なぜ今“平屋住宅”が選ばれるのか?人気の秘密と失敗しない家づくり
なぜ今“平屋住宅”が選ばれるのか?人気の秘密と失敗しない家づくり
鹿児島の風土に合うひらや設計のポイントを専門家が徹底分析
はじめに
ここ数年、住宅市場で「平屋住宅」が大きな注目を集めています。かつては二階建てが一般的でしたが、今では若い世代からシニア層まで幅広い世代が「平屋を建てたい」と希望されています。
では、なぜ今、平屋住宅がこれほど支持されるのでしょうか?
そして「流行に乗って建てたけれど後悔した…」とならないために、どんな視点が必要なのでしょうか?
鹿児島市を拠点に20年以上、戸建住宅や小規模店舗、福祉施設の設計を手がけてきた一級建築士の立場から、人気の理由と失敗しないためのポイントを分析します。
平屋住宅が選ばれる理由
1. 階段のない暮らしやすさ
平屋最大の魅力は、生活がワンフロアで完結する点です。
高齢化社会を迎えた今、階段のない設計は安心感があり、将来の介護やリフォームにも柔軟に対応できます。
👉 「段差がないだけで想像以上に暮らしが楽になった」との声も多く聞かれます。
2. 家族のつながりを生みやすい間取り
上下階に分かれないため、家族の距離が近くなります。
リビングを中心に配置することで、子どもが庭で遊ぶ姿をキッチンから見守れたり、声が自然に届いたりと「安心感」を得られる設計が可能です。
3. 鹿児島の風土に合う「庭と縁側文化」
鹿児島の温暖な気候は、庭や縁側を暮らしに取り込みやすい環境です。
平屋は庭とのつながりが近く、四季の風や光を楽しみながら生活できます。
「休日は縁側で家族とお茶をする時間が何よりの楽しみになった」というご家族の声もあり、地域性との親和性を実感します。
4. 火山灰に対応しやすい設計
桜島の火山灰は、鹿児島ならではの住まいの課題です。二階建てでは屋根やベランダの灰掃除が大きな負担になりますが、平屋なら高さが抑えられるため、日常のメンテナンスも容易です。
屋根の形状を工夫したり、外部収納を設けたりすることで、灰の悩みを減らすことができます。
5. コンパクトでも満足度が高い
「広さより質」を求める時代において、平屋は面積を抑えつつも開放感を得やすい住宅です。
勾配天井や中庭を組み合わせると、実際以上に広さを感じられる設計が可能になります。
平屋住宅のメリット・デメリット
メリット
- 階段がなく安心・安全
- 家族のコミュニケーションが取りやすい
- 庭や縁側と一体感のある暮らしが楽しめる
- 火山灰掃除や屋根のメンテナンスがしやすい
デメリット
- 敷地にある程度の広さが必要
- 建築コストが二階建てより高くなることがある
- プライバシーや防犯の配慮が不可欠
👉 ただし、設計段階での工夫によってデメリットは大きく解消できます。たとえば中庭を設けることで、都市部の限られた敷地でも採光・通風・プライバシーを両立できます。
失敗しない平屋づくりのポイント(鹿児島編)
- 火山灰対策を前提にした屋根形状や外部収納の計画
- 縁側やデッキを活かして「庭とつながる暮らし」をデザイン
- 将来的なバリアフリーを見据えた動線設計
- 中庭や勾配天井で空間に広がりを持たせる工夫
- 敷地条件に合わせたプライバシー・防犯計画
まとめ
平屋住宅の人気は、流行ではなく必然です。
鹿児島の風土とライフスタイルに合った住まいとして、多くの方が合理的に選んでいるのです。
設計士としての想い
私は「小さな声に耳を傾ける設計」を大切にしています。
火山灰や気候といった鹿児島特有の条件に配慮しながらも、ご家族のライフスタイルに寄り添う住まいづくりこそが、本当の意味での快適さにつながると考えています。