会議を前に進めるための "大原則" について考える
「会議は踊る、されど進まず」という言葉は、19 世紀のウィーン会議の進行の遅さを皮肉ったフレーズです。現代の日本企業においても、「会議をどう効果的に進めるか」はいまだに大きな課題で、むしろ "踊...
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IT/DX プロジェクトが前に進まない理由は、技術よりも “実務の組み立て方” にあることが多いと感じています。
間違いのなさそうな製品、経験豊富なエンジニア、綿密に作られた WBS や会議体──パズルのピースは揃っていても、それを組み立てる “手” が機能しないと、プロジェクトは思うように進みません。
「期限に間に合わない」「完成形のイメージがずれる」「必要な情報が揃っていない」。
現場ではこうした状況が頻繁に起こります。
特に日本企業の IT/DX プロジェクトは、技術的な課題には粘り強く対処できますが、
全体最適の観点で “進捗をつくる動き” を設計し、阻害要因を事前に取り除く
といった部分が弱いケースをよく見ます。
これは、日本企業に根強い「IT は情シスやエンジニアリング部門の仕事」という見方も影響しています。
しかし実際には、技術力だけでも、教科書通りのプロジェクト管理だけでも十分ではありません。
プロジェクトを前へ進める決定的な要素は、私が現場で感じている限り
“プロジェクト実務能力” のようなものです。
もう少しかみ砕くと、
といった「勘所」を状況に応じて嗅ぎ取り、
必要なものを自走して形にしていく領域横断的な実務スキルです。
プロジェクトリーダー自身がこの勘所を把握している場合も多いのですが、
リーダーは往々にして多忙で、大小さまざまな意思決定を常に抱えているため、
メンバーへ丁寧に指示を出す余裕がないのが現実です。
このため、論点整理、業務設計、関係者調整といった“目に見えない実務”が滞り、
結果としてプロジェクト全体の速度が落ちてしまいます。
進捗の「ツボ」を押さえ、必要なアウトプットを主体的に作り、
リーダーが安心して判断できる状態を整える実務支援者の存在は、
プロジェクトの成否に大きく影響します。
しかし、こうした役割は SOW やジョブ ディスクリプションでは表現しにくく、
受ける側も提供しづらい領域であるため、
供給・需要ともにマッチングが成熟していないのが現状です。
プロジェクトが停滞しているとき、
技術やタスク以前に “プロジェクト実務能力” という観点でチームの現在地を見ると、
改善の糸口が見つかることは少なくありません。
進捗を支えるのは、製品でも管理手法でもなく、
「必要な動きを作るための実務力」そのものです。
ここを押さえられる体制づくりが、動く IT/DX プロジェクトへの第一歩になると感じています。
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