Betsで執行役員を務める田口。リクルートで5年働いた彼がBetsにやってきた理由は、「ビジョンドリブンではない」という意外なところにありました。
今回のインタビューでは、Bets代表・竪山の前職同期である田口がBetsに入社し、3年目を迎えるまでのストーリーを紹介します。
株式会社Bets 執行役員 田口 誠也 (たぐち せいや)
1991年生まれ。京都大学卒業。
2015年4月(株)リクルートコミュニケーションズ入社。
人事採用・経営企画を経て2018年より進学領域(スタディサプリ進路)の商品開発組織のマネジャーを担当。
大学・専門学校の募集広報におけるCRMソリューションの開発や、非対面営業センターの構築などを実施。
2019年より(株)リクルートにて組織統合などの経営企画業務を担当。
事業構築・組織構築の初期フェーズから携わりたいという思いから、元同期の竪山が代表を務める株式会社Betsに参画。
“ちょっと変わったルート”で幅広い経験を積んだリクルート時代
-------- まずは、田口さんの経歴を教えてください。
2015年に新卒で株式会社リクルートコミュニケーションズ(現:株式会社リクルート)に入社し、人事採用グループに配属、1年間新卒採用と中途採用を行っていました。2年目からは経営企画室に移り、全社の人事評価システムを再構築して工数を削減するプロジェクトをPdMとして推進していました。
3年目からは「スタサプ進路」と呼ばれる、大学や専門学校の募集広報の支援をするサービスに携わるようになり、事業開発、ソリューション開発を行っていました。
--------毎年関わる事業が変わっていったのですね。
そうですね。おそらく“変なルート”に乗っていたんだと思うんですよ(笑)。
--------変なルート?
そもそも、「リクルートコミュニケーションズ」に新卒で採用チームに配属される人間はそれまでいなくて、僕が初めての配属でした。配属理由は「田口なら、どこでも楽しくやれそうだから」。スタートの時点から同期とはちょっと違うところにいました。
3年目が半分くらい過ぎたころ、リクルートの「新規事業提案制度」のコンペに応募して、中途採用支援のソリューションを提案したらグランプリをもらいました。そこからはまなび領域とHR領域を兼務する形で働いていました。
--------そこからはどのようなキャリアを?
4年目からはまなび事業部のマネージャーになってソリューション開発をやりつつ、HR領域の方でも新規事業開発を並行して行っていました。5年目の秋ごろに急な辞令でリクルートの経営企画に移動になり、2021年に行われたグループの統合に関わるプロジェクトや、取締役会の運営、7~8年の単位で動く中長期のプロジェクトがあり、その推進を担当していました。
丸5年をリクルートで過ごし、2020年の春に、リクルート時代の同期の竪山が代表を務めるBetsへの入社を決めました。
ビジョナリーではなかったからこそ歩めたキャリア
--------竪山さんとは、リクルート時代から親しかったのでしょうか。
リクルートには先ほど話した「新規事業提案制度」というコンペのようなものが存在しています。竪山とは別な部署だったのですが1年目から一緒にそのコンペに応募していました。朝7時から銀座1丁目のモスバーガーに集まってディスカッションを繰り返していましたし、同期の中でも“かなり仲の良い同期”だったように思います。
--------竪山さんと田口さんは、どのようなところで気が合ったのですか。
仕事に対するスタンスがかなり似ていると思います。とにかくコトに向きあう成果主義。2人ともあまりビジョナリーではないタイプなんです。
--------“ビジョナリーではない”。スタートアップの経営者や第一号社員としては珍しいような気もしますが…。
そう思いますよね(笑)。
ただビジョナリーでないことが悪いという感覚はなく、ビジョンを一緒に作っていく仲間を集めている、という感覚に近いのかもしれません。
そもそも僕がリクルートに入ったのも、「リクルートに入ってこうなりたい!」という想いがあったわけではありません。大学4年の秋まで大学院に進学する予定だったのですが留年してしまい、そこから就活をスタート。そのタイミングでたまたま選考していたのがリクルートだったからでした。
もっと遡ると、京都大学の農学部に入ったのも、センターの点数的に入りやすかったから。農学に興味があったわけではなく、どういうアプローチなら入学できるのかを考えた結果、農学部を選択しました。
僕は一貫して、「このドメインで勝負したい」「これを解決したい」というモチベーションはあまりありません。一方で、勝つまでの工程を仮説検証するプロセスや、試行錯誤を繰り返して小さかったものを大きくしていく、というのは大好きでした。
よく聞く話かもしれませんが、リクルートでは本当に「お前はどうなりたいの?」と頻繁に問われます。僕は正直に「どうなりたい、というビジョンは特にないっす」と正直に話したうえで、「売上はここまで作りたい」という目標を伝えるようにしていました。
--------なるほど。このエピソードだけでも、田口さんが成果主義であることが見て取れますね。
「新規事業提案制度」で施策を考えたときも、ビジョナリーな想いは正直何もなくて(笑)、どうやったら通るか・勝てるかばかりを考えていました。勝つ方法を考える中で、“こんなストーリーの方が通りやすいのではないか”と考え至り、ビジョナリーな要素を後から肉付けしていったりもしていましたね。
著名な経営者の方も、結果を出し組織が大きくなる過程で視座があがりビジョンが磨かれていくという話も聞くので、そのスタイルが自分たちに合っていていいのかなとも思います。
Betsにあるのは「お金になるまで」を一気通貫で担当できる環境
--------改めて、Betsに入社した経緯を教えてください。
リクルートで経営企画室にいたとき、持っていたミッションが僕にとっては“デカかった”んですよね。あれだけ大きな組織の経営企画室なので、考えていくのは7~8年先のこと。大きなイシューを洗い出し、プロジェクト化し、改善のために推進していくというのが基本の仕事のスタイルです。ガンガン仮説検証を回して伸ばすというよりは、未来を見据えてコツコツ仕事をして、それが報われるのは7~8年後。そういう仕事は、まだやりたくないなと思ったんです。
20~30代の体力があるうちに、ミニマムな組織でガンガンプロダクトを伸ばしていく経験をしたい。カオスの中で事業を作っていきたい。だったら、10人以下のスタートアップに転職するのがいいんじゃないかとなんとなく思っていました。当時から竪山はスタートアップ業界に詳しかったので相談してみると、「この会社とかええんちゃう?」といくつかの会社を提案してくれました。でも僕にとっては、事業ドメインやプロダクト以上に、「誰とやるか」もとても重要で。あるとき「竪山の会社で採用してくれへん?」と言ったらそのまま採用になり、第一号社員として一緒に働くことになりました。
--------入社してからの担当業務を教えてください。
ジョインを決めてすぐのころはSaaSのBizを担当していましたが、その事業からピポットすることになり、それからWebマーケを担当しています。
--------toBからtoCへ、経営企画からマーケティングへ…と業務内容や領域は大きく変化していると思いますが、抵抗はありませんでしたか?
