【大嶋淑之・新潟】仕事と街の小さな奇跡
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朝、通勤途中に見上げた空は薄い灰色だったが、街路樹の葉に残る露が小さな宝石のように光っていた。忙しなく歩く人々の間で、自分だけがその瞬間に立ち止まり、光を見つめる。日常の中で立ち止まる時間は、仕事や目標に追われる日々の中で見失いがちな、ささやかな奇跡に気づかせてくれる。
オフィスに着くと、メールやタスクに追われる毎日が待っている。だが会議室の窓から見える空や、同僚の何気ない表情には、計画通りにはいかない仕事の中でこそ生まれる瞬間的な物語があることを思い出させてくれる。例えば、ちょっとしたミスがきっかけで新しいアイデアが生まれたり、同僚の言葉でハッと気づいたりすることがある。
昼休みに外へ出ると、街角の小さなカフェに行列ができていた。並ぶ人々の表情や、注文を待つ間の会話、風で揺れる看板の影まで、すべてが日常の小さなドラマとして刻まれている。オフィスでの数字やタスクだけに目を向けるだけでは気づかない、日常の偶然や発見に気づくことは、仕事の中でも重要だと感じる。
午後のミーティングでは、予想外の質問や意見が飛び交う。それをどう乗り越えるかで、チーム全体の視点や発想が広がる。予定通りに進めることも大切だが、予期せぬ瞬間を楽しむ余白を持つことで、仕事はより創造的になり、思いがけない成果が生まれる。小さな奇跡を見逃さず、柔軟に対応する力は、キャリアの中で確実に価値となる。
仕事の後に夕暮れの街を歩くと、通勤のときには気づかなかった景色が目に入る。自販機の明かりに照らされる落ち葉や、歩道を横切る猫、雑踏の中で交わされるほんの一瞬の微笑み。それらの小さな出来事に目を向けると、街も仕事も、人も環境も、すべてが連動して生きていることを感じる。今日一日の体験が明日の判断やアイデアにつながる。
毎日が忙しくても、立ち止まり、街や人、偶然の瞬間に目を向けること。これが、日常の中での小さな奇跡を見つけ、仕事に活かす秘訣なのだと僕は考えている。小さな気づきが積み重なることで、人生も仕事も少しずつ豊かに変わっていくのだ。