【城間勝行】コードを書きながら散歩すると発想が止まらない理由
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フリーランスとして仕事をするようになってから、僕は散歩の時間を意図的に作るようになった。単なる休憩ではなく、思考を整理し、新しいアイデアを生むための「移動型ワークスペース」としての散歩だ。スタートアップのプロジェクトで迷子になった仕様を考えていたある日、気分転換のつもりで近所を歩いてみたところ、驚くべきことに、歩いている間に頭の中でコードの構造が自然に整理されていったのだ。
道を歩きながら、空を見上げ、街の雑音を聞きながら、思考は不思議なほど自由になる。オフィスで机に向かっているときは、どうしても制約や優先順位に縛られて視野が狭くなりがちだ。しかし、足を動かすリズムと呼吸のペースが、頭の中の情報処理のリズムと絶妙にリンクする。特に複雑なフローや依存関係を整理したいとき、この「体感リズム」が思考を整理する大きな手助けになることに気づいた。
あるプロジェクトでは、バックエンドとフロントエンドの接続部分で迷走していたが、散歩をしながら頭の中でデータフローをイメージしてみた。信号や車の動き、歩行者のランダムな動きが、逆説的にコードの非同期処理のヒントを与えてくれる。歩く速さや周囲の景色の変化が、頭の中の仮説検証のスピードとタイミングを自然に整えてくれるのだ。
さらに面白いのは、散歩中に出会う小さな偶然が、アイデアの引き金になることだ。看板の色使いや、木々の並び方、カフェの配置など、日常の些細な景色が頭の中でコードや設計の比喩に変換され、思考を拡張してくれる。オフィスの中だけでは絶対に得られないインスピレーションが、歩くことによって簡単に手に入る。
最近では、チームミーティングの後に軽く散歩を挟むことを習慣にしている。メンバーが出したアイデアを頭の中で整理し、歩きながら次のタスクや改善策を自然と考えることができる。歩くことで頭の中の情報が整理され、議論の次のステップがスムーズに見えてくるのだ。コードを書く作業も、体を動かすことによって逆に効率が上がるという、この不思議な体験を、僕はこれからも大切にしていきたい。