、生成AIが変えたあらゆる前提です。私はよく「GPT」という言葉を使うのですが、これはChatGPTのことではなく、汎用技術(General Purpose Technology)という意味です。生成AIはもはや産業革命における蒸気機関に相当するインパクトだと捉えています。そういう技術が当たり前の選択肢になると、ソフトウェア開発そのものに加え、事業課題の解決や変革を実現する力への期待がより高まっていくと考えています。そのような世界の中で、アバナードとして提供する価値を再定義しなければなりません。
―具体的には、どのような価値を届けたいと考えていますか。
ひとつは、ハイレベルな運用維持管理や、その先の予見まで担うこと。お客様が本来注力したい領域に時間を使える状態をつくることも、新たな価値になり得ると考えています。
もうひとつは「知識の先行性」です。たとえば、ロボットなどを通じて現実世界で動作するAIを「フィジカルAI」と呼びます。これを試したいお客様に対して、「我々が実践したところ、難しいポイントはここにありました」と、つまずきやすい事象を先回りして伝えています。
目指しているのは、「アバナードと一緒に取り組むことで、本業の成長や変革につながる価値を得られる」。そんな存在としてお客様から選ばれ続けるサービスを仲間とともに形にしていくことです。
距離の近さが、視座も提案の力も鍛えてくれる
―そうした、会社や業界の未来まで考えるようになったのは、何かきっかけがあったのですか。
経営陣との近さだと思います。日々の業務を通じて感じたことや、事業の方向性に関する考えを社内で共有する機会があります。私が会社の将来について「こういうことをしたい」「こういう方向に進んだ方がいいと思う」と。すると、代表の鈴木から率直で示唆に富んだフィードバックが返ってくるんですよ。「山本さん、この考え方はいいね。だけど、うちはこういう付加価値を届けられたらもっといいよね」って、考えを押し上げる形で返ってくるんです。
そのフィードバックも的確ですし、豊富な経験を持つ先輩たちが真剣に仕事に向き合う姿を身近で見ていると、「自分もそうありたい」と思うようになりました。自分よりも20〜30歳も年上の先輩たちが、本気で働いている姿を近くでよく見ていると「自分も」と思うようになりました。この人たちと肩を並べたい、いつまでも「すごいな」と見ているのは悔しいというか。上にいる人たちに追いつくために、自分も業界や会社のことを考え続けなければ、という意識が芽生えました。
―先輩たちからも、多くの刺激を受けているのですね。
そうですね。アバナードに入って良かったのは、多様な経験や専門性を持つ方々に自分の意見をぶつけられることだと思っています。オフィスでは、マネージングディレクター(経営層に近い管理職)にお客様との議論や提案のアイデアについて相談することもあります。すると、「その視点は良いね」「こちらの観点も考えてみるといいかもしれない」といった率直なフィードバックをいただけるんです。そうした対話を通じて、自分の考えをさらに深めることができています。オフィスでマネージングディレクターを急に捕まえて、「お客様とこういう話をしてきた、こういう打ち手があると思う」と話すこともあります。それに対して「それは違うでしょ」と言われることも「それでいいんじゃない」と言われることもあります。
さらに、自分の考えを相談したり議論したりできる相手は社内だけではありません。案件について相談したいことがあれば、マイクロソフトやアクセンチュアの方々と直接話せる機会があり、当日や翌日にミーティングできることもあります。もちろん、相談内容を端的に整理しておく必要はありますが、両社から直接フィードバックをいただけるのは、ジョイントベンチャーであるアバナードならではの環境です。アカウントチームの先輩たちが築いてきた信頼関係が、その土台になっています。
自分の考えをまとめ、周囲との対話を通じてフィードバックを得ながら磨いていく。この反復があるからこそ、視点や知見が磨かれてきました。
―最後に、アバナードに興味を持った方へ、メッセージをお願いします。
「自分次第」と言うと突き放して聞こえるかもしれませんが、自分が考えて動いたときに、やってみなさいと背中を押してくれる人が多い会社です。自ら挑戦し、学び続けたいと思う方にとって、多くの機会がある環境だと思います。
私自身も現在は大学院に通いながら働いています。自ら学び続けたいという意思を持つ人に対して、その挑戦を応援してくれる環境があると感じています。実現したい未来に向かおうとしたときに、応援してくれる人もたくさんいます。
※本記事は連載企画として発信しています。アバナードでは、一つの専門性に閉じることなく、新しい領域へ挑戦しながら価値を広げていく社員が数多く活躍しています。
AI開発の最前線で挑戦を重ね、入社2年目でTech Starを受賞した若手社員のストーリーも、ぜひご覧ください。