WBSでは見えにくい「開発リーダーの自分待ち」が起きるとき
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ゲーム開発でリードプログラマーになった直後は、仕事の割り振りで迷うことがあります(組込み系やWeb系開発でも同様ですね)。自分がやった方が確実な部分と、他の人に任せても進められる部分を分けて考えるのは、ごく自然なことです。
私も最初はその考え方で進めていました。自分の得意分野は自分で持つ。ほかはメンバーの得意分野に合わせて配る。スケジュール上も特に無理はなく、当時は妥当な割り振りだと思っていました。
ただ、後から振り返ると、そこで見えていなかったものがありました。
それは工数ではなく、仕事の詰まり方です。
うまく配ったつもりでも偏りは残る
自分が得意で、自分がやるのが確実な仕事は、たいてい大事な仕事です。
難しくて、影響範囲が広くて、判断も要る。そういう部分ほど、経験のある人に集まりやすくなります。
この配り方は、平常時にはそれほど困りません。むしろ立ち上がりでは安定して見えることも多いです。見積もりもしやすいですし、品質面でも安心感があります。
ただ、開発はいつも平常時のまま進むとは限りません。重要な機能に不具合が重なったり、想定していなかった修正が同時に出たりすると、一気に流れが変わります。
WBSでは見えない止まり方がある
当時の現場でも、WBSの上では特に問題はありませんでした。
担当も決まっていて、日程も引けていて、進捗表だけ見れば大きな破綻はなさそうに見えていました。
けれど実際には、重要な機能の改修が同時に走り始めたことで、作業が私のところに集まりました。実装だけではありません。確認、判断、レビューも含めて、気づけばいろいろなものが私待ちになっていました。
自分の作業が終わらないと次に進めない。
レビューが返らないと後ろが動けない。
細かい確認でも、そこを通さないと不安で進めにくい。そういう状態が少しずつ増えていきました。
結果として、個別のタスクは進んでいても、チーム全体の進みは鈍くなります。怠けている人がいるわけではなく、流れの細い場所が一か所にできてしまうのです。
一人が抱えるほど、全体は止まりやすくなる
厄介なのは、止まりやすくなるのが実装だけではないことです。重要な機能を一人で持つと、その周辺にある判断や確認まで集まりやすくなります。
たとえば、仕様の確認、関連箇所への影響の見極め、他メンバーのレビュー、結合前の最終判断です。ひとつひとつは短時間でも、数が重なるとチーム全体の流れを止めます。
しかも、この詰まり方は進捗表だけでは見えにくいです。WBSは担当や日程を置くには便利ですが、「誰の返答が遅れると何人の手が止まるか」までは出にくいからです。
そのため、後から見ると見積もりミスのように見えても、実際には仕事の集まり方が原因になっていることがあります。工数が足りなかったというより、重要なものが一人に寄りすぎていた、ということです。
先に確認しておきたいのは「誰待ち」になる場所
この経験以降、私が割り振りを見るときに気にするようになったのは、作業量そのものだけではありません。まず見るのは、どこが「誰待ち」になりそうかです。
リードが重要な部分を持つこと自体は必要です。ただ、重要な実装、仕様判断、レビュー、最終確認まで同じ人に集めると、何か起きたときに一気に詰まりやすくなります。
なので、スケジュールを組むときは、最短で作れそうかどうかだけでは足りません。途中で不具合や手戻りが出ても、全体が止まりにくいかどうかまで見ておいた方がいいです。
止まりそうな箇所はあえて分ける。
レビュー役を散らす。
重要な機能の前提知識を一人だけの持ち物にしない。
そういう工夫を入れておくと、想定外が起きたときの詰まり方がだいぶ変わります。
まとめ:リードの仕事は自分が速く作ることだけではない
実装力が高い人ほど、大事なところは自分で持った方が安全に見えます。私もそう考えていましたし、その判断自体が間違いだったとは思っていません。
ただ、チームで開発する以上、自分が速いことと、全体が止まらず進むことは同じではありません。自分が確実に終わらせられることと、周囲が待たずに進めることも、少し違います。
振り返ると、リードに必要なのは「自分が一番速く開発すること」よりも、チーム全体が前に進める形を作ることだったのだと思います。最短距離に見える割り振りが、あとで詰まりを生むことはあります。
開発が止まるとき、それは誰か一人の能力や努力だけで説明できるものではありません。仕事の持ち方や、重要な判断の集まり方を見直すだけで、進めやすくなることもあります。
初めてメインを持ったときにそのことを痛感しました。今でも、仕事を割り振るときは、速さだけでなく、止まりにくさも一緒に見るようにしています。
おわりに
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