IT/DX プロジェクトが進まないときに、まず見直すべきもの
IT/DX プロジェクトが前に進まない理由は、技術よりも "実務の組み立て方" にあることが多いと感じています。間違いのなさそうな製品、経験豊富なエンジニア、綿密に作られた WBS や会議体──...
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日本企業の情シスに配属され、IT 用語以外の英語に触れる機会もないまま過ごしてきたところへ、海外展開に伴うグローバル IT プロジェクトが始まり、突然「本社側として海外メンバーや海外ベンダーとやり取りする」立場になってしまう——。
最近、こうした状況に直面する方がとても増えています。
最初に気になるのは、やはり言語 (英語) の問題でしょう。
ただ、近年は機械翻訳の品質も上がり、メールやチャットといった書き言葉のコミュニケーションであれば、よほど複雑な内容でない限り大きな支障はなくなりました。
では、グローバル プロジェクトの実務で本当に重要になるのは何でしょうか。
英語の話者は世界に 20 億人以上いますが、母語話者はその 1/5 にも届きません。
日本ではつい、アメリカやイギリスの「ネイティブ英語」を基準に考えてしまいがちですが、実務で最も役に立つのは 「ネイティブ偏重ではない、最大公約数的に通じるインターナショナル英語」 です。
そうした “シンプルで誤解の少ない英語” は、機械翻訳とも相性が良く、誰に対しても一定の精度で伝わります。
そしてもう一つ大切なのが論理の筋道です。
日本のビジネス文脈で自然に使われる説明方法は、英語圏では「意図が読み取りにくい」ことがあります。
そのため、
といったブレにくい構造で考える習慣を、日本語の段階から持っておくことが非常に有効です。
これは英語力というより “相手にストレスなく伝える思考整序スキル” で、外国人相手でも日本人相手でも共通です。
言語以上に戸惑うのが、仕事の進め方や評価軸の違いです。
日本に本社がある企業であれば、海外メンバーはあなたに多少合わせてくれるかもしれません。
しかし、それはあくまで 「大目に見てくれている」 に過ぎません。
これらは国や文化により大きく異なり、本社側であっても必ずしも “日本流” が通用するとは限りません。
とはいえ、必要以上に身構える必要もありません。
グローバル プロジェクトであっても、ステークホルダー全員が共通して持っている価値観があります。
「やるべきことを、与えられたリソース内で、合意した期限に収めたい」
これを実現するために求められる実務スキル——
つまり、
といったプロジェクト実務能力は、国が違っても変わりません。
むしろ、多様な文化・前提が混ざるグローバル環境では、その能力がより際立ちます。
グローバル プロジェクト対応と聞くと、どうしても注目が英語力に偏りがちです。
もちろん英語は必要ですが、「英語ができればプロジェクトが進むか」というと、それはまったく別の話です。
英語力 × 実務力
どちらも揃って初めて、安定して進むグローバルプロジェクト体制になる。
この視点を持ってリソース計画を見直すことが、
海外展開やグローバル IT 推進における “骨太な遂行体制” の第一歩になると思います。
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