2026年、ワンパクは創業18周年を迎えました。
そこで、日頃お世話になっている皆さまに、感謝の気持ちを伝えたいと思い、「熱ある人が集い、想いを交わす一日」をコンセプトに、渋谷・TRUNK(HOTEL) CAT STREETにてセミナーイベントを開催しました。
今回は、イベント当日の様子とトークセッションで交わされたお話をレポートします。
感謝を“学び”として還元する場へ
これまでの私たちの周年イベントは、400名ほどのお客さまをお招きし、交流を中心としたパーティー形式で開催してきましたが、今回は、日頃の感謝を皆さまの業務にも役立つ”学び”というかたちでお返ししたい。そんな想いから、トークセッションを中心とした新たなスタイルに挑戦しました。
長年にわたりワンパクとプロジェクトをご一緒している、富士フイルムホールディングスの阿部優子氏とパナソニックホールディングスの米澤康浩氏をゲストにお迎えし、これまで共に取り組んできたプロジェクトを振り返りながら、実践を通じて得た知見や、日々の業務にも活かせるヒントを共有するトークセッションを実施しました。
参加者の皆さまにとって価値ある時間となるよう、登壇者の皆さまと意見を交わしながらテーマや内容を検討し、当日まで試行錯誤しながら準備を重ねた今回のイベント。多くの方々のお力添えのおかげで、この日を迎えることができました。
イベント当日は、司会をワンパク グロース・パートナーの田中準也が担当。まずは代表の阿部淳也から、ご参加いただいた皆さまへの感謝の言葉とともに、開会のご挨拶をさせていただきました。
会場には登壇者、参加者の皆さまが集まり、和やかな雰囲気の中でイベントがスタートしました。
富士フイルム|夢物語で終わらせない「活きる」Web・ガバナンス グローバル統合
第一部のセミナーでは、富士フイルムホールディングスの阿部優子氏と、富士フイルムのコーポレートサイトのリニューアルを担当した、ワンパク取締役副社長の原冬樹、アートディレクター/デザイナーの桑原翔が登壇。
モデレーターはワンパク代表取締役社長の阿部淳也が担当しました。
“統合しない理由がない”というシンプルな結論
「写真の会社」というイメージが強い富士フイルムグループですが、実際にはイメージング事業は全体のわずか17%。2021年の日立製作所・医療系画像診断事業部門の買収や旧富士ゼロックス(現富士フイルムビジネスイノベーション)の完全子会社化を経て、事業構成は大きく変わってきました。
コーポレートサイトの歴史もまた、変化の連続だったと語る阿部優子氏。1995年の初開設から2008年のグローバルデザイン統合を経て、阿部優子氏が着任した2017年以降は、さらなる進化が始まりました。
2020年にはドメイン・インフラ・CMSを含む大規模なグローバル統合を実施。その後もブランドガイドライン発布に伴うリニューアル、富士フイルムビジネスイノベーションのCMS統合と、8年7ヶ月で3度の大規模なグローバル施策を推進してきました。現在は126のサイトを共通CMSで一元管理し、国内外から寄せられる声に耳を傾けながら、これまでに4,349件のシステム改善を積み重ねています。
世界中の要望に応えていくのは大変としながらも、「技術的な制約がなくなった今、統合しない理由がない」という阿部優子氏のこの言葉には、意思決定の背景にある、検討の積み重ねが感じられました。
対立から協働へ、信頼を築いたプロセス
とはいえ、統合への道のりは平坦ではなかったとのこと。プロジェクト初期には、海外拠点からの不信感、社内各部門からの反発と、「最初はほぼすべての部署と意見がぶつかるような状態だった」と阿部優子氏は振り返りました。
関わるすべての部門と一つひとつ丁寧に向き合い、納得したうえで同じ方向を向いて進んでもらうことが不可欠。その土台となったのが、事前の十分な検討と真摯な議論の積み重ねです。
「富士フイルムの社内メンバーだけでなく、コーポレートサイト構築に関わるすべてのパートナー企業とオープンに話し合い、起こりうるケースをあらかじめ想定し、多角的な視点から議論を尽くしておく。そうすることで、実際の打ち合わせでは想定内のやり取りとして対応でき、結果的に物事がスムーズに進んだ。」と阿部優子氏は話されました。
ワンパクのメンバーからも「要件としてただ依頼されるだけではなく、海外拠点の状況や考えを丁寧に共有してくれることで、より建設的な提案や対応方針を考える事ができる」という声が上がりました。
こうした関係性は、会社や立場の違いを越え、同じ志を持ったパートナーとして長い時間をかけて率直に意見を交わす中で築かれていったもの。互いの知見や意見を持ち寄り、「より良いものをつくる」という共通の目的に向かって対等に議論する。そんな「社を横断したフラットなチームビルド」が、プロジェクトを通じて互いに学び、成長しながら、属人化しない運営を支える土台になっているようです。
