社員インタビュー第三弾は、研究開発部にてバイオスティミュラントの研究を行っている林 大祐さんです。
代表の中道とは大学時代の後輩でもある林さんは、熱いオファーを受けて大手企業からAGRI SMILEに転職しました。
【ベンチャー企業への転職経験】について、リアルで参考になるお話をたくさん聞くことができたので、ぜひ最後までご覧ください!
─まずは自己紹介と入社の経緯を教えてください。
京都大学大学院農学研究科を卒業後に、大手飲料メーカーに入社しました。
前職では飲料の技術開発職、いわゆるビールの中味造りや製造現場の生産管理を担当する傍ら、AGRI SMILEでの副業を1年ほど続けて、その後正式に入社しました。
代表の中道とは大学時代から同じ研究科の先輩後輩として親交があり、会社設立の話も伺っていたので、興味は元々持っていました。
学生時代に和歌山県の大きなみかんの産地に行って収穫のお手伝いをさせてもらったことがあるのですが、山に囲まれた地域なので高齢の方には収穫作業がとても大変そうで、急な斜面にある美味しいみかんを収穫しない農家さんも出てきていると知りました。高齢化の課題に加えて、技術的な課題について伺うと、収穫量が表年(収穫量が多い年)と裏年(収穫量が少ない年)が交互になるため、収入も年によって異なることや、気象条件の変化、病気の発生などのリスクに対応する難しさがあることを教えてもらいました。各課題に対して、日々みかんの樹や園地の様子と向き合いながら、精緻に管理し、高品質な果実を生産されている農家さんの姿を見て、大変感銘を受けたのを今でも覚えています。
前職でも、輸入原料に加えて麦やホップなどは一部国産の農作物を使って製造していたので、業務内外で各地のJAさんや農家さんからお話を聞く機会があり、“農業の技術的な課題”が全国各地に各品目において沢山あることを知りました。
そういった経験から「農業の課題解決を目的とした研究開発にチャレンジしたい」という想いが強くなり、AGRI SMILEに参画したという経緯です。
─中道さんとは学生時代からお知り合いということですが、当時はどんな印象でしたか?
大学時代の印象は“野球が上手な人”でした(笑)。
学部内で行われるソフトボール大会でライバルチームだったのですが、中道は甲子園を目指して野球をやっていただけあって上手でしたね。
僕も小学生時代に野球をかじっていたので、ソフトボールを通じてお互いの存在を認識し、研究内容をはじめ、徐々にキャリアや仕事についても話すようになりました。
─そんな中道さんに「一緒に働こう」と声をかけてもらった際、印象に残った言葉やエピソードはありますか?
彼自身もずっと研究を行ってきた人なので、そこに対する思い入れは強く、誰かを採用するとしたら“自分より優秀な人”だと。
「林が農業界の研究を変えるような1番の研究組織を作れないなら誰にも作れないと思っている。だから来て欲しい。」と言ってもらったのが、すごく印象的です。
数人規模しかいない中で、そんな言葉をもらえたのはすごく嬉しかったですし、期待に応えたいと感じましたね。
また副業時代には、中道の“農業界に対する強い想い”を感じました。
農業界にある課題は、一筋縄ではいかないものが多く、農業界としても苦しんできている状況で、そこを変えられそうな熱量を持つ人は、私がお会いした人の中では中道が初めてでした。
副業としてお手伝いしながら、JAさんをはじめとして、農業界のいろんな方から応援される姿をみて「自分にも何かできないかな」と転職を考えるきっかけにもなりました。
ベンチャー企業だからこそ感じられる“0→1”の価値
─大手企業からベンチャー企業であるAGRI SMILEへの転職は悩まれたかと思いますが、いかがでしたか?
正直すごく悩みましたし、不安もありました。前の会社は転職する人が少なくて、同期の研究系職種で辞めた人はいまだに一人もいないです(笑)。
手を挙げれば、やりたいこと・面白い仕事をさせてもらえる環境でしたし、当時のAGRI SMILEは中道と社員を合わせて3人しかいなかったのもあり、自分の力量で会社に貢献できるのだろうかという不安は大きかったです。
でも、最後は開き直って飛び込むように決意しました。
“失敗”というものを考えたとき、大して失うものってないなと思ったんです。それよりもAGRI SMILEで得られるものがあるなら、すごく価値があるなと。
ダメならダメで、その時に考えればいいやといった気持ちでした。
また、入社後のギャップを減らす意味では、副業期間を経たことが、すごく良かったです。
─もし副業という形を希望する方がいたら、現在も実現は可能でしょうか?
