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CM制作を志したテレビっ子が、新聞社のクリエイティブ職として歩み続けて辿り着いた今

――今のお仕事を教えて下さい。

朝日新聞社が手掛けるコンテンツマーケティングの分野で、主に動画コンテンツ制作とWEBサイトのクリエイティブディレクションを行っています。


――どんな理由で朝日新聞社を選んだのですか?

大学ではグラフィックデザインを学びながら映像もやっていて、卒業制作は手描きの短編アニメーション作品でした。幼い頃からテレビっ子で、CMが好きだったんです。将来はCMを作る仕事に就きたいと考えていたある日、たまたま教官室の掲示板に貼ってあった朝日新聞社のアートディレクター職募集の紙を目に留め、新聞社にクリエイティブ職があるのをこのとき初めて知りました。広告会社で単発のキャンペーンを作ることよりも、大手メディアのクリエイティブに関わることに可能性を感じ、興味が湧いて応募しました。


――今の部署は異動して来たのですか?

入社以来、「紙の広告のディレクション」を担当していましたが、やはり動画制作に対する興味はずっとありました。隙を見つけては動画の自主提案などをしていたこともあって、2018年末に今の部署から声がかかりました。部署異動のずいぶん前から、2007年には国産スポーツカーのインフォマーシャル制作に携わったり、2017年には江戸川学園取手中・高等学校の40周年記念動画を作らせてもらったりしました。このときは、紙面制作のオリエンの際にグループ企業のドローンチームを連れて行き、その場で空撮映像を見せて追加予算をいただいています。




――前の部署での仕事や大学での勉強は業務に役立っていますか?

はい。今話したとおり、現在の部署に異動するまでの16年間は広告局(現メディアビジネス局)のアートディレクターとして「紙の広告」に携わってきました。その中でやってきた「クライアントの課題解決のために社内外のリソースを活用し、案件ごとに適宜最適なチームをつくる」という経験は、扱うメディアが紙からデジタルに変わった今も役立っています。また大学で学んだデザイン力やデッサン力の基礎というのは、技術的なことよりも物事の捉え方を養う力になっています。「デッサンとは、描くことではなく観察すること」とよく言われますが、広告クリエイティブにおいてもファクトベースで課題を多面的に捉え、アイデアをゴールまで導くストーリーを組み立てる力が必要だと思っています。


――どんなチームで働いているのですか?

朝日新聞社ビジネス部門の戦略組織である「総合プロデュース室」のデジタル推進チームという、朝日新聞デジタルを始めとした数多くのデジタル媒体の広告商品を扱う営業部署の中でクリエイティブ担当として働いています。クリエイティブメンバーは数名ですが、ライティングを行うメンバーも数名います。他部署に比べると平均年齢は若く、上下関係なく活発な意見交換ができるチームだと思います。TikTokを絡めた企画などでは、3年目の若手にアドバイスをもらいながら絵コンテを描くなんてこともあり、日々刺激をもらっています。



――最近はどんな広告にチャレンジしていますか?

空撮ですかね(笑)。 朝日新聞社が所有する資産の一つに「報道ヘリ」があります。Netflixオリジナル映画「クリスマス・クロニクル」のCM制作では、朝日新聞東京本社屋上のヘリポートをはじめ、日本各地にサンタに向けた巨大なメッセージ(OOH)を実際に作り、航空部協力のもとヘリで空撮して報道映像風のCMに仕上げました。ほかにも昨年11月1日にオープンした「渋谷スクランブルスクエア」の仕事では、展望施設「SHIBUYA SKY」の演出プランナーであり古くからの友人でもあるライゾマティクス有國くんとの会話の中で、空撮写真をつかった広告号外の発行を提案。開業日当日に街頭配布やポスティングをするアイデアがクライアントに刺さり、新聞広告ほか様々なアイテムで使用するための空撮写真撮影も担当しました。おそらくビジネス部門の中で一番多くヘリに乗っているクリエイターじゃないでしょうか。



