暮らしの中の感情を起点に。 私が「表現の設計」に辿り着くまで
Photo by Jordan Stewart on Unsplash
初めから「ものづくり」や「表現」を仕事にしたいと、
明確に思っていたわけではありませんでした。
幼少期の私は、初めての人や場所では恥ずかしさが先に立つ、内向的な子どもでした。
小学生の夏休みの自由研究にも、毎年頭を悩ませていた記憶があります。しかし、内側にはすでに「想いを形にしたい」という根っこは存在していたのかもしれません。
【自分を律して、外に出す力を養った20代】
20代前半は、雑貨店やアパレル販売職に就き、 「売り場」「接客」「空間づくり」の基礎を学びました。 26歳でアクセサリー&雑貨店の店長を経験します。
大きな実績があったわけではありませんが、 スタッフ一人ひとりが自立していたからこそ、店は円滑に回っていました。
その中での私の役割は、
「店長がいるから、ちゃんとしよう」と思われる存在でいること。
規律や運営を優先し、感情を抑えてフラットでいることに徹していました。
声出し、引き継ぎ、判断、そして
「自分はどうしたいか」を言葉にして周囲に伝えること。
空気を読むことを優先してきた私にとって、
自分と向き合い続けるこの時間は簡単なものではありませんでした。
今振り返ると、この期間が “自分で考え、自分の軸で判断する力”を育ててくれた"と感じています。
【「もったいない」から始まった、予期せぬ一歩】
31歳のとき、個人ブランドとしての活動をスタートしました。
きっかけは、職場の先輩のイベントのために
一度きりのつもりで制作した約20点のアクセサリー。
「もったいないよ」「続けたらいいのに」
その言葉に背中を押され、
2013年12月27日、個人ブランドを立ち上げました。
活動の中心は対面販売。
委託も含め、4年間で県内外36回のイベントに出展しました。
そこで突きつけられたのは、
「良いものをつくるだけでは、届かない」という現実です。
売れるかどうかは、商品だけで決まらない。
価格、空間、伝え方、立ち方、
そして「一瞬で心が動くかどうか」。
長テーブル一台の小さな売り場で、足を止めるかどうかはほんの一瞬。
「なんだか気になる」「かわいい」
その感情の動きが、すべてでした。
什器の高さや色、商品の並べ方、
販売時の服装や佇まいまで含めて、
すべてを“表現”として捉え、試行錯誤を重ねました。
その結果、県外出展や百貨店での委託販売など、
目標としていた場所にも辿り着くことができました。
【枯渇の先に見つけた、今の視点】
全力で駆け抜けた4年間の末、
心身のエネルギーが枯渇し、ブランドを一度休止します。
しかし、その空白の時間があったからこそ気がついたことがあります。
「暮らしの土台がすべての始まり」だということ。
情熱も行動も、安定した暮らしがあってこそ続いていく。
2023年以降の再始動を経て、今の私は
「暮らしの中の感情を起点に、表現を設計する」
という視点を大切にしています。
単なるものづくりではなく、誰かの日常に静かに溶け込み、
ふとした瞬間に感情を揺らす表現を。
過去のすべての経験が、今ひとつのの線として繋がっています。