💧 北海道の気候と家づくり(第3回)
💧 北海道の気候と家づくり(第3回)
見えない敵“結露”から家を守る
――長く住むために大切な、湿気と換気の話――
こんにちは。川端工務店の川端光露です。
家づくりの現場で、私が特に気を配っていることのひとつが「結露対策」です。
結露は、見た目には小さなことのように思えて、
実は家の寿命を大きく左右する“見えない敵”なんです。
■ 「結露=冬の窓のしずく」だけではない
結露というと、冬の朝に窓ガラスがびっしょり濡れる光景を思い浮かべる方が多いと思います。
でも、実は一番怖いのは、見えない場所で起きている結露です。
壁の中や天井裏などで、
暖かい室内の空気が冷たい外壁に触れると、
そこで水滴が発生します。
それが長期間続くと、断熱材が濡れて性能が落ちたり、
木材が腐ったり、カビが発生したりする原因になります。
つまり、見えない結露は、家の“健康”を静かにむしばんでいくのです。
川端より
「家の中に“病気”をつくってしまわないように。
だからこそ、設計と施工の段階から、先回りの工夫が必要なんです。」
■ 壁の中を「呼吸させる」
結露を防ぐポイントは、
水蒸気を閉じ込めない構造にすることです。
川端工務店では、壁の中に“呼吸できる道”をつくるようにしています。
断熱材の種類や、外壁と内壁の間の通気層、
そして気密シートの施工位置――
これらをバランスよく整えることで、
湿気がたまらず、自然に外へ抜けていく家になります。
また、気密を高める施工のときにも、
「どこまで密閉して、どこから逃がすか」という判断が大切です。
密閉しすぎると、湿気の逃げ場がなくなってしまう。
まるで人が呼吸できないのと同じですね。
川端より
「“締めるところは締めて、抜くところは抜く”。
家にも呼吸のリズムがあるんです。」
■ 換気は「空気を動かす技術」
今の住宅は、気密性が高くなっている分、
意識的に空気を動かす仕組みが欠かせません。
川端工務店では、第一種熱交換型の換気システムを採用することが多いです。
これは、外の冷たい空気を取り込むときに、
室内の熱をうまく再利用するシステム。
エネルギーのムダを防ぎながら、常に新鮮な空気を循環させます。
また、換気の“経路設計”も大切です。
吸気口と排気口の位置が悪いと、空気が滞ってしまい、
結露やニオイの原因になります。
家全体の空気の流れを読んで、風が“通り抜ける道”をつくる。
それが、長持ちする家づくりの基本です。
■ 日常の中の“ちょっとした工夫”
結露対策は、暮らしの中でもできることがあります。
- 室内干しを減らして、湿度を50〜60%に保つ。
- 冬の朝、カーテンを少し開けて空気を入れ替える。
- 家具を壁から少し離して配置する(湿気の逃げ道をつくる)。
こうした小さな工夫が、結露を防ぎ、家の健康を守ります。
■ 「長く住む家」は、空気がきれいな家
結露を防ぐということは、
単に水滴を減らすことではなく、家の空気を健やかに保つことでもあります。
湿気がたまらない家は、カビも少なく、木材も長持ちします。
そして何より、家の中が“気持ちいい”んです。
お客様から、
「この家、空気が軽い感じがしますね」
とおっしゃっていただいたとき、
ああ、空気づくりも“家づくり”の一部なんだなと感じました。
川端光露より
「結露を防ぐことは、家の“呼吸”を守ること。
その呼吸のリズムを感じながら、
人も家も、のびのびと暮らせるように――
それが私の願いです。」