2018年12月3日/羽田空港にて



最新の仕事としては、1月1日に公開されたばかりのジョニーウォーカー ブルーラベル「一万樽に一樽の奇跡」があります。俳優・映画監督であり画家でもある奥田瑛二氏がスコッチウイスキーの本場スコットランドを尋ねる様子をドキュメンタリーとして収録したものですが、これまでの経験を総動員して新聞広告、WEBサイト、スペシャルムービー制作を行いました。現地ではCD兼カメラマンとしても同行し、本企画で使用した写真はすべて自分で撮影しています。最高のチームと共に新しいチャレンジに取り組む事ができ、朝日新聞社のクリエイティブ力を存分にアピールできたと感じています。

・2020年1月1日公開/ジョニーウォーカー ブルーラベル「一万樽に一樽の奇跡」

https://www.asahi.com/ads/jwb_okuda/

【その他の制作事例】

・2019年11月6日公開/朝日新聞DIALOG×筑波大学附属視覚特別支援学校「声の力プロジェクト」

https://www.asahi.com/dialog/voice-power/12856574

・2019年11月20日公開/東京観光財団「Tokyo Sake Project」

https://www.asahi.com/ads/tokyosakeproject/

・2019年11月25日公開/朝日新聞デジタル&M × SONY「大画面でネット動画はもっと面白い!」

<福田正博編> https://www.asahi.com/and_M/20191125/7375385/

<眞鍋かをり編> https://www.asahi.com/and_M/20191125/7375829/



――休日はどのように過ごしていますか?

数年前からトレイルランニングというスポーツにはまっていて、土日はだいたい山の中を走り回っています。最初は数キロ走るだけで息が上がっていましたが、今では100キロ超えのレースに出るまでになってしまいました(笑)。 早朝ランをしながら頭の中をリセットするのも日課です。取材や撮影などが入らない限り休日は割としっかり休めるので、予定も立てやすくオンオフの切り替えがしやすい職場だと感じています。


――広告会社や制作会社で働くことと朝日新聞社で出来ることの違いは?

広告会社や制作会社のクリエイターが高いクリエイティビティを持っているのは間違いないですが、メディアのクリエイターはメディアが発信する文脈に載せて広告展開することが可能です。朝日新聞が得意とするSDGs、環境、教育、医療、ジェンダーイクオリティなどの文脈と絡めた広告制作がしやすいのもアドバンテージと考えています。


――朝日新聞社にどんな魅力や可能性を感じますか?

ネットが普及し情報が飽和している現代においては、逆に新聞メディアの信頼性はますます高まっていると感じます。SNSで拡散されているネタの情報源を辿ると新聞記事だったなんてことはざらですよね。例えば、音楽メディアがレコードからCD、MP3へと形を変えてきたように、いよいよ新聞メディアも紙からデジタルへと本格的に移行する時期に差し掛かりました。とはいえ企業が社会に対してなにかを宣言する上で最も適したメディアであり続けることに変わりはないと思っています。また、オフィスを見回すとダイバーシティ、多様性を感じますね。記者や広告営業、エンジニア出身など本籍地の違う人間が入り乱れて一緒に新しいビジネスを生み出そうと日々議論を重ねている姿に新聞社の未来を感じます。


――どんな人にジョイン(入社)してほしいですか?

朝日新聞社のデジタルクリエイティブはまだまだ過渡期です。Adobeイラストレーターやフォトショップが使える、HTMLが書ける、動画編集ができるといったスキルセットがあるに越したことはないですが、それよりも時代の変化に常にアンテナを張り、新しいものを貪欲に吸収してアウトプットしていけるマインドセットを持った人と、一緒に学びながら成長していきたいですね。正直、来年、再来年には自分たちがどんな仕事をしているか分からない。そんな環境を一緒に楽しめる人と仕事をしたいです。




- Profile -

総合プロデュース室デジタル推進チーム アートディレクター  金子裕也(Yuya Kaneko)

2002年、東京藝術大学デザイン科卒業後、朝日新聞社に新卒入社。広告局(現メディアビジネス局)クリエイティブチーム アートディレクターを経て、2018年12月より現職。2008年と2017年に朝日広告賞準部門賞、2016年に日本新聞協会・新聞広告賞激励賞を受賞。現在は動画を軸としたコンテンツマーケティングの領域で様々な業種のクリエイティブディレクションを行っている。



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