売ることより先に、相手の朝を想像する
はじめまして。
某Webマーケティング支援会社で、カスタマーサクセスとアカウントマネジメントを担当している佐藤 涼です。
仕事を説明するとき、いつも少し迷います。
- 広告の成果を見る仕事。
- お客様の課題を聞く仕事。
- 数字を見て、改善策を考える仕事。
たしかに、どれも間違っていません。
でも、ほんとうはもう少しだけ違う気がしています。
僕が向き合っているのは、数字の向こうにいる人です。
画面に並ぶ数字の奥には、誰かの朝があります。
昨日うまくいかなかった会議のこと。
上司に説明しなければいけない資料のこと。
伸びない売上に、少しだけ重くなった帰り道のこと。
広告の管理画面には、そんなことは書かれていません。
でも、きっとある。
そう思うようになったのは、営業をしていた頃のことです。
当時の僕は、売上を追うことに必死でした。
商談数、受注率、月末の数字。
毎日、何かを達成しているようで、何かを置き去りにしているような気持ちがありました。
受注をいただいた日は、もちろんうれしい。
自分の提案が届いた気がして、少し誇らしかった。
でも、その数週間後にお客様から届いた、短いメールが忘れられません。
「導入したあと、どう進めればいいか少し不安です」
その一文を読んだとき、はじめて気づきました。
僕にとってのゴールは、お客様にとってのスタートだったのだと。
それから、仕事の見え方が少しずつ変わりました。
売ることは、終わらせることではない。
むしろ、ここから一緒に悩むという約束に近い。
人は、商品を買いたいのではなく、
少しでも良い明日を迎えたくて、何かを選んでいるのだと思います。
採用なら、良い人に出会いたい。
広告なら、必要な人に届いてほしい。
サービスなら、困っている時間を減らしたい。
その願いは、どれもとても切実です。
だから、軽く扱ってはいけないと思っています。
カスタマーサクセスの仕事をするようになってから、数字を見る時間は増えました。
CPA。CVR。ROAS。
クリック率。表示回数。問い合わせ数。
数字は正直です。
でも、数字だけではやさしくありません。
数字は、何が起きたかを教えてくれます。
でも、なぜそうなったのかまでは、こちらから聞きにいかないと教えてくれません。
だから僕は、数字を見る前に、お客様の言葉を思い出すようにしています。
どんな事業を育てたいのか。
どんなお客様に届けたいのか。
何に困っていて、何を怖がっていて、何をあきらめたくないのか。
その人の言葉をちゃんと思い出せたとき、
ただの改善提案が、少しだけ体温を持ちます。
仕事で大切にしていることは、派手なことではありません。
返信を早くすること。
わからないことを、そのままにしないこと。
不安そうな沈黙に気づくこと。
うまくいった理由も、うまくいかなかった理由も、一緒に見にいくこと。
正直、小さなことばかりです。
でも、信頼はたぶん、
大きな言葉ではなく、小さな約束の積み重ねでできている。
「任せてよかったです」
そう言ってもらえると、うれしいです。
けれど本当は、その言葉の手前にある時間のほうを大事にしたい。
うまくいかない時期も、焦る時期も、迷う時期も、
それでも隣で考え続けること。
晴れの日だけ一緒にいるのではなく、
雨の日に傘の場所を覚えているような人でいたいです。
仕事は、誰かの人生そのものではないかもしれません。
でも、誰かの一日には、確かに触れています。
その人が少し安心して帰れるように。
明日の会議で、少し胸を張れるように。
自分たちのサービスを選んでよかったと、静かに思えるように。
僕はそのために、数字を見ています。
そのために、提案をしています。
そのために、今日もお客様の話を聞いています。
売ることより先に、相手の朝を想像する。
それが今の僕の、仕事のはじまりです。