コーポレートサイトを基軸にしたブランド発信の基盤づくりがひと段落した今、これからはコンテンツマーケティングやAI活用など、より“攻め”の領域へ軸足を移していきたいと、今後の展望も共有いただきました。
パナソニックホールディングス|オウンドメディアを活用した企業コミュニケーションの進化と深化
続くセミナーに登壇していただいたのは、パナソニックホールディングス米澤康浩氏。ワンパクからは、パナソニックグループ内のプレスリリース、特集、動画ニュースなどを集約し、お届けする「Panasonic Newsroom」のリニューアル案件を担当した、代表取締役社長の阿部淳也とPMの広瀬友也が登壇。モデレーターは、司会も務めるワンパク グロース・パートナーの田中準也が担当しました。
“発信の場”をひとつにする
パナソニックニュースルームは、2021年から大幅なリニューアルへ着手。以前は企業サイトの一角にあるリリース発信の場でしたが、20年間大きく進化できていなかったことから、抜本的な改革に踏み切ったといいます。現在では年間700万PV、グローバル版でも100万PVクラスまで成長を遂げました。
2025年4月までに、これまで個別に運営されていた社内広報・グローバルニュースサイト・コーポレートサイト・グループSNSアカウントの機能・組織を統合。それぞれの媒体で行っていた情報発信を、企業として一貫したコミュニケーション戦略のもとで推進する体制へと進化。
中でも印象的だったのが、「オープン社内報」の取り組みです。従来の冊子媒体の発刊を停止し、デジタル化・社外にオープン化することで、従業員のご家族はもちろん、社外の方々もパナソニックの取り組みに触れられる仕組みへと生まれ変わりました。
“正確さ”と“伝わること”を両立させる
米澤康浩氏は、広報部門の役割そのものが変化していると語ります。メディアが多様化するなかで、デジタル領域における企業イメージの形成がこれまで以上に重要になっており、オウンドメディアを通じた正確な情報発信は、もはや企業の"責任"とも言える領域になっている。従業員とその家族を最も重要な発信先としながら、投資家やマスメディア、そして生成AIへの情報提供も見据えているというお話は、時代の変化を表すものでした。
大企業ならではの難しさとして、米澤康浩氏は「動き出すまでに時間がかかる一方、動き出すと止まらない」という組織の特性を挙げ、変化の兆しを捉えるアンテナと、適切なタイミングでの意思決定の重要性についてもお話をしてくださいました。
今後注力していきたい領域として、オウンドメディア・ソーシャルメディアも企業コミュニケーションの中核を担えるよう進化させていくこと、マスメディアや生成AIに対する正確な情報源、さらには情報資産としての役割を担うこと、そしてAIと人、双方に伝わる情報設計のバランスを取ること。この3点を挙げていただきました。
「数字だけでなく、そこで働く人たちの生き生きとした姿こそが企業の信頼を支える」という言葉に会場のあちこちで深く共感する様子が見られました。正確な情報発信と、働く人たちを後押しすること。その両立を目指す米澤氏の姿勢から、企業コミュニケーションのこれからのかたちを垣間見ることができたセッションでした。
懇親会は「熱い想いが交差する時間」に
トークセッションのあとは、登壇者、参加者の皆さまも交えた懇親会。
会場のあちこちで、ワンパクスタッフと参加者の皆さまの会話が弾んでいたのはもちろん、参加者同士でも「実は同じ業界で」「その話もっと聞きたいです」といった会話が次々と生まれていました。普段なかなか接点のない企業のみなさまがつながる、そんな瞬間がいくつも見られたひとときでした。
セッションの中で語られていた「立場を越えてフラットに意見を交わす」という空気感は、懇親会の場にもそのまま流れていたように思います。名刺や肩書きは一旦置いておいて、一人の人として想いを交わす。そんな時間になったように感じています。
さいごに
創業18周年を迎えた今年、ワンパクが目指したのは「熱ある人が集い、想いを交わす一日」をつくること。
トークセッションでは、日々のプロジェクトの裏にある苦労や工夫を、登壇者の皆さまが飾らずに話してくださり、そして懇親会では、その熱がそのまま会場に広がって、新しい出会いや会話がたくさん生まれていました。
ご参加いただいた皆さまからは、「熱量を感じる良いイベントだった」との温かいお声もいただき、スタッフ一同、大きな励みとなりました。
この一日を、皆さまと一緒につくれたことを、心から嬉しく思っています。
これからもワンパクは、熱意を持ってものづくりを続けていきますので、どうぞよろしくお願いします!