旬の味通信 ― 第二章:島をめぐる、風と祈りのレシピ
旬の味通信 ― 第二章:島をめぐる、風と祈りのレシピ
― 自然・祈り・人の手仕事をめぐる、“沖縄の心の食文化”をさらに深くたどる旅へ ―
冬のやわらかな光が、海面をきらきらと揺らしています。
潮風に混じるのは、畑から届く島ねぎの香り。
この季節、島の人々の台所には、自然からの恵みとともに、静かな祈りが息づいています。
畑を耕す手、海に潜る手、豆腐を固める手。
その一つひとつの手仕事に、島の時間が流れています。
便利さよりも、ゆっくりと確かに「命をいただく」という感覚。
料理をつくるという行為が、いつのまにか“感謝”の形になっていくのです。
先日、久高島を訪ねたときのこと。
島の女性たちが神事の準備に忙しくしており、台所には海藻と黒豆の香りが漂っていました。
「これは、風を鎮めるお供えなんですよ」と微笑むおばぁの手元には、
丁寧に刻まれた海菜(いなむどぅちの具にも使う海藻)がありました。
海とともに生きてきた人々の知恵が、そこにありました。
料理は、単なる“味”ではなく、“祈りの言葉”でもあります。
その想いを伝えたくて、今日も店の台所に立っています。
旬の野菜をゆっくり煮込みながら、
食材がもつ声を聴き、島の風景をお皿にのせるように。
次回は「命薬(ぬちぐすい)としての島豆腐」をテーマに、
豆腐づくりの現場と、そこに息づく人々の思いをお届けします。
どうぞ、心ゆるやかにお付き合いください。