教科書通りにいかないインナーブランディング
仕事をしていて、よく思うのです。教科書どおりに人は動いてくれない。固定化された方法論は存在しない、と。理念の言葉を整理しても、社員の行動が変わらなければ組織は動かない。それは正しい手順を踏んでいないからではなく、“人の心が動く仕組み”を考えていないからだと気づきました。
インナーブランディングとは、理念やパーパスをきれいにまとめることではなく、社員一人ひとりが「自分の言葉」で語り、行動できるようにすること。競争戦略を日常の行動に変えるには、マニュアルよりも対話が、共感よりも感情移入が必要です。その瞬間に、初めてイノベーションが生まれる。
“教科書通りにはいかない”と感じたあの日から、私は企業の内側にある人の力を信じて、その変化を設計する仕事を続けています。ワークショップをしたり、経営者にアドバイスを差し上げたり。思うように進まない日もあるし、クライアントの社員に邪険に扱われたこともあるけれど、彼らの言葉に小さな変化が生まれるたびに、「この仕事を続けてよかった」と心から思います。