システム開発の仕事は、コードを書くことだけではありません。
現場の課題を理解し、チームを動かし、複雑な仕組みを一つずつ形にしていく。
そして、その経験を積み重ねていくと、やがて「そもそも、何を作るべきなのか?」という問いに向き合うようになります。
私自身、その転換点になったプロジェクトがありました。
https://aontechblog.blogspot.com/2026/09/blog-post_23.html
ロンドンのシステムを日本へ
当時、私はロンドンの会社が開発した金融システムを、日本へ導入するプロジェクトに参加していました。
私の役割はアプリケーション管理。
ロンドン側のシステム担当者と連携しながら、日本側で必要となる調整や確認を行い、プロジェクトを支えていました。
アプリケーションそのものは、ロンドン側の担当者が中心となって進めていきます。
私はテストの最終段階までプロジェクトに付き合い、実際にシステムを使うオペレーション担当者へのサポートも行いました。
システムが完成に近づき、3月を迎えた頃。
「そろそろ、このプロジェクトも終わるな」
そんなことを考えていました。
次の仕事は、まさかの「IT企画」
そんなタイミングで声がかかりました。
「次のプロジェクトだよ」
当然、次もシステム開発だと思いました。
ところが、
「次は顧客先への出向」
さらに、
「IT企画部門に行ってもらう」
という話でした。
「IT企画?」
それまで私は、アプリケーション設計やシステム導入、プロジェクト計画には関わってきました。
でも、会社全体のITをどうしていくのかを考える仕事は初めて。
最初は未知の領域でした。
でも、考えてみると、とても面白い。
「どう作るか」から「何を作るか」へ
それまでの仕事では、
「このシステムをどう作るか」
「どう導入するか」
「どう運用するか」
を考えていました。
IT企画では、その一段上を考えます。
「会社には、どんなシステムが必要なのか?」
「何を残して、何を変えるのか?」
「どこにIT投資をするのか?」
「システム同士をどうつなぐのか?」
プロジェクトのプランニングなら、ある程度経験していました。
基盤側にはまだまだ勉強が必要でした。
それでも、全体計画を作り、関係者を整理し、プロジェクトを前に進めてきた経験はある。
それが企業全体のIT計画になる。
「これは、かなり面白い」
そう感じました。
一人しか選ばれない挑戦
しかも、会社から選ばれるのは一人。
その一人として、自分が選ばれました。
国の金融システムの一端を担うような会社に、今度は「システムを作る側」ではなく、「ITを企画する側」として関わる。
もちろん、不安もありました。
金融の世界には、数学や金融理論を専門的に学んできた人たちも多い。
「これまでの経験は、どこまで通用するんだろう?」
「もしかしたら、全く歯が立たないかもしれない」
そんな気持ちもありました。
でも、それ以上にワクワクしていました。
エンジニアの経験は、次のステージにつながる
ITの仕事には、さまざまな役割があります。
開発する人。
設計する人。
プロジェクトを動かす人。
運用する人。
そして、企業全体のITを考える人。
どれか一つだけが正解ではありません。
大切なのは、それぞれの経験を次のステージにつなげていくこと。
システムを作った経験があるから、現場の苦労が分かる。
プロジェクトを経験したから、計画を現実に落とし込める。
そして、その経験が企業全体のITを考える力につながっていく。
新しい仕事は、新しい自分を作る
キャリアの転換点では、「自分にできるか?」と考えてしまいます。
でも、最初から全部できる必要はありません。
これまで身につけてきた経験を持って、新しい場所に飛び込む。
そこで新しい知識を学び、また次の仕事につなげていく。
私にとって、金融システムの導入からIT企画への移行は、まさにそんな経験でした。
「システムを作る」から「会社全体を考える」へ。
一つのプロジェクトが終わったことは、キャリアの終わりではありませんでした。
むしろ、それまでの経験を次のステージで活かす、新しいスタートだったのです。