※こちらの投稿は実際にあったエピソードを耽美的・ポエティックに書いたものです。
午後。
再び受話器を取る。
先ほどまでのためらいは、どこかへ消えていた。
5件目。
「いい話ですね。」
6件目。
「実は、ちょうど悩んでたんです。」
7件目。
「ぜひ、一度お会いしましょう。」
ひとつ、またひとつ。
【アポイント】という名の灯りが、メモ帳の上に並んでいく。
カチ、カチ、と時が進むたび、世界が少しずつ色づいていく。
午前中の沈黙が、まるで遠い昔のことのようだった。
電話の向こうで返ってくる「ありがとう」が、自分の胸をあたためていく。
気づけば、
メモの端には 「7件」 の文字。
その数字は、小さいのに大きかった。
ただの結果ではなく、
「昨日の自分を超えた証」だった。
夜の帰り道。
街灯の光が滲んで、白黒のフィルムが、ゆっくりとカラーに変わっていくようだった。
受話器を置いた手のひらの熱が、まだ消えない。
ああ、これが、
――ココロオドル瞬間。