【事例公開】AWSクラウドネイティブ開発で得た3つの教訓
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【事例公開】AWSクラウドネイティブ開発で得た3つの教訓
――オリエンタルヒルズが実現する「変化に強い事業基盤」とは
公開日:2025年11月
執筆:晴山 佳須夫(オリエンタルヒルズ株式会社 代表取締役社長)
1. クラウドは「コスト削減」ではなく「事業を強くする戦略」
近年、多くの企業がAWSを活用したクラウド移行を進めています。
しかし、その目的が「インフラの最適化」だけでは、クラウドの真価を活かしきれません。
オリエンタルヒルズ株式会社では、AWSを活用したクラウドネイティブ開発を通じて、
お客様のビジネス成長と技術的持続性を両立するアーキテクチャ設計を行っています。
この記事では、私たちが実際のプロジェクトを通じて得た3つの教訓と、
その背後にある「経営視点のクラウド戦略」についてご紹介します。
2. 教訓①:スモールスタート × 適正なAWSサービス選定
クラウド導入初期に最も多い失敗は、スケールを想定しすぎる設計です。
私たちはまず、事業フェーズに合わせたスモールスタート構成を設計します。
🔧 中規模Webサービスの構成例
- フロントエンド:Amazon CloudFront + S3
- バックエンド:ECS(Fargate) + ALB
- データベース:Aurora Serverless v2
- 認証:Amazon Cognito
- 監視:CloudWatch + AWS X-Ray
✅ ポイント:最初からすべてを作り込まず、**“成長に合わせて伸ばせる構成”**を設計すること。
これが、変化に強いクラウド運用の第一歩です。
3. 教訓②:IaCとCI/CDで「開発を経営資産に」
AWSの最大の価値は、継続的な進化を前提にした自動化基盤です。
オリエンタルヒルズでは、Terraform/AWS CDKによるIaC化と
GitHub Actions × Amazon ECS(Fargate)のCI/CDパイプラインを全案件で標準化しています。
🧩 自動化の効果
- 手動設定ミスを排除 → 安定稼働率向上
- 環境差異の解消 → デプロイの再現性向上
- 人に依存しない構築体制 → 継続可能な開発文化の形成
💡 ポイント:
自動化は「効率化」のためではなく、**“人依存リスクをなくす経営施策”**です。
4. 教訓③:AWS選定の鍵は「好み」ではなく「運用ストーリー」
AWSでは、選択肢の多さ=柔軟性の高さです。
しかし大切なのは、「どのサービスが最適か」ではなく、
**“誰がどのように運用していくか”**というストーリーを描くことです。
比較対象主な特徴適合ケース
ECS Fargate
運用負荷が低く、導入しやすい
少人数・中小規模プロジェクト
EKS (Kubernetes)
柔軟な拡張性・マルチクラウド対応
SREチームを持つ大規模組織
Aurora Serverless
RDB互換+自動スケール
既存業務システムのモダナイズ
DynamoDB
高スループット・完全マネージド
大量トラフィック・IoT系アプリ
🔍 選定基準の本質:
「3年後も運用し続けられるか?」
それがクラウド設計の最も現実的な判断軸です。
5. 【導入事例】AWSクラウド移行・構築の成功ケース
🏪 事例①:大手小売業向け EC基盤再構築
課題: セール時期のアクセス集中でシステムダウン。開発リードタイムも長期化。
導入: ECS(Fargate) + Aurora Serverless構成、CI/CD導入、CloudFront最適化。
効果:
- 最大負荷時も安定稼働
- 運用コスト 35%削減
- 機能リリース頻度 4倍向上
🤖 事例②:AIカスタマーサポート基盤構築
課題: 問い合わせ対応の属人化・品質のばらつき。
導入: Amazon SageMaker + Lambda + DynamoDB による自動応答AI。
効果:
- 一次解決率 70%→92%
- 平均対応時間 45%短縮
- 顧客満足度スコア(CSAT)大幅向上
☁️ 事例③:自社SaaSプラットフォーム開発
課題: 限られた人員でスピードと信頼性を両立したい。
導入: Amplify + API Gateway + Lambda + DynamoDB によるフルサーバーレス構成。
効果:
- MVP開発期間 40%短縮
- 運用コスト 70%削減
- 稼働率 99.98%維持
6. オリエンタルヒルズの強み
技術で終わらせない「経営視点のクラウド設計」
項目強み
総合対応力
設計・構築・運用・AI連携まで一気通貫対応
AWS専門性
AWS認定エンジニアチームによる最適化設計
ビジネス理解
経営課題から逆算した技術選定・ROI提案
継続支援
運用後の改善・監視・自動化の伴走型サポート
7. まとめ:AWSは「変化に強い組織」をつくるための土台
オリエンタルヒルズが得た3つの教訓は、すべてに共通して
「技術を事業の成長戦略に変える設計思想」へとつながります。
- スモールスタートで、スケール前提の設計を。
- IaC/CI/CDで、技術を経営資産化。
- “運用できる選定”が、持続可能な開発を支える。
AWSは単なるインフラではなく、
企業が変化を力に変えるための経営インフラです。