今だから書ける話があります。
当時の現場では当たり前だったことも、今の感覚で見ると少し違って見えるかもしれません。細かい話はさておき、もう問題になるような話でもないので、振り返りとして残しておこうと思います。
目次
- 「待ち」が日常だった開発環境
- 空き時間に手を動かしていたこと
- 制約が少ない「道楽」から得たもの
- 若手の方へ伝えたいこと
- おわりに
「待ち」が日常だった開発環境
昔のゲーム開発では、「Makefile」や「ROM焼き」が作業工程の一部でした。ハードウェアの性能は今ほど高くなく、ビルドにはそれなりの時間がかかります。大げさに言えば、コードを書いては待ち、修正してはまた待つ。この繰り返しの中で、手が空く時間がどうしても発生しました。
ただ、その時間を何もせずに過ごすのは少し気を遣います。しかも、上司の前で暇そうにしていると、たいてい面白くない雑用が振られます。そのため、“寸暇を惜しんで開発している風”の演出が必要でした。
空き時間に手を動かしていたこと
そこで、空いた時間にはローカル環境で小さな試作を作っていました。画面を見られても「検証用です」と説明できる程度のものです。
最初は、他のタイトルで使われていたエフェクトや効果音を参考にするくらいでした。ただ、触っているうちに発想が広がっていきます。
格闘ゲームのキャラクターをシューティングゲームのボスとして動かしてみたり、逆にシューティングの敵を格闘ゲーム側に登場させてみたり。他社タイトルのゲームシステムを目コピーしながら、自社のキャラクターを乗せてみたこともありました。
誰かに見せる前提ではなかったので、完成度や細かい不具合は気にしていません。思いついたことを、そのまま形にできる感覚がありました。
制約が少ない「道楽」から得たもの
振り返ってみると、あの時間は不思議と印象に残っています。納期もレビューも意識せず、開発者としての、また、プレイヤーとしての直感だけを頼りに作っていたからだと思います。
「この動きは爽快感があるか」
「この操作は直感的か」
そうしたゲーム感にフォーカス時間する時間を取れたのは、ゲームプログラマーとして大変貴重でした。
若手の方へ伝えたいこと
今の開発環境は、当時とは比べものにならないほど整っています。ビルドは速く、ツールも充実し、無駄な待ち時間はほとんどありません。その一方で、常に成果や効率が求められ、余裕を持ちにくい空気もあります。
ただ、もし余裕があるなら、目的を決めすぎず道楽でゲームを作る時間を、どこかで持ってみてください。経験上、あの頃に空き時間で触っていた試作は、その後の開発で確実に効いてきました。操作感への理解や実装の引き出しは、そうした積み重ねから生まれてきました。
おわりに
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