ありませんでした。自分がバリューを発揮できる組織で、気の合う人と一緒に、カオスを乗り越えたい。それが転職時に目指していたことだったので、ドメインにこだわりはありませんでした。組織づくりのこと、バックヤードのこと、採用のことは僕がリクルートでやってきてバリューを発揮できることだろうと思っていたので、「なんのサービスでそのバリューを発揮するか」は、いい意味でどうでもよかったですね。
ただ、やはり大企業とスタートアップの違いを感じるシーンは多くあります。特に仮説検証のスピードはリクルートとBetsでは段違いです。
たとえば、リクルートで担当していた「大学の広報支援」は、成果が見えるのが1年後。一方Webマーケティングは施策を回したら数時間単位で成果が見えるので、その成果に対してさらに改善のための仮説を出し、運用し、ナレッジを貯める……というPDCAがものすごいスピードで回っています。このスピードはリクルートにいながら経験するのは難しかったと思うので、素直にこの環境に来られて良かったと思うポイントですね。
--------その他に、Betsだからこそ得られた経験はありますか?
「売上を立てる力」は、リクルートにいたころよりもさらに身についたんじゃないかなと思います。リクルートのように大きな会社だと、やっぱり会社の名前を伝えるだけ、言ってしまえば“看板だけ”で売れるケースもあります。一方でBetsはまだまだ知名度の低い会社ですから、必然的に、どうすれば買ってもらえるのかを考える力がついていきます。
また、Betsでは一人ひとり案件を持って頭からおしりまでを一気通貫で担当するので、受注から納品まで、本当の意味での「お金になるまで」を担当できる。大きな会社だと営業だけ、制作だけ、マーケティングだけ……と一部分を極めていくことが多いと思いますが、Betsではビジネス全体の仕組みを理解して、最後まで自分の力で売りを立てなければならないので、本当に面白いですね。
--------なるほど。受注から納品までを自分で担当するからこそ、「事業に貢献している感覚」も強く持てそうですね。Betsは、どんな人が活躍できる場所ですか?
大前提は「素直でいいやつ」。さらに言うとすれば「成果に貪欲な人」でしょうか。竪山と僕に共通する価値観として成果主義がある、とお話した通り、成果に向き合う文化は組織全体としてあります。だから、「成果のためだったら自分のやれること全部やる!」というマインドを持てる人の方がBetsにはフィットすると思いますし、成果にもつながっていくと思っています。
あとは、失敗から学ぶ力も重要視しています。Webマーケは、とにかく仮説検証をスピード感を持って繰り返すことが必要な仕事です。成果も、数値ですぐに返ってきてしまうので「あなたのアウトプット、全然ダメ!」と現実を突きつけられる機会も非常に多いです。それは裏を返せば、仮説を磨ける機会が多いということ。失敗に落ち込むのではなく、「じゃあこうやってみよう!」と新たな仮説を立ててトライしていける人は、圧倒的に成長できるはずです。
--------そのような人に対して、Betsが提供していきたいことはありますか?
一緒に伴走すること、向き合う時間は絶対に惜しみません。僕と竪山に共通する強みは、言語化力。この事業の勘所は何で、それを磨いていくために何が必要か、という“なんとなくの理解”で通り過ぎてしまいそうなところを丁寧に言語化できる力があります。相手がインターン生であっても、未経験の中途のメンバーであっても、一人ひとりが納得してコトに向かえるように、丁寧に説明していきます。
僕たちは成果に向き合う組織です。最短ルート≒コスパという意味ではなく、120%努力した人が200%成果を出せるような環境を整えている自負はありますね。成果に向き合うからこそ、いろんな山の登り方も歓迎しています。
決まりきったやり方ではなく、成果を出すための打ち手を貪欲に試してみたい。制限のない環境で結果を最大化してみたい。そんな人とは、ぜひ一度お話してみたいです。