AIを導入する前より、導入した後の「判断と運用」を設計したい
いま、Fragment Practice 合同会社で、AI活用・意思決定・業務運用設計が交差するテーマに対して、上流整理とアドバイザリーを行っています。
関心があるのは、AIを「入れる」ことそのものよりも、AIを使い始めたあとに、仕事の判断・責任・確認・記録がどう回るか を設計することです。
AIの導入そのものは、以前よりずっと始めやすくなりました。
一方で、実務に入っていくほど、別の難しさが出てきます。
たとえば、
- どこまでをAIに任せるのか
- どこからを人が判断するのか
- 何を残し、何を確認するのか
- 誰が責任を持ち、どこで見直すのか
- ルールや方針を、どう現場で回る形に落とすのか
といった論点です。
こうした問題は、技術だけで解けるものでも、制度だけで解けるものでもありません。
経営判断、業務運用、レビュー、記録、説明責任まで含めて、仕事の構造として設計する必要があります。
Fragment Practice では、そうしたテーマに対して、AI利用ルール、判断基準、責任分界、レビュー設計、業務フロー、記録構造などを整理し、実務で無理なく回る形へ落とし込む支援を行っています。
これまでやってきたこと
振り返ると、私は一貫して「技術・統制・運用のあいだをつなぐ仕事」をしてきました。
キャリアの最初は、SIerでシステム開発とセキュリティ実務の両方を経験しました。
脆弱性診断、CSIRT、セキュア開発標準、教育設計に携わる一方で、EC開発の現場にも入り、実装や運用の制約も見てきました。
その後、KPMGでは、IT-BCP、インシデント対応、委託先セキュリティ、教育、ロードマップ策定などを通じて、「制度やリスク要求を、どうすれば現場で回る形にできるか」を考える仕事をしていました。
さらにNRIセキュア出向時には、大手金融機関・保険グループ向けに、規制や業界基準を踏まえた継続アドバイザリー、脆弱性管理、社内生成AI利用の評価、Defender活用整理、教育、訓練準備などに携わりました。
この時期に強くなったのは、規制や技術論点をそのまま渡すのではなく、組織の中で判断・運用できる形に翻訳する力です。
一貫してやってきたのは、「正しいこと」を並べることではなく、実際に人と組織が回せる構造に落とすこと だったと思います。
いまの会社の位置づけ
Fragment Practice は、受託開発会社でも、汎用的なAI導入支援会社でもありません。
位置づけとしては、AI、人の判断、レビュー、責任、セキュリティ、業務運用が重なるところを整理するための独立系スタジオ / アドバイザリー に近いです。
対象にしているのは、何も始まっていないテーマというより、すでに動いているが、まだ構造が弱いテーマです。
たとえば、
- AI活用を進めたいが、判断基準や責任分界がまだ弱い
- ルールはあるが、現場で使われる形になっていない
- 会議では進んでいるが、判断理由や宿題が記録として残らない
- 情シス、セキュリティ、業務、企画の前提が揃っていない
- 推進責任者に翻訳・優先順位付け・説明の負荷が集中している
といった場面です。
そうした状況に対して、構造整理、判断支援、設計レビュー、記録設計、実務プロトコル設計のような形で関わっています。
いま並行して考えていること
実務支援だけでなく、自社側でも、思考や業務運用を支える仕組みを試しています。
その一つが、テキストファーストな思考支援・情報構造の取り組みです。
ノート、会議、ログ、YAML、Markdown のような軽量な単位を起点に、あとから再利用・再構成しやすい形で仕事を残せないかを継続して考えています。
AIの活用は、その場で速く答えを出すことだけでなく、あとから判断や文脈を引き継げること に大きな価値があると感じています。
そのため、支援でもプロダクト検証でも、記録・再利用・引き継ぎ可能性をかなり重視しています。
今後やっていきたいこと
今後は、いま行っているようなアドバイザリーや上流支援を続けながら、もう少し広い形で「人とAIのあいだの仕事の設計」を開いていきたいと思っています。
具体的には、AI活用後の判断基準・責任分界・レビュー設計に加えて、会議・1on1・メモ・ログを含む業務フローの再設計や、個人や小さなチームでも使える軽量な運用プロトコル、再利用可能なキットやテンプレートの形にも広げていきたいです。
「新しいツールを入れる」ことそのものよりも、
- どういう条件なら安心して任せられるか
- どこで人が判断するべきか
- どう残せば次につながるか
を整えることの方が、これからの仕事では重要になると思っています。
もし近い問題意識を持っている方がいれば、情報交換でも、実験的な相談でも、気軽に声をかけてもらえるとうれしいです。