【住宅設計士のための資産形成術】
【住宅設計士のための資産形成術】
年間キャッシュフロー表で“見える化”する、住まいとお金のバランス
一級建築士として独立・自営で活動する向井聡一さん(40代)は、日々、住まいづくりを通して「人生の安心設計」に携わっています。
しかし――自分自身の人生設計はどうでしょうか。
住宅や建築に携わるプロフェッショナルほど、日々の設計業務や現場対応に追われ、
「自分の家計の設計図」を描く時間を後回しにしがちです。
■ 年間キャッシュフロー表で「経済の設計図」を描く
まず取り組みたいのが、「年間キャッシュフロー表」の作成です。
これは、建築における施工図や構造計算書に相当する“家計の基本設計図”。
収入(設計料・監理報酬など)と支出(生活費・事業経費・住宅ローンなど)を1年単位で整理することで、
お金の流れが明確になります。
変動の大きい自営業者にとっては、これが資金繰りの安定化にも直結します。
実際に作ってみると、「ここで手元資金が薄くなる」「この時期に貯蓄を増やせる」といった
“リズム”がつかめるようになります。
■ 住宅ローン返済と資産形成の「比率」を見える化
特に注目したいのが、住宅ローン返済と資産形成(貯蓄・投資)の比率です。
- 住宅ローン返済:守りの支出
- 資産形成 :攻めの投資
このバランスが偏ると、将来の安心が揺らぎます。
理想は、返済額が可処分所得の25〜30%以内に収まり、
同時に「年間手取りの10〜15%」を資産形成に回せる状態。
こうした“数値感覚”を持つことが、経営者型設計士にとっては重要なスキルの一つです。
■ 見える化が、次の一手を導く
キャッシュフローを把握することで、
「どの時期に設備投資をすべきか」「どこまで住宅ローンを組んでよいか」といった判断が、
感覚ではなくデータに基づいた経営判断として行えるようになります。
建築において図面なしで現場を進めないように、
人生設計にも“資金の設計図”が欠かせません。
■ まずは小さな一歩から
エクセルや手書きでも構いません。
「年間収支」「固定費」「変動費」「貯蓄・投資」の4項目をベースに、
ご自身の“家計設計図”を描いてみてください。
数字を可視化することは、不安を現実的な課題に変える行為です。
小さな一歩が、未来の大きな安心へ――。
設計士としてのあなたの次の設計対象は、「自分自身の資産計画」かもしれません。