今日は誰もが知る世界的企業のロゴに纏わる逸話を紹介します。
ロゴは企業の顔です。
しかし、そのデザインの裏には、単なる見た目の美しさではなく、企業の哲学やマーケティング戦略が織り込まれている。
知られざる「こだわり」を知れば、いつも目にするロゴがまったく違うものに見えてきます。
1. Amazon – 「AからZまで」だけではない、矢印の心理的効果
Amazonのロゴにある「A→Z」の矢印は、単に「何でも揃っている」というメッセージだけではない。
この曲線は、人間が無意識に「笑顔」として認識しやすいデザインになっている。心理学的に、人は微笑んでいるものを見ると安心感を抱く。
つまり、この矢印は視覚的に「Amazonを使うと楽しい・満足できる」と感じさせる仕掛けにもなっている。
また、矢印の「方向」にも意味がある。
アルファベットの左から右へ流れることで、視線を自然に動かし、Amazonの名前そのものを「スムーズに見せる」効果を持たせている。
これにより、視認性が高まり、ブランドが記憶に残りやすくなっている。
2. FedEx – 世界でもトップクラスに計算された“隠れた矢印”
FedExのロゴに隠された矢印(「E」と「x」の間)を一度見つけると、もうそれ以外に目が行かなくなる。
これは、デザイン界では「ネガティブスペース(空白を利用したデザイン)」の最高傑作とされる。
この矢印がすごいのは、ただの遊び心ではなく、企業の本質である「物流のスピード感と正確性」を視覚的に伝えている点だ。
しかも、この矢印はさりげなく配置されているため、気づかなくても「なぜかスピード感を感じる」ようになっている。
無意識に「FedExは速くて信頼できる」と印象付ける設計になっているのだ。
このロゴは1994年にデザインされ、40種類以上の案から選ばれたもの。
選定時には、視認性・心理的影響・ブランドメッセージの一貫性など、徹底的に検証が行われたという。
3. Apple – かじられた理由にまつわる「本当の話」
Appleのロゴが「かじられている」のは、視認性のためだと言われるが、これには意外な歴史がある。
1977年、ロブ・ジャノフがデザインした当初のAppleロゴは、実は“丸ごと”のリンゴだった。
しかし、デザインを社内でテストした際、「さくらんぼと間違えられる」という声が上がった。
そこで、一目でリンゴとわかるよう、あえて“かじった”デザインに修正されたのだ。
また、「Bite(ひとかじり)」と「Byte(情報の単位)」をかけたという話が広まっているが、デザイナーのジャノフ自身は「偶然だ」と後に語っている。
しかし、偶然であれ「Apple=テクノロジー」を象徴する要素が自然と生まれたのは、Appleらしいエピソードだ。
4. Toyota – 3つの楕円が作る“見えないブランド名”
Toyotaのロゴは、3つの楕円だけで構成されている。一見シンプルなデザインだが、この形状には驚くほど多くの意味が込められている。
- 大きな楕円(外側) → 世界とトヨタのつながり
- 2つの重なる楕円(内側) → トヨタと顧客の心のつながり
さらに、ロゴ全体を分解すると、曲線の中に「TOYOTA」のすべてのアルファベットが隠されている。
これは、企業のアイデンティティを“ロゴそのもの”に組み込む高度なデザイン技術によるものだ。
また、1990年代にこのロゴが導入された際、当時のトヨタは「単なる自動車メーカーではなく、世界ブランドになる」というビジョンを掲げていた。
つまり、このロゴはデザイン的に洗練されているだけでなく、企業の成長戦略ともリンクしている。
5. BMW – 100年以上誤解され続けた「プロペラ伝説」
BMWのロゴは、青と白の配色から「航空機のプロペラを表している」と言われることが多い。
しかし、実際にはバイエルン州(BMWの本拠地)の州旗の色を基にしている。
では、なぜ「プロペラ説」が広まったのか?
その理由は、1929年にBMWが出した広告にある。
BMWはかつて航空機エンジンを製造していたが、1929年にプロペラが回る映像の中にBMWのロゴを重ねるCMを作った。
この映像があまりにも印象的だったため、「BMW=プロペラ」というイメージが定着してしまったのだ。
企業としては「バイエルンの誇り」として作ったロゴだったが、マーケティングの結果、世間のイメージが独り歩きした好例とも言える。
まとめ
ロゴには、企業の価値観、歴史、マーケティング戦略、そして無意識に働きかける「心理的な設計」が詰め込まれている。ただのマークではなく、ブランドの本質を形にしたものです!
次に企業のロゴを見たとき、その裏にあるストーリーを思い出すと見え方が変わるかと思います。