【城間勝行】「不完全な地図」から最適な道を探す楽しさ
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こんにちは。フリーランスエンジニアの城間勝行です。
僕は昔から、旅行が好きで、特に知らない土地を気ままに散策するのが好きでした。でも、スマホの地図アプリが普及した今、旅のスタイルは大きく変わりましたよね。出発前から最適なルートが表示され、目的地まで迷うことはほとんどありません。便利になった反面、少し物足りなさを感じることもあります。
実は、僕が今、フリーランスエンジニアとしてスタートアップのプロダクト開発に携わる中で、まさに**「不完全な地図」**を頼りに旅をするような、そんな面白さを日々感じています。
大手SIerで働いていた頃は、プロジェクトの開始前に、何十、何百ページにもわたる詳細な設計書(=完璧な地図)がありました。そこには、目的地までの道のり、曲がるべき角、目印となる建物がすべて記されていました。この地図に従って進めば、間違いなく目的地にたどり着くことができます。それはそれで、大きな安心感と確実性がありました。
しかし、スタートアップのプロダクト開発は、まったく違います。
プロダクトの市場での価値を検証するために、まずは最小限の機能だけを持つMVP(Minimum Viable Product)を素早く作り上げます。クライアントから提示される要件は、まだ「漠然とした目的地」と「いくつかの方位磁石」程度。
つまり、「どこに行けばいいか、まだはっきりわからない。でも、なんとなくこの方角に進めばいいらしい」という状況からスタートするのです。
僕たちは、この「不完全な地図」を片手に、日々仮説を立て、実装し、ユーザーの反応を確かめながら、少しずつ道のりを描いていきます。
- 「この機能はユーザーにとって本当に必要か?」
- 「もっとシンプルにするにはどうすればいいか?」
一つ一つの問いに向き合うことは、まるで新しい道が開けるたびに、地図に書き込みをしていくような作業です。
時には、実装した機能がユーザーに響かず、まったく違う方向へと舵を切ることもあります。それは、地図に描いた道が間違っていたと気づき、一度引き返して新しいルートを探すような感覚です。一見、遠回りに見えますが、この試行錯誤こそが、最終的に本当に価値のあるプロダクトへとつながる「最適な道」を見つけるための大切なプロセスだと信じています。
完璧な地図をなぞるだけでは決して得られない、未知の発見や、道を切り開く楽しさ。このスリルとやりがいこそが、今の僕のモチベーションの源泉です。
これからも、不完全な地図を頼りに、クライアントと一緒に、まだ見ぬ目的地へと進んでいきたいです。