家賃も払えず、残ったのは空っぽの部屋とエアマット3つ──そんな崖っぷちから生まれたのがAirbnbだった。
「見知らぬ他人を自宅に泊める?」 そんなバカげたアイデアを投資家は鼻で笑い、銀行口座は常にゼロ。だが、彼らは諦めなかった。
資金調達のために大統領選に便乗し、「オバマ・オーズ」「キャプテン・マケイン」なるシリアルを作って売り、まさかの完売。
だが本当に勝負をかけたのはここからだった。
2008年、彼らは本格的にAirbnbを立ち上げたものの、ユーザーはほとんど集まらず、事業は停滞。
サイトには物件が並ぶが誰も予約しない。
絶望の中、彼らは「ホストの写真が悪いせいだ」と考え自らニューヨークの物件を回ってプロ並みの写真を撮影し始める。
すると、予約数が劇的に伸びた。
手応えを感じた彼らは、宿泊業界の固定概念をぶち壊すかのように、誰でもホストになれるプラットフォームを拡大。
だが、それは決して平坦な道のりではなかった。
法規制の壁、トラブルの嵐、ホテル業界からの激しい反発──政府から違法扱いされる都市も続出した。
それでも彼らは突き進んだ。
2011年には、Airbnbを利用する宿泊者が100万人を突破。
その頃には投資家たちの態度も一変し資金が次々と集まり始める。新たな市場を切り開いた彼らはもはや無視できない存在になっていた。
そして今や、Airbnbは時価総額10兆円を超え、世界220以上の国と地域で展開する「ホテルを持たない世界最大の宿泊企業」となった。
「非常識」こそが、未来を変える力になると彼らは証明した。