はい、可能です。多くの社員は副業から参画して正社員になっています。もし興味がある方がいたら、カジュアル面談も行っているのでぜひお気軽にメッセージください!
─すごく悩んだうえで決断したとのことですがということは、どんな何か前職に勝る魅力がAGRI SMILEにはあったのでしょうか?
キャリアの中で必ず挑戦してみたい仕事ができる環境がありました。
社内外の人とコミュニケーションを取りながら、農業界という産業をよくするために必要なものは何かを考えて研究方針を立て、研究開発したものを現場に実装して課題を解決することが研究開発部門の役割なので、会社にとって大変重要な部門です。大きな方向性となることを自分で決めて、決めたことに責任を持って実行する……
そんな環境がAGRI SMILEにはありました。経験したことのないチャレンジングな環境でしたが、自分のキャリアとして必ずやりたいことだったので、その環境が目の前にあると考えたら、飛び込まざるを得なかったです。
また、会社としての研究経験が全くない状態からスタートするので、ゼロから新しいものを生み出せるという点も、魅力に感じましたね。
─やりたいこと・実現したいビジョンが明確な人には、すごく魅力的な環境ですね!大手企業とベンチャー企業の違いを感じたことはありますか?
もちろんあります。社員が2人の段階で入社しているので、スタートアップに対してよくいわれる“何もない” 状態でした。
大企業では、これまで培われた知見や充実した環境で仕事を進められると思いますが、スタートアップで研究開発部を立ち上げるにあたっては、まずラボをどうしようかというところから始まり、環境を整えて開始できる状態にするための業務も全て自分で行っていましたね。
今は役割分担もできて、企業として事業環境が整っていくスピード感をすごく感じています。
「バイオスティミュラント」でサステナブル農業を実現
─研究開発部で林さんはどんな業務をされているのでしょうか?
まず、研究開発部では“バイオスティミュラント”と呼ばれる新しい農業資材の開発を基軸に業務を行っています。
バイオスティミュラントというのは、植物のストレス緩和、ストレス耐性をつけるという点に着目した、肥料や農薬とは異なる新しいカテゴリーの農業資材です。
昨今の地球温暖化によって、植物への環境ストレスが増えていますが、バイオスティミュラントは、肥料の栄養成分を効率的に吸収できるようにしたり、化学肥料や化学農薬を減らす効果も期待されるため、環境に優しい農業の実現、グリーントランスフォーメーション(GX)の推進という点でも、注目を浴びています。
一方で、バイオスティミュラント資材は欧米を中心に市場拡大中ではあるものの、栽培現場目線だとどのようなメカニズムの資材なのか、どう使えば効果があるのかが見えにくいという課題があります。当社では、農業資材としてバイオスティミュラントを現場で活用できるように、複数の評価指標を整えて適切に情報提供し、現場導入を支援しています。
現場導入の際には、単なる収量への影響に加えて、今後求められる環境に優しい栽培体系としてどのように活用できるのかについても評価を進めています。
農業という産業が持続可能になるには、資材コストやエネルギーコストを低減した適切な栽培体系を構築し、厳しい環境ストレス条件の中、収益の出せる作物を安定的に作り続けられる必要があり、その実現のために当社が存在したいと考えています。
私自身は、研究開発部の取りまとめ(各所必要な連携組み、中長期的な研究契約の策定、予算確保など)を行っていますが、全体としての業務は3つぐらいに分けられます。
①基礎研究部門
②現場への応用を考える部門
③製品化を行う部門
①の基礎研究では、バイオスティミュラントになりそうなものを探してきて、植物の栽培形に試しながら、良さそうなものをミクロな視点で深く突き詰めていきます。
②の現場実装の部分では、バイオスティミュラントという新しいカテゴリーの資材を理解して使ってもらうため、JAさんや生産者さんと相談しながら、現場実装に向けた取り組みを全国で進めています。
実験的な導入からはじまり、その結果を元に本格導入に向けていくのですが、毎月どこかの産地に出向いて生産者さんやJAさんと試験状況を確認しています。
③の製品化の段階では、大学や、企業、研究機関など色々な方たちと共同研究を組ませていただきながら、進めている形です。
─3つの部門を研究開発部全体で担当しているイメージですか?
