時間をかけて企画を考え、台本を書き、撮影して、細部まで調整した動画。
「これは伸びそうだ」と思って投稿したのに、数字がまったく動かない。
SNSマーケティングの仕事をしていると、そんなことがあります。
どれだけ経験を積んでも、出す前に結果をすべて当てることはできません。先月伸びた構成が今月は伸びないこともあれば、正直そこまで期待していなかった企画が大きく伸びることもあります。
だから、企画が外れること自体をゼロにはできません。
僕が本当の失敗だと思うのは、数字が伸びなかったことではなく、「なぜ伸びなかったのか」を残さないまま、次の投稿へ進んでしまうことです。
「誰が悪かったか」を決めても、次の企画は良くならない
数字が悪いときは、原因を誰かに置きたくなります。
企画が弱かった。台本が悪かった。編集のテンポが遅かった。演者の話し方が合わなかった。
でも、一人を原因にして終わると、チームには何も残りません。
たとえば再生数が想定を下回ったとしても、考えられる理由は一つではありません。
冒頭で内容が伝わらなかったのかもしれない。動画のテーマと視聴者が合っていなかったのかもしれない。投稿間隔や配信状況の影響かもしれない。再生数は低くても、保存やプロフィールへのアクセスは良かったかもしれない。
結果が悪いときほど、すぐに一つの原因へ決めつけず、事実と仮説を分けることが大切です。
失敗した人を探すのではなく、次に変える場所を探す。
これが、僕たちが振り返りで持ちたい姿勢です。
「様子を見ます」で終わらせない
不調な投稿を振り返るとき、僕は次の順番を大切にしています。
事実 → 基準 → 仮説 → 次の検証
まず、実際に何が起きたのかを数字で見る。次に、過去の投稿や目標に対して、どこに差があったのかを確認する。そのうえで原因の仮説を複数持ち、次の投稿で何を変えるかを決めます。
たとえば、冒頭での離脱が大きいなら、次は商品の見せ方を早める。保存は多いのに再生が広がらないなら、内容を捨てるのではなく、最初の伝え方だけを変える。
そして、次の数字がどこまで動いたら仮説が合っていたと判断するのかも、できるだけ先に決めておく。
「もう少し様子を見ます」だけでは、何本投稿しても学びが増えません。
結果が出る前に、見る数字と判断条件を決めておく。そうすると、外れた企画も、次の一手をつくるためのデータになります。
失敗を共有できる人は、チームを強くする
うまくいかなかった話は、できれば隠したくなるものです。
でも、一人が経験した失敗を本人だけのものにすると、別のメンバーが別の案件で同じ失敗を繰り返します。
だから、良かった打ち手だけではなく、失敗した事例もチームで共有したいと考えています。
もちろん、誰かを責めるためではありません。必要なら名前を伏せ、本人の同意を得たうえで、何が起きて、どんな仮説を持ち、次にどう変えるかを共有する。
失敗を話せる人は、能力が低い人ではありません。
分からなかったことを「分からなかった」と言える人。自分の仮説が違っていたときに、事実を見て考えを変えられる人。そこで得た学びを、ほかのメンバーへ渡せる人。
そういう人がいるチームは、同じところで何度もつまずかなくなります。
僕たちが目指すのは、失敗しないチームではない
ANDGIVEのVALUEの一つに、「Repeat the Emotion — 感動を再現する。」があります。
偶然うまくいった一回を喜ぶだけではなく、なぜうまくいったのかを言葉にし、別の案件でも再現できる状態をつくるという考え方です。
僕は、そのためには成功だけでなく、失敗も残す必要があると思っています。
何をすると届かなかったのか。どの前提が違っていたのか。次は何を試すのか。
失敗の中には、成功の範囲を知るための情報があります。
僕たちがつくりたいのは、一度も外さないチームではありません。
仮説を持って挑戦し、外れたときは正直に認め、学びを次の企画へ渡せるチームです。
自分のアイデアを試してみたい人。
数字を見ながら、考えを更新できるマーケターになりたい人。
成功事例だけではなく、失敗も含めてチームの知識をつくっていきたい人。
そんな方と、一緒に仕事ができたらうれしいです。