レシートをなくしたかったのに、最後は紙の価値を再発見した話 2/2
「購入情報を一括管理するサービス」
という発想は面白かったのですが、
調べれば調べるほど実現は簡単ではありませんでした。
決済情報。
POS情報。
会員情報。
ECサイト。
保証情報。
これらは別々のシステムで管理されています。
技術的な問題だけでなく、権利や運用の問題もあります。
今すぐ実現できるサービスではありません。
ただ、その過程で面白い発見がありました。
もし技術的な制約がなくなったら。
もし購入情報が一括管理できたら。
そんな仮定で制作したのが
「Re:ceipt」です。
Receipt(レシート)を再定義する。
そんな意味を込めました。
アカウントを作り、
利用中のサービスと連携するだけで、
人生の購入履歴が整理される世界線。
Apple製品のように、
存在を意識しないまま使える体験を目指してLPを設計しました。
UIもコピーも、
サービスを理解するまでの認知負荷を減らすことを意識しています。
ちなみにビジュアル制作ではAIも活用しました。
ただし未だに手の生成は少し苦手らしく、
何枚かホラー作品が誕生しています。
しかし、調査を続けるうちに、
もう一つ面白いことに気付きました。
私はレシートを敵だと思っていました。
なくなるべきものだと思っていました。
ところが、改めて読んでみると、
紙のレシートには驚くほど多くの情報が詰まっています。
購入商品。
価格。
日時。
店舗。
担当者。
クーポン。
問い合わせ先。
場合によっては顧客情報。
小さな紙の中に、
取引の履歴が凝縮されています。
そして紙には紙の特徴があります。
電源がいらない。
アプリがいらない。
会員登録もいらない。
誰でも読める。
数年後でも確認できる。
非常に原始的ですが、
非常に強い。
デジタルサービスを考えていたはずなのに、
最後は紙というメディアの完成度を再認識することになりました。
私が5年ほど利用しているローカルスーパーのレシートには、
会員名が印字されています。
先日見たら、
「MAMIKAWA」
になっていました。
惜しい。
そして5年気がつかなかった私。
でも、それも含めて少し面白い。
レシートは今後、
紙である必要を失っていくかもしれません。
そこに記載されている情報の価値はむしろ高まっていく時代に、
何らかの形で「解決」をもたらすサービスは現れてくるでしょう。
今回の検討で得た結論は、
「レシートをなくしたい」
ではありませんでした。
「購入情報をどう扱うかは、まだ誰も綺麗に解いていない」
です。
紙のレシートは、
その未解決問題を支えている暫定解。生活の中でかろうじて残った合理性のバランス。
レシートを撲滅したいと思って掘り始めたら、
最後にたどり着いたのは、
「紙、思ったより神だったな」
というオチでした。