みんなで担当していくことが多いです。基礎研究部門は一番人手が必要になるので合計10名ほど、他2部門は兼務しながら見ているような組織体制ですね。
今後は基礎研究に加えて製造販売と現場実装を本格化するため、組織体制を充実していく予定です。
今の規模感だと、あと5~10人くらい欲しいところですが、10年後を描いたロードマップでは100人規模を目指しています。
農業界における研究機関の最高峰を目指して
─今後の展望について、教えてください。
バイオスティミュラント市場は10年以内に約3倍、8,000億円規模になるといわれているのですが、手掛ける会社はまだ少ないので、まずはバイオスティミュラント業界においてはAGRI SMILEが最高峰だといわれるような、パイオニア的存在になることを目指しています。バイオスティミュラント研究を基軸に、農学研究全体の課題解決ができる研究部門として成長していきたいです。
バイオスティミュラントは新しいカテゴリーとされていますが、農業界が抱える課題の中にはバイオスティミュラントで解決できるようなものも多くあります。
昨今盛り上がっている脱炭素の流れを含めて、環境に配慮した農業の実現に向けて、それに資するものをどんどん作り、全国の生産現場に研究者を置いて、技術開発から一貫して課題解決につなげられる組織作りを目標に掲げています。
日本の農業は、品質がとても良いことで知られていますが、その裏には農家さんのものすごくプロフェッショナルな技術があります。そういう方々から常に学びながら、農業の課題解決に貢献できるものを提供していきたいですね。
─世界屈指の高品質な農業を守る…そんなAGRI SMILEの未来をどんなメンバーと作っていきたいですか?
何かの分野に特化した研究経験や知見、またその能力を持続する力もすごく大切です。
ただ、「ゼロから何かを生み出したい」という想いさえあれば、知識や経験は後からでもついてくるので、問題ないかと思います。
知識や経験以上に大切にしているのが“コミュニケーション”です。
研究開発は個人プレーのイメージがあるかもしれないですが、他のメンバー、JAさん、生産者さん、大学、企業など、いろんな分野の方とコミュニケーションを取るなかで、新たな発想や種が生まれることも多いので、その上で課題を明確化し、研究活動に繋げていければいいですね。
AGRI SMILEで行う研究活動では、基本的には研究室での研究から現場での実証まで、全過程を経験してもらうのも特徴だと思っています。業務を細分化していない分やりがいも大きいので、そこに興味を持ってチャレンジしたいという熱意ある方を求めています。
組織としても若いメンバーが中心なので皆で切磋琢磨しながら進められる環境があります。
また、会社としては農業界を研究から販売まで支援する事業を展開しているため、研究開発部と連携する事業部が多くあるのも魅力的です。
栽培現場のデジタル化を支援する栽培管理プロダクトを提供し、ビッグデータと農学知見を組み合わせた改善活動を行う産地支援事業部や、ブランディングや新たな商流構築を行う販売支援事業部、さらには生命科学・農学分野を中心に学術領域全体の発展を支援する研究支援事業部など、農業界を広くとらえて価値を提供している点において、特徴的だと考えています。研究を進める上で、また成果を活かしていく上でも日々社内で共有される情報がとても役に立つことが多いです。
JAさんや生産者さんから日々学びながら、自分達としてできる価値提供を上流から下流まで突き詰め、生産現場に貢献していく、そんなAGRI SMILEにご興味を持っていただけたら嬉しく思います。
─林さん、素敵なお話をありがとうございました!
また、読者の方も最後までご覧くださり、誠にありがとうございました。熱意あふれるメンバーが揃うAGLI SMILEにご興味をお持ち頂けた際は、エントリーを心よりお待ちしております!