🏡 北海道の気候と家づくり(第1回)
🏡 北海道の気候と家づくり(第1回)
「北海道の家づくりは、気候を知ることから始まる」
――この土地の寒さ・雪・風と、どう向き合うか――
こんにちは。川端工務店の川端光露です。
家づくりの話をするとき、私はいつも「気候の話」から始めます。
というのも、北海道ほど地域ごとに気候が違う土地は、全国でも珍しいからです。
札幌と旭川では気温差が10℃以上ある日もありますし、
日本海側の重い雪と、内陸のさらさらとした粉雪とでは、
屋根の形や外壁の仕上げ方もまるで変わってきます。
■ 北海道は「ひとつの気候」ではない
「北海道」と一口に言っても、
実は大きく分けて 日本海側・太平洋側・内陸部 の3つの気候帯があります。
- 日本海側は雪が多く、湿度も高め。
- 太平洋側は比較的乾燥していて、晴れの日が多い。
- 内陸部は放射冷却で冷え込みが厳しく、朝晩の温度差が大きい。
この違いが、家のつくり方そのものを左右します。
断熱の厚みや換気システムの種類、屋根の形、窓の位置……
どれも「地域の気候を知っているかどうか」で、住み心地に大きな差が出てきます。
川端より
「“北海道仕様”という言葉をよく聞きますが、
本当は“あなたの地域仕様”であることが大切なんです。」
■ 冬の寒さと、どう付き合うか
北海道の冬は長く、厳しい寒さが続きます。
外は氷点下10℃でも、家の中では20℃以上を保ちたい――
この「温度差」をどう埋めるかが、家づくりの要です。
川端工務店では、断熱性能と気密性能をセットで考えることを基本にしています。
いくら断熱材を厚くしても、施工にすき間があれば冷気が入り込みます。
逆に、気密ばかりを高めても、適切な換気ができなければ湿気がこもってしまいます。
“性能”は設備の数字ではなく、
現場の丁寧な仕事と、地域の気候への理解で決まる――
私たちはそう考えています。
■ 雪と風を読む、北海道の知恵
冬のもう一つの主役は「雪」。
北海道の屋根を見れば、地域の暮らし方がわかると言われるほどです。
雪が多い地域では、屋根の傾斜をゆるくして“落とさない設計”を採用することがあります。
逆に、風の強い地域では、雪を風で飛ばす「流す設計」を選ぶ場合もあります。
これも気候をよく知るからこそできる工夫です。
そして、家の配置にも気を配ります。
玄関の向きを少し変えるだけで、吹き溜まりを避けられることもあるんです。
こうした小さな積み重ねが、冬を快適に過ごす大きな差になります。
川端より
「雪や風を“敵”とせず、“暮らしのパートナー”にする。
北海道の家づくりは、自然との共生なんです。」
■ 夏の湿気、意外な落とし穴
北海道というと「夏は涼しい」と思われがちですが、
最近は湿気の多い日が増えています。
特に近年は温暖化の影響で、真夏日が続く地域も。
高断熱住宅は冬に強い一方、夏は熱がこもりやすくなる傾向があります。
だからこそ、風の通り道を設計段階で考えることが大切です。
南北の窓のバランスや、庇(ひさし)の長さ、通気層の確保など、
小さな工夫が、四季を通じた快適さを支えてくれます。
■ 気候を知ることは、家族を守ること
家づくりの目的は、単に「建てること」ではありません。
そこに住む家族が、10年後も20年後も安心して笑って過ごせること。
そのためには、土地の気候を理解し、自然の声に耳を傾けることが何より大切です。
川端工務店では、地元で生まれ育った経験をもとに、
「この地域の風を知る」「雪の流れを読む」「湿気の季節を感じる」――
そんな視点から、一棟一棟ていねいに設計しています。
川端光露より
「北海道の家づくりは、自然への敬意と工夫の積み重ね。
その土地を知ることこそ、いちばんの安心材料です。」