100円で始まった
《100円で始まった》
祖父の家に訪れ、縁結びの神社にお賽銭を投げ入れたタイミングで、100円の支援を頂いた。
貯金を切り崩しながら、遊びながらも転職活動が続き、貴方の長所、短所はなんですか?と聞かれる毎日が変わってしまった。
「御社は副業を認可していますか?」だとか、「確定申告はどういう手順になりますか?」
自分は、この会社に採用されるかどうか分からないのに、採用された後の事を考えるのである。
私の短所は誤解を受けやすいことで、長所は見知らぬ子供に好かれること、という風にはしているのだが、こうして目の前の面接官に「もう採用された気でいるのですか、図太い神経してるなあ」だとか内心は誤解を受けているだろうし、長所の方は見知らぬ子供の正体がまさかの幽霊しれない、という真夏の体験を大袈裟にしたもので、人事部として働いてきたであろう面接官の方々に「成年向けの小説を書いてます」とか「少女と龍が旅をするファンタジー書いてます」とか、それが12歳から10年以上続く趣味の延長線であり、他の事のスキルがないのが短所等、言える訳がなく。
口臭体臭対策はしたのに、名刺入れを忘れるだとか、「前職は仕事の合間に」ではなく、「仕事終わりの自由な時間に」だったと、
文章を書くのが日課なのに、スピーチでは全くの雑魚と化す私である。
ビジネスメールも書けるか怪しい。
確定申告が必要な年収額は~~、以前の話で、私は例え僅かでも収入が発生した場合は年末調整後の源泉徴収票をかき集め、公共料金や年金の支払い領収書原本(秋に届く手紙)をクリアファイルにまとめて申告当日、役所に訪れる《謎の神経質、他は杜撰な男》であり、今後は副業(創作活動)に理解ある会社を真剣に探さなければならなくなった。辞退や落選も結構な数の中で安定した事務職は大きな希望だったが、今生の希望になってしまった。
因みに最近落選した企業先の担当からの返事は「副業は自己責任でやって頂ければ幸いです」だった。
さて、100円で始まった私の悩みもあれば、私がこれまでに抱えていた悩みも、100円で終わる話だ。
有志の方から聞けば、この100円の支援は私の事業所得であり、現物を中古屋に売ってえるような雑所得ではない。趣味とは言え、潜在的にこの十年間の間に消費された生活費が膨大で比べるまでもないのだが、
100円の実績、ではなく、所得・・・・・・。稼ぎ。
「二次創作を止める理由になるかも知れない」
私は前職の挫折から、人気コンテンツのキャラクターを用いた二次創作を内輪受けでやっていた。
最初は喜ばれていたが、やっていくうちに泥沼の地獄。
二次創作、人気コンテンツのブランドを借りて、非商業で作品公開し、それがヒットし、一位になっても、文章となれば私の実力というよりも、キャラクターが魅力的だったということが大きかったのであり、結局、次の発展もなかった。0位だとか、殿堂入りがあれば、それを目指せたかもしれないが、
皆のお陰で、一位になれた。というのは、耳に心地よいが、私の人生は先細りするだけなのだ。
誰にも知られず朽ち果てる想像が私を追い、知り合いの言葉、二次創作の中毒症状は重い、という言葉を思い出し、葛藤の中、私は半年の内に61話分の二次創作の内容を書きあげ、もうこれでいいと完結させ、オリジナル作品を練り直し商業化に挑戦する。
二次創作で得たつながりが、二次創作を止めれば途絶えることも覚悟する前に、私の言動や愚痴に呆れた者達から去っていく環境、自業自得とは言え、どうしようもなく、生きることを止めたかった。
そういうトラブルに反省し、現状Twitterでは、購入した物の画像をアップロードしたり、ゲームのスクリーンショットをあげるだけのアカウント。
「自己評価が低く、卑屈な人に見える。ゲームのスクショをアップロードするときは生き生きしてる」(実際の発言とは少し違う)なんて言われた時は、数年前の、幼稚な自分の姿が頭をよぎったもので、「人を笑顔をにしなければいけない仕事を志望してる自分が、他人を不愉快にさせ、失望させる幼稚な発言、暴言で返してはいけない」と何度も堪え、私は絶縁を申請した。
そんな日々を送りながら、王道なジャンルでオリジナルをやり直していた私に、ようやくの支援。
努力が実った、という話ではなく。
もしもこの事業を続けていくのならば、今までやっていた、権利上危ない作品を非公開(削除)にしなければ未来は無いと予見した私は2018年8月25日、該当する作品の公開を停止させるのだった。
公開を続けられる理由は、確かにあった。話題の種になるだとか、ご縁だとか、ポジティブな事など考えに考え、2015年の春から手を出した二次創作をここまで維持しても、
喜びや幸せを、悲しみを分かち合うことすらも出来ない、何の出会いやきっかけにも繋がらなかった趣味は、今の不運な中では、人を遠ざける呪いでしかない。
例え自分の手で生み出したものでも、そんなことは、望んでないはずなのだと。
「さようなら。私が積み上げた青春、今、天に昇りなさい。全ての凶縁を絶つ。醜い私の影。親愛なる人達。私の人生はすべての魂を映し出す鏡。真実の名によって、安らかに目を閉じよ。」
こうして私は、有志の100円の支援から、非商業の同人作家から、実績の少ない新人セミアマチュア作家とランクアップしたのである。